2020/01/11 ON AIR
中田英寿 大阪の旅 金剛組
中田英寿さんの旅、今週は、大阪編の第5弾、
1400年以上の歴史を誇り、
世界最古の建築会社と言われる金剛組を訪ねた模様をお送りしました。
ご案内いただいたのは金剛組の阿部知己さん。
まずはその歴史のお話を伺うと、組織の始まりは飛鳥時代。
聖徳太子が仏教施設の建立のため百済から連れてきた大工の内の一人が
初代となる金剛重光氏だったのだとか。
災害が多い大阪で、被災するたびに四天王寺の修復を手掛け、
組織が続いてきました。
明治までの約1200年間は四天王寺専属でしたが、
それ以降、日本各地でも活躍するようになります。
その組織体系は独特で、
現在は8人の棟梁とそれぞれが持つ8つの組と一緒に仕事をされています。
その内のひとつの組、木内組の木内繁男にもお話を伺いました。
木内さんは、この道51年。
お父様も宮大工さんで、ご自身も 同じ仕事につかれました。
木内さんによると、宮大工は仏様の入る家、
つまり信仰の対象となる建物をつくる仕事。
彫刻を入れたり、屋根を反らせたり、
豪華な作りにする独特な技が必要とされます。
また昔、お寺は災害があったときの避難場所にもなっていたので、
頑丈に作る事も重要なのだとか。
そんな数々の技の中から、一つ見せていただいたのが「継手」。
釘を一切使わず、木と木を組み合わせて長い材料をつくる技です。
釘から出た錆が木に回って傷んでしまうのを防ぐため、
宮大工たちはパズルのように木材を継ぐ技術を磨いてきたのだそうです。
釘を使わないので、解体した木材は再利用する事もできます。
木内さんたち大工さんは古い建物を解体する時に継手を学ぶそう。
中にはどうしても取れなかったものもあったというお話も。
先人からのメッセージを紐解くようで、面白いですよね。
古い建物を解体する時、墨書で書かれた情報も実は重要。
いつできたか、いつ修理したかがわかる他に、
何日働いて米何升をもらったというような、
当時の貨幣価値が伺える情報もあるのだそうです。
さらにはとある旅館の娘さんが美人、なんて事も書いてあったとか。
様々な技法に欠かせない道具。
一番初めは「ノミ」の練習から始めるそうですが、
「カンナ」はこの道50年以上の木内さんでも
まだ完成していない、というほど難しいと言います。
きれいに削る事で木の繊維をつぶさないため、
削った面を顕微鏡でみると毛羽立たず、水をはじきます。
このカンナの技、木内さんは
「死ぬ前の日に完成さそう、思て」と仰っていました。
最後、お二人に金剛組のこれからについて伺いました。
「やっぱり、今まで続いて来たのは、四天王寺さんのおかげ。
大きなことは言わずに、これからも残していける建物を残していって、
宮大工の仕事を続けていきたいと思いますけどね」(阿部さん)
「金剛家が続いてきたのは、なぜか。革命をおこさない。
システムは変えない。お金に走るといかん。
きょうのことをまた明日やる。これが延々と続く秘訣やと思うけどね。」(木内さん)
金剛組が手がけた仕事は東京都内にもあります。
日本武道館へ行く時に通る田安門や、旧江戸城の清水門などを
修復されているとの事。ぜひ、ご覧になってみてください。
▼金剛組
https://www.kongogumi.co.jp/