2010年10月29日

読食の秋/番外おめざ編

 番外続きで恐縮です。こちらが今日のスタッフ用おめざ、[とらや]東京ミッドタウン店期間限定の特製羊羹「花晴(はなはる)」ちゃん。ちゃんが似合う。

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 串の先に花をイメージした羊羹がころんと付いてます。いやーんかわゆす。なんと、コレ、ファッションブランド「ミナ ペルホネン」の皆川明さんデザインだとか。いやーんおしゃれ。

 ちなみに11月3日までの限定だそーです。

 本日もご参加よろしくお願いいたします!

 あ、今日Editor's Noteのコーナーでもご紹介しますが、11月18日にワタシも参加する須永辰雄さんプレゼンツのイヴェント(@マドラウンジ)がございます。なーんと吉田類さんとトークです。詳細はこちらのblogに!

TASK WATANABE| 21:47 | カテゴリー:FOOD/DRINK

2010年10月28日

読食休憩/出直しカレー部通信

 というわけで、読書&食欲の秋の読食部ではなく、久々にカレー部通信です。

 先日、本郷の東大正門前にある[喫茶ルオー]さんへと出直しカレー探訪してまいりました。なんと創業55年! ワタシよりパイセン! その穏やかな佇まいといいメニュー構成といい、ワタシが理想とする喫茶店の姿に限りなく近いのであります……といったことは、某所に今度書かねばならないので詳細省略。

 その[喫茶ルオー]さんの名物であるカレーがこちら。辛みは抑えめ、パンチ力は少ないのですが、その分、味わいが濃い。学生街でもあるし、何度食べても飽きないこの味は大事かもと思います。旨い。さすが「ルー王」。あ、そうじゃないか(笑)。画家のね、ルオー。

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 普通サイズ(大盛・小盛あり)でもご飯がしっかり。そういえば神保町の[エチオピア]さんもご飯多い。学生さんにはこれぐらいのご飯でいいのである。少年老いやすく大盛成り難し。

 ちなみにこのカレー&コーヒーのセットをいただきつつ、ドナルド・E・ウエストレイクの泥棒ドートマンダー・シリーズから短編集『泥棒が1ダース』(現代短篇の名手たち3)を読む。

 小粋な泥棒さん(たち)の活躍が愉快痛快。苦笑失笑。あはーん。うふーん。やっぱ好きだわ、ドートマンダーさん(主人公)。エンタテインメントはこうでないと。読食な作品としては「パーティー族」というパーティーでのドタバタ逃走劇を描いた一篇も入ってます。ユーモアのある娯楽短篇好きにオススメ。

TASK WATANABE| 11:08 | カテゴリー:FOOD/DRINK

2010年10月24日

読食の秋とする。其の六。

 これはもう、真打ち登場。言わずと知れた男のお作法の先生、山口瞳さんの一冊。

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『行きつけの店』
 山口瞳

 銀座の[鉢巻岡田]に始まって、浅草、由布院、地元・国立、横浜、金沢、小樽、倉敷……と、山口さんが行きつけの店を訪ね、その店の名物を肴に、呑み、喰い、語る。

 そこにあるのは味と人。料理の旨さは言わずもがなの名店ばかりですが、「人柄」や「気働き」や「佇まい」も店の内。そして「客」も店の内。その視点は、ワタシにも影響大。「マニュアル」や「店員教育」や「開発」で、ある程度のことはできるとしても、できないことが書いてある。それが「味」があるということかしらね。

 ちなみに単行本も持っていて、文庫も持ってます。どんだけ(笑)。単行本版は平成5年(1993年)刊行なので、残念ながらもう仕舞ってしまったお店もあるようですが、でも、上に書いたように、これはお店ガイドなのではなく「お客の流儀」が書いてある本だから、今でも、何度でも読み返せる。

 この本を含め、山口瞳さんの著書で学んだことを21世紀に応用して活かせればいいと思って生きているようなフシがありますな、ワタシ。でも、それを目の前の誰かに説明するのが面倒臭い年齢になってきてしまった。説いてわかると踏んだ相手以外には。だから、たいていは黙ってその「味」を食(は)んでますので、そこんとこは邪魔しないで欲しいやね(笑)。

TASK WATANABE| 07:51 | カテゴリー:CULTURE

2010年10月22日

読食の秋とする/番外おめざ編

 ほい。こちら本日のおめざでございます。

 目黒・御門屋さんの揚げまんじゅう(季節限定・芋栗ヴァージョン)と、番組スタッフ(うっかり尾崎さん:仮名)のニューヨーク土産なり。おいしいっす。

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 本日もご参加4649!

