ON AIR DATE
2025.01.26
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  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54


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 Let's travel! Grab your music.

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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

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#538 --- すごく怖いてるてる坊主 ---

正月休みに訪れた「モルジブ」。

行くことを躊躇する程の時間をかけて、
豪雨の中、たどり着いた「モルジブ」。

想定外の豪雨も一晩で上がり、
翌日から過ごして究極の楽園で
最も楽しかったことについて語る。

リスナーの皆さんからお寄せいただいた
“お便り”も紹介します。
旅の話はもちろん、仕事、進路、人間関係から
恋愛、夫婦・親子関係まで・・・
全ジャンル、全テーマにご対応!
曲のリクエスト、選曲のオーダーにもお応えします。

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引き続き、毎週1名の方には、
「500回オンエア記念Tシャツ」をプレゼント中!

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当番組のPodcastは・・・
毎週日曜日の20時に最新版をアップします。
こちらも聴いてください〜

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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。

訓市がセレクトした“お便り”の中から
毎週1通を厳選して、
「番組オリジナルTシャツ」をプレゼント!

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2025.01.26

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

The Guns Of Brixton / The Clash

2

Since I Lost You / Genesis

3

By This River / Sigh Boat

4

Ashe / Aaron Parks

5

Lean On Me / 金子マリ

6

Honey Dove / Lee Fields & The Expressions

7

Do What You Gotta Do / Roberta Flack

8

Preoccupied / Mac DeMarco

9

Us - A Color Show / FKJ

2025.01.26

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。


KUNICHI was talking

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先日、新年を迎えた後、モルジブに行ってきました。コロナ前、2019年の春にも行ったことがあるので2回目になるんですけども、それがもう6年前かっていうことにびびってしまいましたが…。今回は今年の5月に大阪に新しいホテルを開ける「パティナホテル」というチェーンの1号店がモルジブにあるというので、お誘いを受けて行ってきたわけです。はい、自腹じゃないです。しかも仲良しの友達と一緒に。いわゆるリゾートホテルというのは基本金持ちの年配家族とカップルの場所。値段を見れば僕の予算ではとても行けないはずなのですが、たまたま知り合った海外の友達の仕事を「タダでいいよ」とやっていたら、「うちの家族、リゾートホテルやってるからギャラ代わりに泊めてやるよ」。それが友達と一緒に行けるっていうのは今後生きていても多分ほぼ無いだろうということで、「喜んで行きます」と行ったんですが、唯一悩んだのがその遠さ。モルジブは直行便が無いので行くのにやたらと時間がかかる場合があるんですよ。1番近いのがスリランカのコロンボ経由で、それだと13時間くらいで行くらしいんですけども、急遽決めた為、空いていた飛行機はカタールのドーハ経由。最も時間がかかるルート。23時間ぐらいでしたかね。ご招待とはいえ一瞬辞めようかなと気が萎えたのですが、一路モルジブへ向かうことになりました。覚悟してたとはいえ、それでも本当に辛かったですね。行きは羽田からドーハ迄、なぜだか分かりませんが13時間。そこから今度は4時間ちょっとでモルジブのマレへ。そしてそこからは今度スピードボートで1時間かかるんですが、着いた時は「あれ?常夏じゃないの?」「間違えたとこに降りたかしら?」っていうぐらいの嵐のような雨。別に雨季があるわけじゃないんですが、突然そういうのが何日も続いたりすることが最近はあるそうです。「早く出ないと運行中止になる」・・・そう急かされてボートに乗ったら苦手な人だったらかなりビビるくらいの揺れでして、上下に。ジェットコースターみたいでしたけども着いても土砂降りで、天気予報見たら1週間ずっと土砂降りマーク。これは来るべきじゃなかったかと思いきや、突然次の日からは見事に晴れました。これは連れの友達が「確実に晴れる」と作って持ち込んだ目がめちゃめちゃ怖いてるてる坊主のお陰だと豪語していましたが、すごい怖かったんですよ。目を丸くマジックで黒く塗ってるんですけど、それがにじんで黒目だけの見つめちゃいけないようなてるてる坊主で。でもそれを持ち込むと必ず晴れるらしいんですね。「モルジブ」と「てるてる坊主」。とてもお世話になりました。ホテルは水上コテージがあって、自転車で移動して、毎日泳いで酒飲んでと、何もしたくないなあと思うことしかない素晴らしい滞在となりました。


