ON AIR DATE
2025.10.19
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54


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当番組のPodcastは・・・
毎週日曜日の午後8時に最新版を
アップしています。

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TUDOR logo


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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

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--- 訓市が自身の“オシャレ”について語る ---

テーマは「ポケットTシャツ」

先月末に発売されてアッという間にソールドアウトした
訓市の手がけた「ポケットTシャツ」

全国一斉に販売されたコンビニウェアに込めた思い
そもそも、訓市が洋服好きになった
理由とその頃の思い出について

「オシャレは自己満足」・・・その真意とは?


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「旅」と「音楽」に関するエピソードや
思い出の“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!

そして、旅の話だけでなく、仕事、進路、
人間関係から恋愛、夫婦・親子関係まで
全ジャンル、全テーマにご対応!
曲のリクエスト、選曲オーダーにもお応えします。

番組サイトの「MESSAGE TO STUDIO」から
“お便り”を送信してください。


2025.10.19

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Help Yourself / Death In Vegas

2

Linger (Acoustic Version) / The Cranberries

3

Ecstasy / Lou Reed

4

One Hundred Ways / Quincy Jones feat. James Ingram

5

帰れない二人 / 井上陽水

6

Do You Really / The Palais

7

Keep Me / Novo Amor

8

Late Night / Rude Boy

9

Atmosphere / Joy Division

2025.10.19

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。


KUNICHI was talking

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先ほど話した通り、ファミリーマートで通称「ファミT」と呼ばれるコンビニエンスウェアでポケットTを作りました。この番組で「いつまでも、あると思うな馴染みの店」という感じの話を何度かしたことがあるんですが、その中で無くなってしまった近所のファミマの話をした回をファミリーマートの人たちが聞いて、好みのうるさそうな僕が実は“コンビニ好き”で“ファミマ好き”なんじゃないかと声をかけてくれたのがきっかけです。僕はタバコを吸いますし、それをポケットに入れることができるポケTが好きで作らせてもらいました。古着の無地のポケTをたくさん持っているので、それらを参考に襟首を横に少しワイドにして、ポケットも当時のもののように小さめの真四角のポケットにし、身幅をボックスシルエットに、丈も調整し、そして1番大事なんですけどね、乾燥機にかけても縮みにくいものにして作りました。僕は年に1度くらい、自分の好きな会社と服や靴を一緒に作らせてもらってるんですが、その基準っていうのはもちろん「いいものを安く!」というのがモットーでして、金儲けに走らないようにしています。自分で言うのも何ですが良心的な価格でして、知り合いの服屋には「俺たちを潰す気か」って言われたりもするんですが。毎回枚数が追いつかず、しかもどうしても転売屋さんに買われて倍以上の値段で売られることをすごく残念に思っていました。安いものを仕入れ、それを売ることで利益を出すというのはいわゆる資本主義の王道中の王道なんですけども、毎回限定生産といっても最大限多く作ることで価格を下げているのですが、それを高額で売られる現状を見ると本当に歯がゆいわけですよ。スーツとか毎回コラボの上限3000枚とか4000枚作っているんですが、それ以上は無理なんですね。ところが、今回のお話っていうのは全国にある1万4000店舗のファミマで10万枚作ったポケTを売ることができる。これなら誰でもどこでも買えるだろうし、転売なんてする人はいないと思っていたんですが、まあいろいろ問題がありました。まず、洋服屋さんではないので、全国一斉に同じ時間に売るなんて当然できないわけですよ。9月26日だったっけな、金曜日発売という発表だったんですが、全国の店舗に着くのもバラバラなんです。例えば東京は売ってますが関西はない。沖縄は金曜の朝から売っていて、他のどっかの島でも売ってる。各店舗の都合によって翌週に陳列するところもあれば、さらに遅いところもあったり。そりゃそうだっていう感じなんですけども、今並べてる物が売れないと場所がないとか。それがちょっとしたカオスになってしまいまして、「10店舗回ったのに無いぞ」とか「隣の県まで行った」とか、大変ご迷惑をおかけしたのですが、怒ってる方ももちろんいたと思うんですけど、中には「オリエンテーションみたいで楽しい」とか「オンライン前の昔の買い物ってこうだったな」という声もいただいたりして。とは言え、「欲しいのに探せなかった」「転売で買った」という方もいたそうで、この場を借りてお詫びいたします。本当にすみませんでした。でも、買えた方は低価格ですが物はちゃんとしていますので、どうぞシミだらけ、黄ばむまで着倒してやってください。

