ON AIR DATE
2025.05.04
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

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  Let's travel! Grab your music.


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TUDOR logo

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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

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--- コーチェラの現場で考えさせられたこと ---

テーマは「コーチェラ」

フェスファッションが話題になり、
セレブが行くフェスと言われて
全く興味が無かった「コーチェラ」に行った訓市

テントに寝泊まりしてフェスを楽しんだのは
遠い昔のこと...
今回、宿泊したのはコック常駐でプールあり、
個室ありの至れり尽くせりな空間

今回のフェスを堪能しながら感じた
日本のフェスが抱える今後の課題とは?

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リスナーの皆さんからお寄せいただいた
“お便り”の中から訓市が独断でセレクトして
紹介します。
旅の話はもちろん、仕事、進路、人間関係から
恋愛、夫婦・親子関係まで・・・
全ジャンル、全テーマにご対応!
曲のリクエスト、選曲のオーダーにもお応えします。

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当番組のPodcastは・・・
毎週日曜日の20時に最新版をアップします。
こちらも聴いてください〜

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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!

そして、旅の話だけでなく、
仕事、進路、人間関係から恋愛、夫婦・親子関係まで
全ジャンル、全テーマにご対応!
曲のリクエスト、選曲のオーダーにもお応えします。

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2025.05.04

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

King Of Sorrow (Guru Remix) / Sade

2

Angel Child / Oasis

3

Into Something Blue / Bill LaBounty

4

Girl From The North Country / Bob Dylan

5

NIYABINGHI Baby / Fishmans

6

Sofia / Clairo

7

Round And Round / Ariel Pink

8

Mirage / Toro Y Moi

9

Long Road / Funki Porcini

2025.05.04

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。



KUNICHI was talking

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先日、4月は僕の誕生日なんですけども、その日にアメリカに行くことになりました。友達がちょっと集まって日付をまたいで誕生日を祝ってくれて。「もう50歳の時のような大きいイベントはしないんですか?」ってよく聞かれるんですけど、あれはありがたいっすけど疲れるし、僕は本当はそもそも小さくやるのが好きなんですよ。あの時は50歳という節目だったので、知り合いのミュージシャンたちが「そういう時なら格安で」とか「タダでやります」って言ってくれて、じゃあこれでみんなで色んな音楽を楽しもうっていうのが目的でしたから、毎年そんな手使えないじゃないですか、プロに申し訳ないというか・・・。と言う訳で小さく朝まで飲んで帰って、パッキングして夕方に出発するとロサンゼルスに着いたのがまだ自分の誕生日当日の昼。そこから今度はロスでもお祝いをしてもらったので、誕生日が40時間ぐらいあったようなそんな思い出深い誕生日となりました。飛行機を降りる時もCAさんから「お誕生日おめでとう」とワインのボトルも貰いましたし、誕生日に飛行機に乗るのは得することなんでしょうかね。今回はロスで飛行機を乗り換えてパームスプリングスへ。飛行機が着くゲートからターミナルに出ると、そこからすぐ外を歩く。ハワイの空港もそんな感じでしたけど、パームスプリングスというのは砂漠気候の避寒地。通年暖かいというか暑く、いつの間にかリタイアした人たちが多く暮らす保養地となった。まあ普通にパームスプリングスに行きたがる若い人ってあんまりいないと思うんですけども、じゃあそこに何しに来たのかと言えば、それは「コーチェラフェスティバル」に行くため。海外のフェスに参加するというのはもう何年ぶりなんだろうか。フェスといえば「フジロック」が参考にしたイギリスの「グラストンベリー」というフェスが僕は好きだったんですね。もうずいぶん行ってないので、今はどう変わってしまったか分かりませんが、昔はまだ「ウッドストック・フェスティバル」が持っていた理想主義的な部分を引きずっているところがあって、自由な感じで様々な人が参加して昔のヒッピーの残党もたくさんいましたし、キャンプしながら転々と各地を歩くちょっと薄汚い人たちもたくさんいて、それがロックフェスだっていう僕の中のイメージだったんですよ。それに比べて99年に始まった「コーチェラフェス」っていうのはよく名前を聞くようになったと思ったら、やれフェスファッションだのセレブが参加する華やかなフェスというイメージが強くて、実際今まで誘われても全く興味が無くて行ったことが無かったんですよ。すごい出演者のラインナップだな、見たいなと思うことはあっても、ロス近郊のおしゃれフェスみたいなイメージで、そのうち僕もさらに大人になってきましたから、日本から現れるおっさんはおしゃれフェスに相応しくないだろうと縁も無いしと思っていたわけです。しかもこの円安。一体いくらかかるんだっていう感じですが、そんな時に友人たちと一緒にお呼ばれして、突然行けることになったのです。フェスの会場から車で3、40分の場所にある貸別荘地を丸借りしたGUESS JEANSの「ゲスコンパウンド」という所に泊まり、毎日そこからパーティーバスに乗ってフェスに行く。「コーチェラに行く上で最も楽で、最も甘やかされた過ごし方だから、そんな機会逃さない方が良い」と過去参加したことのある友達に言われて、それもそうだな、やったことのないことを毎年するということを正月での目標にしている僕にとって良い経験ということになるんではないかと行きました。まあ、とにかく楽でしたね。家はアメリカのドラマに出てくるぐらいデカくて、友達がそれぞれの個室をあてがわれて、9部屋あったのかな。プールはありますし、コックさんが朝からご飯をそこで作ってくれます。ダメ人間一直線の暮らし。かつて食パンなどを持参してテントに寝泊まりしていた僕にとって最も憎むべきブルジョアな過ごし方ですが、あっという間に取り込まれてしまいました。もうテント暮らしは無理かもしれません。

