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ポール・マッカートニー「気づくとギターを持っていた」 盟友ジョン・レノンに宛てた曲

ポール・マッカートニー「気づくとギターを持っていた」 盟友ジョン・レノンに宛てた曲

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:藤田琢己)。9月11日(火)のオンエアでは、DAOKOとのコンビでお届け! ここでは「FEATURE TOPICS」のコーナーをご紹介します。

注目の新譜・いま注目すべき名盤・話題の来日アーティストなど、週替わりで1組のアーティストを4日間かけて掘り下げていくコーナーです。この週は、10月31日からジャパンツアーを行うポール・マッカートニーを特集しています。2日目となる11日(火)は、ザ・ビートルズ解散以降の軌跡を追いました。


■バンド解散でボロボロに…救ったのは妻リンダ

ザ・ビートルズ時代は盟友ジョン・レノンと共に多くの名曲を生み出し、世界的な成功を手にしました。しかし、レコードデビューからわずか7年ほどで解散。解散を切り出したポールは世間からバッシングされることもありました。そして存続権問題で他のメンバー3人を相手に裁判をしなければならないという、とても苦しい状況となってしまいました。

愛していたバンドの喪失。そして何よりジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターという大切な仲間との別れ。解散騒動の渦中に精神的に追い詰められ、音楽を続ける気力もなくなったポールは、スコットランドへと身を移し、1日中ベッドに横たわり、酒に溺れる日々を過ごしたそう。

そんなボロボロのポールを救ってくれたのは妻のリンダでした。リンダはザ・ローリング・ストーンズを始め、様々なミュージシャンの写真を撮っていたカメラマンで、ザ・ビートルズ解散間近にポールと結婚しました。リンダの励ましによって立ち直ったポールは、すべての演奏をひとりで担当し、ソロアルバム『McCartney』を完成させます。このアルバムに収められた『Maybe I'm Amazed(恋することのもどかしさ)』は、妻・リンダへの愛が込められた曲。今でもライブで演奏され、そのときは必ずリンダへの愛を語ってからピアノに手を置き歌います。

初のソロアルバムはもちろんヒットし、全米アルバムチャート3週連続1位を記録。しかし、「ザ・ビートルズの解散を宣伝に使った」と元パートナーのジョン・レノンから激しく非難され、関係はますます悪化。その1年後には2ndアルバム『RAM』をリリース。そして新たな音楽パートナーと共に新バンドを結成します。

ポールがパートナーに選んだのは、なんと妻のリンダ。リンダは音楽的な素養はありませんでしたが、バンドではコーラスとキーボードを担当。ミュージシャンではないため、多くの音楽ファンから批判の声があがりましたが、何よりもポールにとっては精神的な支柱となりました。

ギターの他、様々な楽器を使いこなすマルチプレイヤー、デニー・レインらを入れたメンバーで結成した新バンドがWings。Wingsはポール自ら大学にアポを取り、様々な大学を回りライブを行うところからスタート。徐々に会場を大きくしていきました。


■世界を揺るがしたショッキングな事件

ポールはザ・ビートルズを失ったことをWingsのパワーに変え、幾度もメンバーチェンジを繰り返しながら70年代を駆け抜けました。9年近い活動でアメリカでは5枚のアルバムが1位に輝くなど、大成功をおさめました。

1980年に入るとバンドは終焉を迎えます。1月6日にWings来日公演を行うために日本を訪れたポールでしたが、大麻取締法で逮捕されてしまいます。9日間の拘留期間の末、ビザは取り消しとなり強制送還。東京・大阪・名古屋、11回のコンサートはすべて中止となりました。そしてこの年、ポールの人生にとって、そして世界にとっても、もっともショッキングな事件が起こります。

1980年12月8日、ジョン・レノンがニューヨークの自宅前で殺害されました。ザ・ビートルズ解散以降は仲違いをし、インタビューや曲の中でお互いを罵っていたふたり。しかし、そんな期間でもジョンは「ポールの悪口を言っていいのは俺だけだ」と他の人が批判することを許さなかったそうです。このことからもわかる通り、彼らの友情は揺らぐことはありませんでした。

ジョンが育児に専念し、音楽活動を止めたときには電話をしたり、会ったりする仲に戻っていました。関係が修復しつつあるところでの悲しい事件でした。

藤田:ポールにとってどんなにショッキングなことだったか、我々には計り知ることはできないでしょう。

しかし、その失意の中でもポールの中から音楽は湧いてきます。「あまりにも身近だから、ジョンのことは歌にしないと思っていたんだ。でもふと気がついたらギターを持って曲を作っていた」と語っていたポール。ジョンとの思い出や、生前彼に言えなかった思いを歌った曲が『Here Today』です。

『Here Today』は弦楽四重奏を伴奏にしており、ザ・ビートルズ時代の代表曲『Yesterday』との共通点となっています。『Yesterday』と『Let It Be』は10代の頃に亡くした母親に関係する曲でしたが、『Here Today』もまた、ポールにとって人生に訪れたとても大きな喪失が生んだ曲となりました。

ポールは1981年にWingsを解散させ、ソロでのキャリアを再びスタートさせます。……というところで2日目はここまで! ポール・マッカートニー特集は続きます。

【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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