ON AIR DATE
2025.09.21
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54


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当番組のPodcastは・・・
毎週日曜日の午後8時に最新版を
アップしています。

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TUDOR logo


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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

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--- ポジティブに、やる気を出して ---

テーマは「韓国」
今年2度目の訪韓、ソウルで過ごした時間
大親友トム・サックスの大展覧会の閉会に合わせて、
ソウルに足を運んだ訓市
現地に向かう機内での僅かな時間に
訓市が考えていたこととは?

閉会式で開催された長時間に及ぶパフォーマンス、
それを体験して訓市が感想を語る。

常に斬新なアート作品を生み出し続けている
トム・サックスのライフスタイルから感じる魅力...

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「旅」と「音楽」に関するエピソードや
思い出の“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!

そして、旅の話だけでなく、仕事、進路、
人間関係から恋愛、夫婦・親子関係まで
全ジャンル、全テーマにご対応!
曲のリクエスト、選曲オーダーにもお応えします。

番組サイトの「MESSAGE TO STUDIO」から
“お便り”を送信してください。

2025.09.21

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Dub Be Good To Me / Beats International

2

Song For A Friend / Jason Mraz

3

Mayonaise (acoustic) / Smashing Pumpkins

4

恋は桃色 / Sam Gendel & 細野晴臣

5

Drifter / キリンジ

6

Sober / Childish Gambino

7

Saturn / SZA

8

Ache For / Moby

9

Walking On A Dream / Empire Of The Sun

2025.09.21

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。



KUNICHI was talking

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先日、再び韓国に行ってきました。2泊ということで、まあ友達に「弾丸だね」って言われたんですが何しろ2時間ですからね、フライト。海外旅行としてカウントしていいのかと迷うほどの近さです。普通に羽田から札幌に行く方が時間がかかる気がしますし、福岡とは確か2、3分ぐらいしか変わんなかったような気がします。それなのにちゃんと外国で言葉が全く分からなければ文化も違うんですから、人種と言いますか国ってとても不思議だなと思います。そんなことを考えてしまうのも日本が島国で、地続きの国境を持たないからかもしれませんが・・・。国境といえば日本が何やら移民受け入れの話をしているっていうのが話題になってると言われました。海外で。いろいろ見たんですけど何が本当だか分かりませんが、地方都市に数カ国からまとまった人数を受け入れるとかいないとか。”何人”とよく話すことがあると思います。例えば「彼はアメリカ人?」とか「イギリス人?」とか。けれどそれが生物的に人種的に話していることなのか、それとも国籍なのかとよく考えますし、ごっちゃにしてる人も多いんじゃないかと思います。どの国の人もそれこそ類人猿の時代からそこに住み着いて、それ以外を受け入れてない土着の人っていうものは存在しません。さまざまな民族移動や宗教戦争やら色んな理由で混じり合って生まれています。だから国籍もそうですけども、どこで育って、どこの文化を受け入れて、誇りに思って生きている人たちのことを「何人?」っていう質問に入れるんじゃないのかなって思ってます。その意味で言うと僕は日本人で、日本生まれですし、日本の文化が好きですし、誇りにも思っています。文句だけ言って嫌ならば自分がどこかへ行けばいいだけですからね。そう考えるとどこかの国の人を日本にただ受け入れて同じ地域にまとめておくというのは全くもって間違ってるなと思います。と言うのも文化を伝えることもなく、日本の中に違う国を作ってしまうことだからです。そんな韓国の話じゃないじゃないかって言うと韓国でも日本と同じで少子化がヤバいという話を友達がしていまして、韓国の方が人口ももちろん少ないんですけど、来世期には国が存続不可能になるくらい人が減るっていう話もあるそうです。お互い待った無しだということなんですが、僕が幼い頃はとにかく人が多いっていうのが問題にしかなってなかったんですよ。電車でも車でも。それが減るから問題だっていう話になるとは思いもよりませんでしたが、考えてみれば人口が減ってくっていうことが問題になるっていうのはずいぶん前から分かっていたことで、ここまで放置してしまったっていうのは自分たち日本人が悪いんですけどね。国・政府も悪いですけども、そもそも彼らを選んで、こういう無策を許してきたのは僕たち国民ですから。これからそれを解決して行くとしてもすごく時間がかかるじゃないですか。例えば来年から出生率が上がったって、そんなみんなが働けるようになるのはまた20年後ぐらいで、気の遠くなるような時間をまたかけていかなきゃいけなくて、それまでにどう国を保持していくか?現実的な解決策を先延ばしにしないで実行して行かなければと思いました。そんな堅い話を韓国でしていたのかって言うとそんなことは無くてですね、何をしに行っていたかと言えばアーティストのトム・サックスの大きな展覧会。4月に行ってきたんですけども、それがいよいよ終わりを迎えるにあたり閉会的なものに出席するためでした。

