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STORY

2018.02.24

養豚農家/NPO法人「農家のこせがれネットワーク」代表の宮治勇輔さん

++ Introduction ++
神奈川県の藤沢市に養豚場がある宮治さん。
ただ、養豚家と言われると微妙で、実は豚を育てているのはお父さんと弟さんで、
宮治さんはブランド化や販売、PR、経営まわりなどをおこなっているので、
養豚農家と言っているとのこと。
みやじ豚の特徴は、まず美味しい!
成分分析によってもしっかり出ていて、うまみ成分でもある
遊離グルタミン酸が国産ブランド豚の平均に対して
約2倍含まれていることがわかったり、
脂の質はオレイン酸とリノール酸ではかるんですが、
オレイン酸は多ければ多いほど良く、リノール酸さんは少ない方がいいそうですが、
オレイン酸は、通常の豚の10%以上含まれていて、
リノール酸は3割少ないのだとか。
なので、みやじ豚は理想的な数値が出ていて、食べれば一口でわかるそう。

宮治さんは、お肉の旨さの要素を決めるのは、3つの要素があるのでは?
と考えているといいます。
それは、血統とエサと育て方。
みやじ豚の血統は、三元交配種という一般的な血統で、
エサと育て方が他と大きく違うのだそう。
まず、エサにはとうもろこしが一切入っていません。
とうもろこしは一般的なエサで、豚も食べるし悪くはないのですが、
油分が多いので、お肉が酸化しやすくなったりするとのこと。
なのでみやじ豚は、麦類、芋類、米を配合して育てることによって、
うまみ成分や脂の質、あと長持ちするようになるのだとか。
また、ドリップが出にくく、お肉の中に残っているので、
食べるときにジューシーで噛めば噛むほど口の中でうまみが広がるのだそう。
あと、見た目もうっとりするほど違うとのこと。
ちなみに、みやじ豚だけでなく普通の豚をスーパーで選ぶときには、
脂は白っぽく、赤身が色鮮やかで、ドリップが出ていない、
できる限り国産の豚を選ぶのがよい豚を選ぶコツなのだそう。

そして、美味しい豚を作る育て方は、いかにストレスなく育てるか。
ストレスが美味しさにどう影響を与えるかというと、、、

『通常、豚ってギュウギュウ詰めで飼われているんですよ。
豚なのに“ギュウギュウ”詰めなんですね。
そうすると小屋がやっぱり汚れちゃいますね。
それから豚が常に接している状態なので、
常に満員電車に乗っていることをイメージすると結構ストレス溜まりますよね。
そういうイメージですね。でもうちの豚は、ゆったりとしたスペースで
キレイな環境で飼っていて、あと一番大きいのは、
兄弟だけをひとつの小屋で飼うんですね。喧嘩しないんですね。
通常、豚っていうのは妊娠期間が3月3週3日で10匹前後生まれるんですね。
で、1カ月程度母乳で育てて、そのあと、お母さん豚と離して、
子豚たちだけで飼育するんですけど、その段階で、
大きな農場は30から100頭と大勢な豚で飼うんですね。
そうすると群れが変わります。
群れが変わるとみんな喧嘩して、順位付けをするんですね。
子豚が生まれてお乳を飲む段階だと
お乳の出の良いところを強いところが取っていって順位が決まるんですけど、
そうやって群れをシャッフルすると、
また新たに順位付けをしなければいけないから喧嘩をするんですね。
で、豚ってうちもそうなんですけど、エサが何度か変わるんですね。
その都度、大きな農場は大きさを揃えて群れをシャッフルしてまた飼い直すので、
その都度喧嘩することになるんです。
でもうちは、生まれてから出荷までをその10匹前後の兄弟だけで飼うので、
そういった喧嘩をしなくて済むんですね。
やっぱり豚も生き物だし、あー見えて神経質な生き物なので、
どんな環境で飼育するのかってのはすごい大事なことなんですよね。』


++ Until now ++
農家としては、宮治さんで4代目。みやじ豚は初代となります。
本家は江戸時代から代々農家でしたが、おじいちゃんの代で本家から分かれたそう。
子どもの頃は、全く意識せず、お父さんの後だけは継がないと思っていたとのこと。
なので、豚舎に手伝いにも行ったことがないのだそう。
ただ、豚舎で遊んではいたとのことです。
大学卒業後は、起業し株式公開して、六本木ヒルズに住んでフェラーリに乗る…
ということに憧れていた時期もあったそうですが、
起業するということは、その仕事に一生捧げることだと思い、
自分が一生かけてやりたい仕事を考えたときに、
お父さんの後を継ぐという仕事は自分にしかできない仕事だと思ったのがひとつで、
もう一つは、大学生の時にたまたまお父さんが育てた豚が
家にあって、豚1頭からだいたい50キロちょっとお肉が取れるので、
友達を呼んでBBQをやったことがあったといいます。
そしたら友達が「こんなに美味しい豚肉は食べたことがない」と
やたら感動していて、それを見て20歳にして初めて、
「うちの豚っておいしかったんだ」って気づいたそう。
豚は生きたまま出荷するので、
地域で、他の生産者のものと一緒にされてスーパーに並ぶので、
お父さんが育てた豚がわからないのだそう。そういったことがあって、
「うちの親父が育てる豚ってそんなに美味しかったんだ」と気づき、
お父さんは、自分の代で養豚はやめてもいいと思っていたが、
こんなにみんなに大絶賛される豚を無くすのはもったいないと思い、
後を継ぐことを決めたそう。
「みやじ豚」というブランド化を図って、直接販売できるようにして、
BBQでお客さんを集めて、みやじ豚を食べてもらって知ってもらって、
少しずつ広めていきたいと思ったそう。

