ON AIR DATE
2025.08.24
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54


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当番組のPodcastは・・・
毎週日曜日の午後8時に最新版を
アップしています。

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TUDOR logo


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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

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--- フジでの“不思議な出会い” ---

訓市にとって通算25回目の参加となった
今年の「フジロック」

チケットがソールドアウトする程、
集客した要因とは?

以前の活気と雰囲気が戻った今年のフジ・・・
その出演アーティスの中で
訓市が特に熱くなったのは...

実は最も印象に残ったのは
“不思議な出会い”。それは一体誰?

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「旅」と「音楽」に関するエピソードや
思い出の“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!

そして、旅の話だけでなく、仕事、進路、
人間関係から恋愛、夫婦・親子関係まで
全ジャンル、全テーマにご対応!
曲のリクエスト、選曲オーダーにもお応えします。

番組サイトの「MESSAGE TO STUDIO」から
“お便り”を送信してください。

2025.08.24

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Billie (Loving Arms) / Fred Again..

2

Lush / Four Tet

3

Dumbai / Ca7riel & Paco Amoroso

4

My Jinji / Hyukoh & Sunset Rollercoaster

5

Oinkvibes / Suchmos

6

Now I'm In It / Haim

7

It Gets Funkier / Vulfpeck

8

Linger / Royel Otis

9

Limit To Your Love / James Blake

2025.08.24

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。


KUNICHI was talking

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今夜は「フジロック」の話をしたいと思います。しかし、本当に早いですよね。「もう7月だ!月末はフジロックだ!」と言って騒いでいたと思ったら、あっという間にその3日間は過ぎてしまって、気付けばもうお盆も終わって、夏も終わり行く時期が来たのですから。まだまだ暑いと言っても夜に歩けば何かしら夏の終わりを感じる空気感になってきました。この時期っていうのが季節的に一番寂しい頃だって僕は思います。一番嫌なのはフジロックが終わって帰る月曜日なんですけどね。終わった感が両肩に物凄くのしかかってくるような・・・。帰り道、関越道でサービスエリアに寄って皆で最後のご飯を食べる時の憂鬱さときたら、最後の晩餐的な物凄い重い雰囲気になります。すっかり悲しい感じになってしまいましたが、じゃあ、今年のフジはつまらなかったのか?と言えば全く逆で本当に楽しかったです。雰囲気がやっとコロナ前の感じに戻ったというか、とにかくたくさんの人が集まっていました。もちろんコロナ前に比べるとダイハードな“死ぬまで飲むぜ!”といった感じのオーストラリアやニュージーランドの白人勢が大分に減り、中国人や韓国人などのアジア勢が増えていたのですが、それと共に日本人の若い子たちの姿も久しぶりに増えた気がしました。替りに僕より年上の古参兵のような人たちがたいぶ減りましたが。しょうがないんですけどね。時が経つのは早いよなぁ〜と本当に実感します。それでもとにかく去年より圧倒的に人出が多かったので、なにかしら賑やかな感じがして、これぞロックフェス、お祭りだなぁと改めて感じることができました。それって本当に素晴らしいことで、音楽というのは1人の時は自分を決して裏切らない自分に寄り添ってくれる存在として有り難く聴くものですけども、それと同時に知らない人たちと肩を触れ合いながら合唱したりして聴くのも、また同じくらい大事な音楽の一面だと思うからです。「ライブって良いな。人と一緒に音楽を聴くって本当に素晴らしいな」。もう20年以上、毎年訪れていますが毎回、懲りずに同じように感じています。ですが今年はそれをより感じることができました。その結果が3日間の通し券と土曜日の1日券がソールドアウトしたという結果になったんだと思うんですけども、それを聞いて期待できるぞとは思っていたんですけども、実際に一番大きなステージであるグリーンステージが人で埋め尽くされて動けなくなるくらい通路も無いっていうぐらい人が入っているのを見たのは本当に6年振りのことだと思います。特に土曜日は明け方まで人の流れが途切れなくて、これぞフジっていう光景が見られました。何しろ僕、2021年のフジも行ってますけども声出し禁止、酒禁止、地面に描かれたマスの中に立って前後左右1マスずつ開けてっていう、拷問のようなフジに行きましたから。それに比べたら本当に天国のような状況でした。


