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CHOYA NATURAL BEAUTY

チョーヤ梅酒

Apr. 05 2019

ちょっと違う桜の愛で方…草木染の桜染めをご紹介。

今日は福岡県朝倉市・秋月にある草木染めの工房『夢細工』を主宰している小室容久さんに草木染め、そして、日本でも珍しい桜だけで染める桜染めについてお話を伺います。
こちらの『夢細工』では、化学染料を一切使わずに、自然の草木だけを使って染め物を作るのが特徴です。

まずは、草木染めならではの魅力についてお話してくれました。

「やっぱり化学染料はすぐに染まるので優秀なんですが、昔からの草木染の色は、自然の草木で染めたもので、それには草木のチカラが一緒に染まっています。色々な染め方があるんですが、基本的には、草や木や根っこや葉をとってきて、グラグラと煮た煮汁で色をつけるというのが基本です。秋月という田舎にこの工房はあるんですが、30年前に工房を作った時、染めているところをおばあちゃんが「それは茜草の根っこだよね」と話しかけてきてくれました。実際におばあちゃんたちが子供のころは、草木染が現役だったようです。自分たちが赤を染めるから、山に行って茜草の根っこを掘って来なさいと言われて染めたとか、おばあちゃんの時代は現役で、そういったものが使われていたんです。」

葉っぱや木の枝、さらには根っこから染めものを作るということで、その植物のパワーまでも染めこんでいくというのが、草木染めにはあるんだそうです。
さらに、その草木の色からもパワーをもらえるようです。

「お芝居で病気の殿様が紫色の鉢巻きを巻いて、ウンウンうなっていたりしますが、紫色は魔を払うと言われています。紫色は紫草という草で染めるんですが、それには抗菌作用や殺菌作用があり、昔に病気が流行った時に、紫草の匂いを嗅いだら部屋の中に入った菌が死ぬということから、魔を払うということで紫色は使われました。それと黄色は悪いものから守ると言われています。黄色は中国では皇帝の色で、皇帝は黄色をします。つまり黄色は中国では高貴な色なんです。なぜかというと、太陽の象徴でみんなに恵みを与えるという意味を持っています。そういう力と一緒になって色が染まってくるので、昔はそういう知識をもちながら、色を上手に生活の中で使っていたんです。」

ここからは、桜染めについて聞いてみましょう。

「桜染めは、桜で染めてもピンクは染まらないと言われていました。実際に普通の人が桜で染めても、上手な人でオレンジ、普通の人でベージュ。僕はそもそも広告のカメラマンで、染物屋さんではありませんでした。ですので「ピンクの花が咲くんだから染まるかもしれないじゃないですか!」と。染物屋さんの常識を持ってなかったんです。でも日本人なので桜を使ってピンクに染めたいと思い、試行錯誤試行錯誤して日本で初めて、多分世界で初めて、桜だけでピンクに染めることに成功しました。僕は、つぼみと、手前の枝を使いましたが、桜の皮だけでも染まります。桜の木の皮は剥くと2枚あり、その2枚目の皮でもピンクに染まります。ただし、生でないとダメなので、量が染まらないんです。」

最後に、小室さんは桜染めへの思いも語ってくれました。

「様々な草木染があるんですが、全てを受け入れて、全てを笑顔にして元気で押し出すって桜のピンクしかないんです。ですので、桜の色はとてもパワーがあると感じています。東京ですと上野に桜が咲いていますよね。昔は上野の山で桜が咲くと、平等といった意味で無礼講で、長屋の熊さん、八っつぁんがお花見行って、どこか偉い藩の殿様がいても身分は関係なく、桜の下ではみんなを平等でした。桜のピンクにはみんなを平等にしていくという力があったんじゃないかと思います。ですので、昔から日本人は桜を愛したんじゃないかと思います。新しい年号の「令和」にも「和」がついていますが、平和の和、JAPANの和、みんなが仲良しの和というその心が桜の色にはあり、その色を僕は染めたいと思い、試行錯誤しながらあのキレイなピンク色にたどりつきました。」

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