SATURDAY 18:00 - 18:54 | NAVIGATOR Mao Sakaguchi & Ellie Toyota

GUEST

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2020.11.07
石山アンジュ

シェアリングエコノミーの普及に取り組む石山アンジュさん。
渋谷で実践されている拡張家族のお話、
これからの未来をつくる「シェア」の可能性をたっぷりとうかがいました。

日本最大のシェアリングエコノミーの祭典『シェアサミット2020』は11月16日にオンラインで開催されます。参加費は無料。
詳細は特設サイトをご覧ください。

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2020.11.07
絶滅危機の黒檀取引を変えたギター工房

楽器の原料となる木材は、木なら何でもよいわけではなく、強度や重さなどの特性により、厳選された木材が使われます。ところが、その黒檀が今、密かに危機に瀕しています。ギターやバイオリンのメーカーは、近い将来、硬質さと黒い光沢を併せ持ったこの理想的な素材を、手に入れることができなくなるかもしれません。

風光明媚な米国西海岸の都市・サンディエゴに本社と生産拠点を置くテイラー・ギターズは、楽器産業が知らずのうちに直面しているこの「黒檀危機」を、自らの力で解決しようとしています。老舗であるマーチンやフェンダーを抜き、いまやアコースティック・ギター部門で全米トップの売り上げを誇るテイラー・ギターは、1974年にボブ・テイラーらによって創立され、匠の技とテクノロジーを融合させた製造方法で、ハイエンドのアコースティック・ギターを開発し続けてきました。水の流れのような清明で澄んだ音が特徴で、テイラー・スウィフトやジェイソン・ムラーズなどの一流ミュージシャンにも愛用者が多いことで知られています。テイラー・ギターは、指板に使用する黒檀を、25年前から中部アフリカのカメルーン産でまかなっています。

そもそも黒檀は、アフリカ中部、マダガスカル、インド地域などの限定された熱帯雨林にしか自生しない、希少な種。しかし、弦楽器以外にも家具、装飾品、ピアノの黒鍵などに使われ、高い商品価値があるために、人々は、ある産地の黒檀の森を切り開いては木を切り尽くし、なくなったら次の産地へ行き、またなくなるまで切り尽くす――という破壊的な慣習を続けてきたのです。その結果、マダガスカル、ガボン、コンゴなど多くの自生地域で、黒檀の森はほぼ消滅。そういった地域では種を守るため、今では伐採そのものが禁止されており、違法伐採とのいたちごっこを繰り広げる事態に陥っています。カメルーンは地球上に唯一残された、合法的に黒檀の商業伐採ができる国なのです。

そういった状況の中でテイラー・ギターが選択したのは、カメルーンを第二のマダガスカルにしないため、自腹を切って黒檀取引の改善に乗り出すことでした。そして会社の規模に見合わぬ大きな投資をして、彼らに黒檀を卸していたスペインの企業との合弁で、カメルーンの木材加工工場を買収したのです。最初は「事業」としての側面が強かったこの買収ですが、自らカメルーンに赴き現状を知ったテイラー氏は、この事業の持つ社会的側面の広がりに圧倒され、「他の誰でもない、自分たちが黒檀の森を守らなければ」と決意を新たにします。そして、伐採の認可システムを強化して、違法伐採を排除し、合法に認可を得て切った木材だけを受け入れる体制を整えていきました。

そんな中テイラー氏は、人生を変える出来事に出会います。2011年のとある日、彼は、買収した加工工場に黒檀を納入している伐採業者と話をしていました。商売はどうかとたずねると、あまりよくない、という答えが返ってくる。わけを聞いたところ、コストを考えるとカツカツだ、と。道路沿いにあった運搬しやすい木はもう全部切ってしまったから、今では5キロ8キロと山の中に入っていかなければならず、そこで切った木を木材にして道路まで運び出し、工場まで運ぶのにたいへんな労力がかかる、と。そしてこう付け加えたそうです。「おまけに、B級の木は使えないし」。