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とにかく景色も綺麗で、ウミガメさんも見ましたしイルカさんも見たし、高いところから飛び込んだりと自分がやりたかったことは全てしたんですけども、一番楽しかったというか素晴らしい時間を過ごしたのはアーティストのジェームス・タレルの作品でした。酔っ払いながら自転車を漕いでいると、7色の光が変化する四角い建物が視界に入り、「あれは何ですか?」と聞くとタレルの作品だと言うじゃないですか。そんなものがあると事前に一言も聞いてなかったので本当にびっくりして、すぐ中に入ってみました。タレルはアメリカ出身の現代アーティストで光と空間を組み合わせて色んな作品を作ってきた人です。今でも存命なんですけども、一番有名なものはアリゾナ州にある「ローデン・クレーター」。これは1979年から今でも作り続けられていますからアートピースのサグラダ・ファミリアみたいな感じなんですけど・・・火山のクレーターを買って、まずその噴火をできる限り丸にちゃんと削って、そこから空を見上げるというもので。それ以外にも、地下室を作ってトンネルで穴を開けてそこから差し込む光の角度とか移り変わりを感じるという場所です。何がそれが凄いのかっていうのを僕のつたない説明ではなかなか分からないと思うんですが、日本にもいくつも作品があるんですよ。直島にもありますし、金沢には「21世紀美術館」の中にもあります。モルジブにあったのはその「21世紀美術館」にある作品に近いもので、24時間変わり続けるライトアップされた四角い建物の中を入ると、その中にはまた小さな四角い構造体が建っています。回り込んで歩くと入り口の反対側にまたその構造体に入る入り口があり、中に入ると部屋は四方がコンクリートのベンチが付いています。そしてそのベンチに座って部屋の中央部を見ると四角く天井が開口していて、そこから移り変わる空の色とか、夜になるとその星の移動とか月が見えたりするわけです。こうやって言うと何もすごく特殊な素材を使ったりとか何もしてないんですけども、すごいシンプルなコンセプトなんですけども、その分その効果っていうのが逆にものすごい強くて素晴らしいんですよ。入ってみないと分からないんですけども、誰もがそこに座って無言で開口部分から見える空を何分も眺める。それは場所によっては並んだりとか、すごい人気のアート作品なので、それを見放題っていう贅沢な時間だったんですが、それだけじゃなくて貸切ということで、そこにBluetoothのスピーカーを真ん中に置いて色んな音楽を聴くことができました。この番組のタイトルにもなっているOpikの「Travelling without moving」から、ブライアン・イーノとかニーナ・シモンなど番組でよくかける曲も色々かけました。Bluetoothのスピーカーは音もそんなに大きくならなくて、ベースもあんまり聞こえないようなものでしたけども、はっきり言ってここ最近で一番良いリスニング環境でした。って、この間ニューヨークで良い機材のこと話したばっかりなんですけども、機材ももちろん大事なんですけど、聴く場所もやっぱり音楽にとってはとても大事なんだなということを再認識しました。自分の聴きたい音楽を用意して好きな景色の所でそれを聴く。音楽っていうのは本当に不思議で、たとえ音質が悪くても一緒に聴く人が誰かとか、そこから見える景色とか、ノイズだとしても例えば良い風の音が聞こえるとか、周りの環境によって随分と聴こえ方が違う気がします。今年はもっと色んな場所で音楽を聴きたいなあと思いました。皆さんもぜひ小旅行とか出かけて、その環境の音と一緒に音楽を聴いてみてください。