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今年は色々なジャンルのアーティストがブッキングされていて、3日間にわたりヘッドライナーの人気も高く、とても盛り上がりましたが、なんといっても土曜日がソールドアウトした理由っていうのはヤマタツ、山下達郎人気なんだろうと誰もが話していました。と言うのも普段は1500人とか2000人とか、それくらいの規模の会場でしかライブをしない人なので、どうしてもチケットがプラチナペーパー化してしまい、「観たいのに観られる機会が一切無い」とずっと嘆いていた人たちにとって山下達郎のフジ参戦というのは、この機会を逃したらもう一生観られないんじゃないのかという状況を生み出して、会場は本当にパンパンでした。こんなフジロックで見たことがないっていうようなハードコアな白髪の夫婦とかちらほら見ましたし。コロナ前、山下達郎が2010年ぐらいですかね、ツアーを再開してから4、5回チケットが当たって観に行っていた僕にとってもすっかりご無沙汰のライブで、人並みに押されながら観に行きましたが、ひたすらカッティングギターが炸裂する怒涛の演奏で、初めて彼のライブを観た知り合いたちは年齢関係なく感激して泣いていました。こういう機会があるっていうのもフェスの良いところですよね。僕もフジで初めて観て井上陽水や忌野清志郎のファンになりましたし。ライブで言うとそれ以外にもヒョゴとサンセットローラーコースター、初来日のヴルフペックを筆頭に、毎日、随分ライブを観ました。ヴルフペックの演奏っていうのは凄腕スタジオミュージシャンの集まりで、特にベースのジョー・ダート、個人的にめちゃくちゃ注目していたのですが本当にブリっブリのファンクベースで、彼モデルのベースが欲しくなってポチッとしようとするぐらいになってしまいました。弾けないんですけどね。それにリトル・シムズやフレッド・アゲインもそうですが本当に思い出深いフジとなりました。とは言え一番の思い出は演奏ではなくて、それは初日の「ヒョゴとサンセットローラーコースター」のライブがグリーンステージで行われていた時かな。演奏も素晴らしかったですし、夕暮れ前、天気も良くてステージをバックに写真でも撮ろうとポケットからiPhoneを取り出して、ステージに向けて片手で構えた時です。突然、1匹のトンボが僕のiPhoneに留まったのです。「おぉトンボだ!」。周りの友達もびっくりしてそれをパシャパシャ写真に撮ってたんですが全然飛び立たないんですよ。そのうち翼がどんどん下の方に垂れてきて、完全くつろぎモードになってしまいました。僕はなんか申し訳なくってiPhoneを下ろすこともできずに片手で肩の高さでiPhoneを持つこと1分、5分、10分。早くどっか行ってくれないかなと思っていたら2度ほど飛び立ったのですが、すぐにまた同じところに戻ってきて留まるんですよ。そのうち向きを変えて僕と、顔と顔を突き合わせる形になりました。生まれて初めてっていうぐらい、こんなにまじまじトンボの顔を見たんですけど、結構人間みたいな顔をしててなかなか愛嬌があるんですよ。それでちょっと話しかけてみたりすると首を傾げたり頷くんですよね。結局、演奏がほぼ終わって歩き出したんですけど、その時も留まったまま。それでずっと歩いていたんで通り行く人たちが完全に不思議な人がいるっていう目で見るんですよ。違うんだ!別にわざと見せつけてるわけでもなくって、トンボが留まってるんだ!だけど、なんかアクセサリーに見えちゃうくらいガッツリ留まってたんですよね。30分以上一緒にいたでしょうか。メインゲートの手前で突然いなくなりましたが、自然の昆虫とあんなに長く一緒にいた経験は初めてでした。それにしても首を傾げるタイミングも何もかも完璧で、それをずっと見ていた隣の友達が「亡くなった友達か誰かが訓市にトンボになって会いに来たんじゃない?」と冗談で言っていましたが、そのうちみんな本当にそうなんじゃないのかっていうぐらい、ちょっとした不思議な出来事でした。誰だったか分からないけど、会いに来てくれて有り難う、トンボくん。