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この番組でも何度もお話ししていますし出たこともありますけども、トム・サックスの作品というのはとてもユニークです。自分の好きなものを身近に手に入る安価な材料で自作するというもので、僕は例えば初期で好きだったのがエルメスのバーキン。世界一有名で高価なハンドバッグですが、彼はそれをベニヤ板で作ったりするんですよ。ちゃんと蓋も閉まったりするんですけど、ドアに使う安い蝶番が付いていてパカパカいいます。そうやって聞くとバカバカしく思えるかもしれませんが、実物を見るとなんとも言えずに良いんですよ。ふざけているようで実は大真面目で作っているから素敵なんです。真剣にやるからこそユーモアが生まれる。そういう人っているじゃないですか。本人は自分が笑われてるのが何故か自覚していなかったりもするんですけど・・・。今回の展覧会で一番大きな作品は過去に作ったアポロ計画の月面着陸船で、実物大の大きさのものをベニア板を中心に作っています。もちろん内部も作り込まれていますが、そこには個人の趣向も入ってまして、ウイスキーがずらりと並ぶ棚があったり・・・飲むわけ無いじゃないって感じなんですけども。あとウォーターガンからはテキーラが出てきたりします。そして今回、閉会に当たり、かつて彼がやったスペースプログラムのライブストリーミングをもう1度やるというものがありました。これはロケットを打ち上げ、宇宙飛行士を火星に送り届けるという計画を展示してある様々な機材と管制室もどきを使って再現するというものです。もはやパフォーマンスアートなんですけども全員マイクをつけて真剣にやるんですよ。「マイクチェック、マイクチェック…」とか、「こちら管制室、どうぞ、どうぞ」みたいな。そこで「テキーラの出が悪い」とかやるんですよ。しかも、すごいのがこれ6時間かけてやるんですよ。途中出入り自由で、お腹が空いたらご飯に食べに行って帰ってきてくださいっていう感じで。真剣にやってるんですが所々笑いが起きるわけですが、本人たちはそれを見て笑うわけでも無ければ、そもそもウケを狙ってやってるわけでも無いです。それをとにかくやり続ける友を見ながら、やっぱり素晴らしい人だなと改めて思いました。ぼくは編集者としてライターとして、かなり大勢の内外の著名人というかアーティストとかをインタビューしてきました。何百人もやってきましたが、その中でもトムみたいな人っていうのはほぼいないですね。よくインタビューをスタジオとか家でやらせてもらってきたんですけども、大抵の場合、その家の写真って名前を出さなかったらどこの金持ちの家?付け替えたらどこの家にでもなるようなものが多いんですよ。趣味ってそうなっちゃうんですかね、お金持つと。分かりやすいアートが飾ってあって、高い机とかが置いてあったり、それがたとえ元ストリートアート上がりの人だろうが何だろうが同じようになっちゃう人が多い中でトムは全く違うんですよね。彼が働くのは自分の作品づくりに必要なスタジオと、そこで大勢働くスタッフの雇用を守り、なおかつお金ができたらさらなる壮大な、時に大変マヌケというか、え?これにこんなお金かけるっていうか、作るの?っていうものを作るためです。だからほぼ年間で休みなんか取らないですし、常に働いて常に新しいアイディアのメモをとって1人で興奮しています。格好もいつも一緒で高級品など身に着けず、欲しいものは何でも自作するか勝手に改造してしまいます。そして仲良くなるとそれを人にあげちゃったりする。こういう人と、その人の働き方を定期的に見たり接したりすることができるのは本当に僕は個人的に恵まれてるなと思います。なぜなら自分がそうありたいなと思っていても、例えば同級生ぐらいで成功した人ばかり見てたりすると、やっぱりズレてくると思うんですよね。なので、こうやってトムに会って、「しっかりしなきゃ、人生1度でブレちゃダメだ」って考えさせてもらえるのは本当にありがたいです。久しぶりに仕事にやる気の出た、そんな韓国旅行でした。