ちなみに、決心するキッカケになったのは、
「一次産業をかっこよくて、感動があって、稼げる、3K産業に」の言葉。
この言葉を思いつき、継ごうと決心したそう。

++ Right now ++
暮らしと仕事が一致しているので、
よくワークライフバランスという話がありますが、
宮治さんの理想は、ワークとライフが一致していること。
そういう意味で農業が合っていると思うといいます。
なので、プライベートはと聞かれると困るのだそう。
でも、美味しいものを食べることが趣味でもあるし、仕事でもあるのだそう。

先日、結婚記念日に熱海旅行に行ったときには、
パソコンと携帯電話は常に持っていった宮治さん。
本当は手放したいそうですが、
仕事と暮らしが一致してしまうと、休みたい日でも
お客さんから電話がかかってきてしまう・・・。
でも、それに対しても「なんだよ休みなのに!」っていうわけではなく、
休みの日に親戚から電話がかかってくるのと同じように、
お客さんから電話がかかってくるのに対応をするみたいな形。
奥さんも一緒に仕事をしているので、
東京に仕事に出てしまうと奥さんとの一緒の時間が減ってしまいますが、
同じ仕事をしていると、常に同じ時間を共有できるし、夢や目標を共有できる。
奥さんがどう思っているかわからないけれど、
宮治さんはそれが素敵だと思っているとのこと。

仕事で悩んでつまったときの気持ちの切り替え方法は・・・

『毎日、朝の時間とか夜の時間にルーティンの時間をとるって言うのが結構大事で、
朝起きたときに、顔洗うとか当然やりますけど、
例えば瞑想するとか、朝少しの時間でも読書をするとか、
今日一日の流れとかをシミュレーションするとか、
こういうの朝のルーティンで僕やっているんですけど、
こういうことを毎朝やることによって、
日中、嫌な気持ちだからちょっと気持ち切り替えたいみたいなことが
すごい少なくなるんですね。
朝、30分でも早く起きて、そういう時間を少しでもとるだけで、
一日の気の持ちようが全然変わってくるんですよね。』


++ From now on ++
宮治さんはNPO法人「農家のこせがれネットワーク」の代表もおこなっています。
これは、都心で働く実家が農家の人=農家のこせがれの人に
農業の魅力と可能性を伝えて、実家に帰って農業を始めていただく、
その後押しをするNPO。

『例えば、東京で実家が農家の人がキャリアについて悩むわけですね。
「自分は今、東京で仕事をしているけど、このままでいいんだろうか」と。
実家では、自分を育ててくれた両親が農業をしている、家業をやっている。
もしかしたら、実家に帰って親父の後を継がないといけないんじゃないか、とか
継ぐっていうのも自分のキャリアの一つなんじゃないかとか思い悩むわけですね。
そのときに、誰かに相談したいとか話を聞きたい。でも東京で、
農業について語り合う場って周りになかなかないですよね。
そういった場を僕たちは提供しているんですね。』

定期的に農家をやっている方に来ていただいて、
ご自身の経験をお話していただいたり、そういった場を提供しているとのこと。

『本当にね、情報がないんですよね。今でこそ、少しずつ増えてきましたけど、
自分が実家に帰るときの意思決定するための判断材料が
あまりにも足りないんですね。
で、やっぱり一番気になるところっていうのは、
本当に実家に帰って食っていけるんだろうか、というところですよね。
いわゆる収入面ですよね。
東京で仕事をしていれば、安定的に給料が入ってきますけど、
じゃあ本当に実家に帰って農家になった時に、
安定的な給料が望めるのかとか、安定的に入ってきたとしても
どれぐらいの額なんだろうかとか気になりますよね。
あとは、やっぱり家族の反対。
両親から帰ってくるなと言われるとか、
あと結婚していたら嫁さんに「あんたの実家に行くっていうなら離婚よ」
と言われるとか、色んな話を聞くんですけど、
主に収入面や家族との関係がメインの悩みですね。』

稼げる農家を実現するのに必要なものは、
事業承継と言って、どうやって先代から事業を引き継ぐのか。
これが今、農業界で一番大きな課題なんだそう。
せっかく夢と希望を持って会社を辞めて実家に帰っても、
親と本人に事業を承継する考え方がないと、
経営を語るには早いからまずは農業の技術を学べ、農作業をやれ
という話になるそう。
もちろん、生産現場は大切ですが、
10年間経営のことを考えずに、農作業をしていると
経営者として自立していくことが難しくなっていくのだとか。
後継者の心構えとして何が大事になっていくのか、キチンと学んで
事業承継を円滑に進めていく・・・
これをやらないと稼げるとかの前に、右肩下がりで落ちていく可能性が
高くなっていくのだそう。

みやじ豚のこれからは・・・
昨年ウェブサイトをリニューアルし、初めてお歳暮のカタログを
お客様に送ったとのこと。
今年はキチンと1年間のスケジュールを作って、
みやじ豚の情報を提供できるような仕組みを作りたいのだそう。
なので、今年はベースを固める年。
あとは今、究極の味噌漬けを開発中。
春にはなんとかリリースしたい!!とおっしゃっていました!

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