ギターメーカーのトップであるテイラー氏が、「B級の黒檀」なるものの存在を、初めて知った瞬間でした。よくよく聞いてみると、B級の木はA級の5分の1の値段にしかならないため、工場まで運搬するコストが出せない。そのため伐採業者は、切り倒してB級だとわかったら、そのまま放置するのです。そして、A級の木はほぼ10本に1本しかない。つまり、危機に瀕しているはずの黒檀の、実に10本に9本が無駄に切り倒されていた、という事実。

それでは、A級とB級の違いは何なのか。それは、「色」でした。
A級として売れる黒檀は、均等に真っ黒でなければならない。少しでも灰色の部分があったり、まだらが入っていたりすると、B級とみなされて、商品価値を剥奪されてしまう。材木としてのクオリティに違いはない。ただ真っ黒かそうではないか、それだけ。テイラー氏は伐採業者に言います。「じゃあ、B級の木にもA級と同じ値段をつけて買い取ってやる、といったら?」。すると業者は、「それはすごくありがたい。切る木も少なくてすむし、今より収入も増える。だけど、B級は使えないのでしょう?使えないって聞いていたから」。

そうして、黒檀供給側から見れば「顧客」であったはずのギターメーカーから、音楽産業を変える決断が生まれました。カメルーンで生産される黒檀の75%を扱い、世界中の楽器メーカーに黒檀を卸すテイラー・ギターズ所有の加工工場では、そのときからまだらのB級黒檀が使われるようになったのです。

From『オルタナ』
(サンフランシスコ=藤美保代/InterAction Green)

VOICE OF THE WORLD

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2020.11.07
7/11/2020 ベトナム・ホーチミンからの手紙

みなさんこんばんは。ベトナムのホーチミンから「Pizza 4P’s」の永田悠馬です!前回は、ピザを包むデリバリー用の袋として、「バイオプラスチックバッグ」を導入した、という話題を紹介しました。

今日は、「ホエイの再利用」、、、についてお伝えします。

ぼくたちは、創業当時から、お店で使うチーズは自分たちの工房で作っています。ただ、問題もありました。チーズを作る時に、「ホエイ」という副産物が大量に出てしまうことです。ホエイとは日本語で「乳清」と言います。ヨーグルトの蓋を開けた時に、上に溜まっている液体、といえばイメージがつきやすいでしょうか?

チーズ作りの原料はもちろん牛乳ですが、じつは、実際にチーズになるのは牛乳の1割ほどなんですね。残りの9割はホエイとして捨てられます。ホエイは濃度が高いので、捨てるとなると、適正に処理するには大きなコストがかかり、世界中のチーズ工房にとっては頭の痛い課題となっています。
しかも、ぼくたちのチーズ工場では20店舗分のチーズを作っているので、毎日、3,000Lものホエイが出ています。これは、捨てずに使えないだろうか、、、ということで、いろんなトライをしています。

例えば、僕たちが野菜を仕入れているオーガニック農園では、ホエイの栄養価の高さに注目して、畑の土に撒いたり、農場の牛にも飲ませています。また、地元のクラフトビールを作っている醸造所に依頼して、ホエイを使った黒ビール「ホエイスタウト」も作りました。スタウトというと、どっしりとしたテイストと力強い苦味が特徴ですが、ぼくらのホエイスタウトはミルキーな清涼さが特徴です。スタウトのテイストは残しつつ、サラッと飲みやすく、後味にホエイの風味も感じることができて、常夏のホーチミンにもピッタリです。

さらに最近は、ピザ生地にホエイを混ぜ込むこともテストし始めました。ホエイをピザ生地に混ぜ込むと、なんと生地の食感がサクッと軽やかになることが分かったんです!

普段捨ててしまっているものは、視点をかえて再利用してみることで、新しい価値を発見できるかもしれませんね。ということで今日は、ベトナムのホーチミンから、「ホエイの再利用」の話題でした。

REPORTER
永田悠馬

ケンブリッジ大学ビジネスサステナビリティ・マネジメントコース修了。2018年にカンボジアからベトナムへ移住。現在は、「Pizza 4P’s」のサステナビリティを担当している。

ABOUT ETHICAL WAVE

地球は今、人による自然資源の消費が地球生産力を超過する現実に直面しています。
目の前に突き付けられている現実は「解決した方が良い問題」ではなく、「解決しなければ後がない問題」です。

コンセプトは「3年先の生き方を探るエシカルな60分」です。