日本のIT人材が「約45万人」も不足する─育成のための“デジタル活動”支援とは

(画像素材:PIXTA)

日本のIT人材が「約45万人」も不足する─育成のための“デジタル活動”支援とは

日本のデジタル人材の育成について、経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐の岡野泰久さんが語った。

岡野さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『INNOVATION WORLD』(ナビゲーター:川田十夢)のワンコーナー「DNP GLOBAL OPEN INNOVATION」。オンエアは2022年1月14日(金)。

デジタル関連の部活動を産業界が支援

岡野さんが所属する部署では、さまざまな産業のデジタル化の動きを国として推し進めている。将来のデジタル人材候補を育てるべく、「デジタル関連部活支援」に関する検討会も立ち上げた。

川田:どんなものなのでしょうか。

岡野:いま世の中はデジタル社会にシフトしようとしています。未来社会の原動力として期待されるのが、やはりデジタル人材かなと思います。経済産業省のほうで、未来のデジタル人材候補として期待される中学生や高校生が活動するパソコン部やプログラミング部などデジタル関連の部活動を、学校だけではなく産業界が中心となって支援する。そのためにはどういう仕組みが必要なのか、有識者たちをお招きして議論するために、2021年10月に検討会を立ち上げました。

川田:すごく大事です。デジタルに関する部は、どういうのがあるんでしょうか。

岡野:プログラミング、ロボット、AI(人工知能)関連など多岐にわたります。

川田:漠然と「プログラミング」というよりは、その次のロボティクスやディープラーニングなど、より掘り下げたところにいきたい感じですかね。

岡野:そうですね。たとえばデジタルを活用した技術、デジタルアートなど、デジタルを活用してソリューションを生み出すとか、そういった活動も対象として考えております。

川田は「そんなデジタル部活があったら最高。そういう時代が来るのを待ちわびていた」とうれしそうだ。

川田:岡野さんは何を担当されているんでしょうか?

岡野:部活を含むデジタル人材育成政策全般、また地域産業のデジタル化を後押しする政策を担当させていただいています。

川田:地域の格差やモラルの違いみたいなものはありますか?

岡野:大都市圏では徐々にデジタル・トランスフォーメーションの動きが見受けられますが、地域によってはまだアナログと言いますか、デジタルより人のノウハウを大事にされる傾向があるかと思います。 2030年にはIT人材が約45万人不足 岡野さんが、日本のデジタル人材の不足と、それに対する検討会の重要性を解説した。

川田:世界的なデジタル競争みたいなことがあるとしたら、日本は世界でどのくらいなんでしょうか。

岡野:残念ながら、諸外国と比較するとデジタル人材のスキル的にはそんなに高くないです。人材不足の観点で申し上げると、2018年度に経済産業省が実施したIT人材の需給調査では、ITニーズの拡大により、2030年にはIT人材が約45万人不足するという試算が出ております。これから社会をデジタルシフトしていくところでは、デジタル技術を活用してビジネスをデザインできる、そんな人材がますます日本国内においても必要になってくるのかなと。そういう状況を踏まえますと、大人だけではなくて、今から子どもたちのデジタルスキルやデジタルを使いこなす力、そこを高めるための仕組みが必要だと考えておりまして、今回の我々の検討会が一翼を担えるのではないかなと期待しています。

川田は「僕はまさにデジタル世界のクリエイティブをずっとやっている。日本はマジで人が足りていない。プログラミングを自分たち以外の人に頼もうとすると、やっぱり海外になってしまう」と語る。

川田:日本人に頼めるのはなかなか珍しいこと。だから足りてないですね。

岡野:おっしゃる通りですね。そこをなんとかしたいです。

川田:でもいろいろ議論すべき問題があるわけですよね。

岡野:今回の検討会について、部活の話をさせていただきましたが、実態としてデジタル関連の部活が存在する学校は数少ないです。今の議論としては部活に限らず、地域におけるデジタル関連のクラブ活動や個人単位の活動まで幅広く中学生や高校生が取り組める活動にスコープを広げて議論をすることなりました。前向きな方針転換をさせていただきました。その上で、幅広い子どもたちのデジタル関連活動を産業界が中心となって支援するためにはどういう機能が必要なのかを議論しております。たとえば企業と学校をマッチングする機能です。また、既にいろいろな大会やコンテストが存在しますので、そういった情報の集約や、性別に関係なくデジタル関連活動に参加したいと思える仕組みなどが必要かなと考えております。 デジタル関連部活に対する生徒と教員の認識 現在は意識調査のため、デジタル関連部活に携わっている生徒と教員それぞれにアンケートを実施。結果から見えてきたものとは?

岡野:まずは生徒さんの立場ですと、デジタル関連部活の活動に対するモチベーションは極めて高い、とわかりました。その理由を尋ねると、「部活動で自由に活動できるから」や「友だち同士・部員同士の交流」が現状のモチベーションとして多く挙がっています。今後もモチベーションを維持・向上させていく観点では、実際に活動で身につけたスキルが受験や就職につながる仕組みですね。また、地方予選から全国大会まで一貫した大会。まさに甲子園(全国高等学校野球選手権大会)みたいなイメージですかね。そういったものの整備を求める声が多く挙がっておりました。一方、先生の観点からは、やはり「部活動をするためには指導体制が十分でない」や「顧問の業務負荷が高い」といった声が多く挙がっていました。お忙しい先生が部活指導されていて頭が下がる思いです。私としては先生の働き方改革の観点からも産業界が子どもたちの活動をサポートするのは意味があるんじゃないかなと思っています。
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