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日中はとんでもなく暑く、フェス自体も午後の1時から始まるコーチェラ。これはすごく良いなと思いました。遅く始まる代わりに遅めにメインも終わる。めちゃくちゃ暑いフジロックもこうだといいんですけど、本当は終電の関係とか宿まで戻るバスが無くなるからとか色々問題があるからなんでしょうけども、土曜日なんてメインアクトが12時から始まるぐらいで全然いいというか、その方が盛り上がると思うんですけどね。会場は砂漠地帯と聞いていましたが、もともとは馬の牧草地なんですかね、だいたいが芝生で土埃が酷いからバンダナとかで口回りを隠した方がいいって言われていましたが、晴れた日のフジの土埃に慣れてる身としては、「ここは天国?」というくらいの感じでした。芝生と強い日差し、もうなぜかカリフォルニア感満載で、確かにここならフェスファッションというか、みんなオシャレして着たくなるというもの。女子はかなり露出が高かったり、とてもロックフェスとは思えない感じでしたね。敷地がやたら広大で映える用のスポットもいくつも設置されていて、金もすごくかかっているなーというのが正直な感想でした。メインステージ、サブ的な大きなステージが2つあって、それ以外にも巨大なステージがたくさんあるんですけどもサウンドシステムもとんでもなく大きいものがついていますし、そして何よりモニターがでかい。フジのグリーンステージのモニターの10倍ぐらいというか、ステージの後ろ全部モニターなんですよ。その場でライブを見ている時にももちろんそのモニターが絶大な効果を発揮していましたが、これはネットでストリーミングをする時により映えるライブ映像を作り上げるために設置されてるともいえます。めちゃくちゃ高いらしくて、そういう設備に詳しい友達が「ありえない。こういうところにこのサイズで使えてしまうっていうのが」。フジやサマソニが始まった時、世界レベルのフェスが日本でも始まる、そしてその中身も最新だとか世界一綺麗なフェスだなんて言われていて僕もそう思っていましたが、規模感とかで言うとずいぶん置いていかれているのだなというのが正直な感想でした。僕は何でもお金をかけて商業的にすることに対しては割と保守的なんですけども、それでも色々と考えてしまうことが多かったです。チケットも一般とステージ前まで行けて専用のエリアもあるVIPに分かれているんですが、これもどうなのかなと思う一方、上手く人が密集しないようにコントロールしやすくなってたり、そのお金で運営を上手く回してるらしいと聞いて一概に否定的にもなれず。日本のフェスっていうと例えばお客さんの高齢化が指摘されていたり、洋楽に対しての反応が薄かったり、サマソニはK-POPスターを呼んだり、いわゆるアイドルも出演したり。「それってもはやロックフェスじゃない」と怒る同年代の友達もいますが、継続していくためには時代にある程度合わせていく必要もあるのだとも思いますし、コーチェラも昔はいわゆるロックフェスでインディバンドとかニューウェーブのバンドがヘッドライナーだったらしいんですけども、だんだんとインフルエンサーとかセルブ的なものにくっついて巨大化していったらしいんですね。それでもちゃんと僕も観られて感激っていう古いパンクバンドがトリに出てきたり。何より今回一番感動したのは実はロサンゼルス交響楽団のクラシックの演奏で、夕焼け空に芝生の上で聞くクラシックが本当に素晴らしくて、しかも色んなその若いお客さんたちも来て、すごく盛り上がってたんですよ。いいなあと思って。規模的に言うと、ROCK IN JAPANとサマソニとフジロックを全部一緒にした感じですかね。アクトも。それも良いなって思いました。あと今回気づいたのは、すごい人気で、ネットで例えばミュージックビデオがすぐ億再生されるような人たちがライブのパフォーマーではないんだなって気づいたりとか、そういうことも分かりました。決して悪口を言ってるつもりではないんですけども、ライブで見るより映像で完パケで見せた方が良いアーティスト、そしてそういう人たちがより世界にリーチするわけで、人気があるっていうのもすごく分かりました。そんなことでいろいろ考えさせれるコーチェラでしたが、こんなに考えている僕って誰なんだろうって思いました。別にスマッシュの人間でもなんでもないんですけどもね。なんか「フェスもこうしないといけないんだな」とかブツブツ言っていたら、一緒にいた友達に「すごい真剣に考えるんですね」って言われて、ちょっと恥ずかしかったです。