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当番組のPodcastは・・・
毎週日曜日の午後8時に最新版を
アップしています。
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- 弾丸で訪れたサンフランシスコ ---
現地滞在時間は約50時間!
今回のサンフランシスコは超ハードな日程...
その目的とは?
仕事、取材、会食、ホテル...
その間はひたすら徒歩で移動!
いつもは見過ごしていた風景を眺めながら、
音楽を聴きながら歩いた訓市が
感じたこと、思い出したこと
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや
思い出の“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
番組サイトの「MESSAGE TO STUDIO」から
“お便り”を送信してください。
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Sisters With Me / Tom Misch
Sway / Chrissie Hynde with Lucinda Williams
Strawberry Letter 23 / Shuggie Otis
Turn Me On / Nina Simone
Love Is All - 愛を聴かせて - / 椎名恵
About You / The 1975
Would've Been You / Sombr
Everywhere, Everything / Noah Kahan with Gracie Abrams
Dawn Chorus / Jon Hopkins
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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先日、サンフランシスコに行ってきました。もう何年振りなのか、多分2年は行っていなかったと思うんですけども、なかなかの強行日程で痺れる感じになりました。月曜日の夜10時過ぎに羽田を飛び立って、サンフランシスコに着いたのが同日の午後遅め。そこからお風呂に入ってすぐホテルでディナーとなって、翌日の朝からは仕事、インタビュー、会食後に飲み。この日だけがフルにサンフランシスコで丸1日を過ごした日で、翌日の水曜日は朝から仕事、午後はインタビュー、終わってすぐにカクテルパーティーがあって、そのあとすぐに会食ディナー。僕はそこから夜9時過ぎには抜け出してホテルに戻って荷造りして、夜中の便でサンフランシスコを旅立つという、羽田には金曜朝の3時半に着きました。滞在時間50時間ちょっと。最初からこれを知ってると時差ボケを直そうとする気もなくなるというか、日本時間のまま過ごした方が楽だということになりまして、帰ってきてからの時差ボケっていうのは無かったんですけど、逆にサンフランシスコ中はもうずーっと眠いっていうか頭が痺れるというか。昔は全く平気でしたけど、流石にこの歳になると何ですかね、体が鉛のように重かったり、眠いとまた無理に歩いたり・・・。今回はフェラーリ初の電気自動車が発表される会に呼ばれたもので、なぜイタリアが誇る「フェラーリ」がそんな大事な車の発表をサンフランシスコで発表したかと言うとデザインを元Appleのジョナサン・アイブとマーク・ニューソンが始めた会社「Love From」が手がけたからです。ジョナサンが会社を立ち上げてから4年以上かけてやっと発表することができた最初の大きなプロジェクト。すごい熱気に包まれていました。僕は彼とは20年くらい前、マークに至っては27年、ずっと飲んだり仕事したりの仲で、特にジョナサンの方は何か発表があるとAppleの時代から番記者のようなことをやらされています。まあ取材嫌いなんですよね。大体、ここ10何年ですね、何か発表するものがあるとApple時代から彼のマネージャーから突然、めちゃくちゃ愛想の良いテキストが届くんですよ。メールじゃなくって。「ハイ、クン、再来月のこの辺りは時間ある?っていうか、あるわよね、この日」という短くも強い意志を感じるテキストが届きます。「いやぁ、実はそのあたりは忙しくて」とか「前後に海外なんだよね」と言っても無駄です。「だったらこの1日で来れるわね」とかものすごいスケジュールが組まれています。「ノーと言えない日本」という言葉がありましたけども、ほぼそれというか、「あなたがやらなかったら誰がやるのよ」っていうものすごい理不尽な答えが帰ってきます。まぁそれでも、いつも楽しいインタビューになったり、面白いプロダクトを見せてもらって楽しいんですけど、今回もとても面白い発表会とインタビューになりました。発表会といっても実車の姿もイメージも見ることはできなくって、見させられたのはハンドル周りとかパーツのごく一部。それはありとあらゆる部品をデザインして、それには1つずつストーリーがあるのだからちゃんと見てほしいという気持ちがあったからだそうです。なんだつまんないと最初は思いましたけど、確かにパーツ1つ1つにちゃんとしたコンセプトとストーリーがあって、それを見たり触ったりしながら、まだ見ぬ車全体を想像するというのはなかなか楽しい経験でした。実車の全体が発表されるのはまだ先なんですが、本当に見るのが楽しみになりました。
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フェラーリの発表会に行ったんですけど、ぶっちゃけ運転したことないですからね、乗背てもらったことはあるんですが。ただ、本社の人とかフィアットグループの会長と喋ってたらすっかり仲良くなって、「クンが乗りたいと言うならスペシャルプライスにしてあげるよ」と冗談混じりに言われましたけども、僕が真顔で「半額でも買えないから無理」と即答したら大声で笑われました。まあ無理に決まってますよね、いくらになるか分かりませんけども。ただ、フェラーリ初の電気自動車、試乗は是非してみたいと思ってます。そんなこんなで今回はひたすら滞在先のホテルと近くにあった発表会場である「ピラミッドビル」、そしてデザイナー達の「Love From」のオフィスの間をひたすら歩いて往復するだけで、ほぼ出かけない、何も買い物もしないという滞在になりました。こんな海外出張は本当に久しぶりでしたが、そのやたら往復して歩く途中の時間というのがなぜかとても楽しかったです。AirPodsで音楽を聴きながら歩いていると昔のことをたくさん思い出す時間として過ごせたからです。上着を着る必要のない天候というのも昔のことをたくさん思い出す理由の1つだったかもしれませんけども。僕が初めてサンフランシスコに来たのは90年代のことで、その頃のことをたくさん思い出しました。ちょうど先月ですか、オリジナルメンバーの最後の大物だったボブ・ウィアーもとうとう亡くなってしまいましたが、僕が行った頃はGrateful Deadがまだ健在で、デッドヘッズ、ヒッピーの残党のような人達がまだたくさん街に残っている時代でした。ヘイトアシュベリーあたりを歩きながら、「ここが本で読んだ場所、ビルだ」「映画で観たヒッピーの発祥地か」と自分もその1人になったような気分で歩き回りましたし、旅の途中で知り合って居候させてもらった友達の家やバックパッカーの溜まり場だったウェアハウス、すごい変わり者の住人がいた安宿などのことをたくさん思い出しました。忘れていたことさえ忘れていた小さな記憶、不思議なもので実際にその土地に戻った時、ふとした瞬間やふと見た景色でそれらが突然鮮明に思い出されたりします。お金が本当になくて安飯ばかり、唯一の贅沢がスナップルというブランドのピーチアイスティーを飲む時だけ。公園で横になりながら昼寝したりギターを弾いたり、目先の欲望というか楽しそうなものに目を奪われ続けながら、その先にチラチラ見える将来には不安しかなかったあの頃。全てを先延ばしにしていたあの頃がもう30年以上前のことかと思うと我ながら信じられませんでした。90年代に訪れるサンフランシスコはホテルなんかに滞在したことはほぼ無く、いかに自分のホームグランドだったアジアより物価が異常に高い街で日々に使うお金をセーブするのかが1番の問題だったのに、今となってはですよ、飛行機代も出してもらってホテルまで車で送ってもらい、取材なんかをして夜はワインを飲みながら会食ですよ。30年前の自分に向かって本当に僕ぶつぶつと言葉を出していました。「お前信じられるか?未来には自費じゃなくて他人様のお金で、この街に戻って来るようになるんだよ」と。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。