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「安くていい」とか「サイズ感もいい」なんていろいろ嬉しいことをたくさん聞いたのですが、中には「安い物を大量に作るなんてブランドの価値が下がる」とか、そういう声もちらほらありました。それで、“価値って何だろう?”と思うことがあったので、今日はそのことも話そうと思います。僕はまあ自分なりに服が好きな方で、最初に興味を持ったのがスケートボードを始めた80年代で、雑誌で見るアメリカ人のスケーターは本当に色んな格好をしていたんですね。例えばスケートボード用の靴なんていうものがVans以外ほぼないので、皆これでいいんじゃないのかと、別の用途に作られたものを個性として履いていたんです。バスケットボール用のナイキのブレ―ザーとかテニスシューズ、あとはコンバースとか。もちろんデニムの人もいれば、カットオフしたアメリカ軍のアーミーパンツを履く者もいる。Tシャツの袖を切ったものを頭に巻いてバンダナ代わりにしたり、そういうのにすごい最初影響受けまして、それから「アメカジ」「渋カジ」なんてものがあり、デニム履くにもリーバイスの501の年代違いのものを探しては履いたり。大量生産されてきた501でも年式によってその価値が全く違う。そういうのが面白くて、めちゃくちゃ掘って探して履いていましたが・・・。それからニルバーナに代表される「グランジ」が人気になると、「何年代のどこどこのなに」なんていうヴィンテージがどうだというよりかは、ただの古着、手に入りやすいものを上手く着てオシャレをしていたり。僕の服好きの原点って多分そういう感じなんですね。大量生産された、もともと誰でも買える、人によっては着倒して捨てるようなもの、仕事用に作られた軍服やワークウェア、そういうものを工夫して着るのが好きなんです。うまく着れれば似合って見えて「オシャレだね」と言われるかもしれません。そうじゃなかったらそれもまた良し。洋服っていうのは自己満ですから、自分がそれを着てハッピーであれば良いんじゃないのかなって思います。だから基本「高いからおしゃれだろう」というのにも興味がないですし。僕が持ってる服は古着が多いんですけども、どれも当時は大量に作られていたもので、買った時は数百円とか2000円とか、高くても数万なんてものばかり。ほぼ無価値なものをどう着るかが面白かったんですよね。だから今回作ったポケTも、「色んなコラボをしている訓ちゃんの作ったポケティーだから、これを着てればおしゃれになる!」とか「かっこよくなる!」っていうことは絶対にないです。ただの使いやすいポケTで、10万枚作れた待望の大量生産品ワークウェア。それだけです。でも着方によっては、サイズ感とか合わせることによって素敵に見えるかもしれない。それが面白くないですか?高いブランドのものを全身に身につけて、しかも分かりやすいロゴがついていて、「どう?俺金持ちだろ。」とか「私すごくない?」とドヤ顔で歩いている人がいますが、全く素敵だと思わないです。服の価値はブランド名にあるというよりか、着る人がどう着るかにあると思います。そして、そうやって着る服って海外に行ってもトラブルに巻き込まれづらいですよ。現地の人に見えたり、まさか日本から来てる旅行客じゃないだろうって思われますから。僕、そういう意味で1回も道とかでトラブルにあったことはありません。身の丈に合った格好だけもつまんないですけども、高けりゃ良いってものじゃないので、あるものでおしゃれをしてみませんかという話でした。