-
山田詠美さんのお気に入りの東京の街は、、、吉祥寺
「大学の時に吉祥寺に住んでいたんですけど、それから都心や基地の町・福生に移ったりしたんですけど、また吉祥寺に戻って来てそこから20年暮らしています。私が大学の頃の吉祥寺は、アングラがまだ残っていて、私よりも一回り年上の人たちが街を作っている感じ、ライブハウスもすごく盛んで、不良に憧れるには十分な街でした。大学の時に同級生の男の子と、深夜のオールナイトを観に行ったんですけど、それを観たのが『クレイマークレイマー』で、2人で大泣きした思い出があります。親でもないのになんであんなに泣いたんだろう。自分が親になったらあーする、こーするという話で夜明けの街を歩いたいい思い出です。今はすごく華やかになって、便利になって、きらびやかになったのはあるんですけど、やっぱり路地を歩いたり、散歩したりしてると、昔ながらの吉祥寺にしかないカルチャーな雰囲気があって、いいなと思いますね。夫婦で散歩するときは、井の頭公園はやっぱりはずせない。その中に小さなコーヒーショップやタイ料理のレストランとか、そういうころで一服して、本屋さんも充実しているので、山ほど本を買いためるのが楽しみ。住んでる人たちが言うんですけど、大人が気を抜いてリラックスできて、しかもだらしなくても許してくれるんです。そんな大人が魅力的に目に映る街。美味しいお酒、美味しい食べ物をお金をかけなくても、自分の工夫次第で、一緒に食べる人次第で、どうにでもなる、それが吉祥寺にあるかな、なんて思います。」
●山田詠美さんの最新エッセイ集『吉祥寺デイズ うまうま食べ物 うしうしゴシップ』は、小学館より発売中です。