TASK WATANABE| 22:57 | カテゴリー:FOOD/DRINK

2010年10月22日

読食の秋とする。其の五。

 ホテルが好きなのです。

 40代前半ぐらいの頃に「やっぱり旅館いいなあ」と思った時期もありましたが、また半回転してホテル好きに。過不足無く「生活」ができる。働いている人の段取りがいい。放っておいてくれる。清潔である。シーツが乾いている。バーがある。なんだかミニチュアの街みたいなのがいい。

 なので映画でもホテル物に弱い。そんなジャンルないか(笑)。でも、群像劇の有名作『グランド・ホテル』なんぞは、まさに「ジャンルがホテル」ですな。『インセプション』もあそこのほらアレがホテルなのがたまらないし、007シリーズも「ホテル多め」なのが好き(笑)。いわんやロードムーヴィーをや。シーンにホテルやモーテルが多いというだけで嬉しいんだから、ちょっとした病であります。

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『ザ・ホテル』
 ジェフリー・ロビンソン 春日倫子訳

 サブタイトルは「扉の向こうに隠された世界」。こちらはロンドンの最高級ホテル・クラリッジの、まさしく「関係者以外立ち入り禁止」の扉の向こうで起きている上品にしてドタバタなエピソードを綴ったノン・フィクション。総支配人から保安係、エグゼクティブ・ハウスキーパー、総料理長に会計主任まで、ホテルマンの皆さんの粉骨砕身がユーモアも交えた視点で描かれております。 最高級のホテルだけに全員がプロでプライドが高いところもスパイスが効いてる。

 もちろん厨房&レストランの「最高級のドタバタ」も活写。注文した魚と違う魚が届いちゃって大騒ぎ。メニューの表記をフランス語から英語に変えるという提案でひと騒動。

 優雅なるホテルのレストランの、その裏側に思いを馳せて、ああ、客でよかったーと思いつつも、働くことの悦びと矜持を読む。

TASK WATANABE| 09:01 | カテゴリー:CULTURE

2010年10月19日

読食の秋とする。其の四。

 いろいろなパーツで時代遅れな男ではありますが、短篇集が好き、というのもかなり時代遅れ的(我が国では)であります。ブンガク方面でも短篇好きですが、特にそれがミステリーともなれば、もう涎がだーらだら。表現が汚い。

 どうも延々と続く物語の醍醐味よりも、人間の営みの断片をザクっと切り取る短篇のダイナミズムに興趣がわくご様子。ダン・ペンとは関係ありませんよ。そちらはR&Bの名曲をいっぱい書いたシンガー・ソングライター。

 ダン・ペン、いや、短篇の名手と言えば、ロアルド・ダールさん。「チョコレート工場の秘密」といった子供向けの作品も有名ですが、なんたってワタシには短篇小説。

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『あなたに似た人』
 ロアルド・ダール 田村隆一訳

 このあまりにも有名な極上短篇集に「味(原題:Taste)」という、これまた大変に有名な一篇がございます。美食を誇るオーナーとゲストが「絶対に当てられない」というワインをテイスティング勝負するお話。ワインを偏愛する人々の、もう滑稽なまでの意地と知識と経験のバトルであります。何度読んでも面白い。1953年発表らしいのでワタシですら生まれる前に、もうこんなのあったんだ。やんなっちゃうねー(笑)。

 短篇として最高にスリリング。そこにたった一室しか出てこなくても。そして、偏愛を寸止めしないと人間どんだけ我が儘になるかという反面教師的教科書としても最高。それがワインであろうがなんであろうが。

 これ読むと、次はスタンリイ・エリンを読み返したくなるだす。詳しくは後日。

 あ、また装丁が和田誠さんだ!

TASK WATANABE| 08:49 | カテゴリー:CULTURE

2010年10月15日

読食の秋/番外おめざ編

 おはようございます。

 本日のスタッフ用おめざは[仙太郎]さんの栗のお菓子「こぐり」でございます。

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 かわいいのでございます。

 今日もご参加よろしくお願いいたします!


 秋になると、和菓子を愛でる、そんな気分にもなりますな。そんな季節にコレおすすめ。

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『菓子ひなみ 三六五日の和の菓子暦』
 京都新聞出版センター

TASK WATANABE| 22:10 | カテゴリー:FOOD/DRINK

2010年10月15日

読食の秋とする。其の参。

 渡辺祐編集者がまだヒヨッコの中のヒヨッコであった1980年代前半。安西水丸先生にとてもお世話になったのである。

 メールで画像を送ることはもちろん、バイク便もFAXもない頃。原稿用紙に手書きされた原稿はもちろん、漫画の原画、イラスト、写真、ぜーんぶ取りにうかがうわけです。ボクは、大友克洋さんに原画をいただいたこともあるんだぜー(自慢)。

 その結果、若い編集者は都内の地下鉄路線、バス路線、たまにタクシーでの行き方をどんどん覚える。そのノウハウは、いまだに財産。原稿を取りにうかがって、もう編集部に戻らなくていい、という時には呑みに出かける。たいていは先輩のところにうかがっているわけなので奢ってもらうことも多かった。そして店を教えてもらい、飲み方を教えてもらった。いただいた原稿を無くさないで帰るのに必死(笑)。

 こうして陋巷を生きる術を学んだのであります。

 安西水丸さんにも、ホント、お世話になりました。とても優しい方なんですが、ちょっと皮肉屋のところもあって、辛口なトークも聞かせていただいた。高校時代から「ガロ」や「宝島」で読んだ漫画や文章のファンだったので、すごく嬉しかった。そうそう、ワタシの男のセンチメンタルの根っこには水丸ワールドありなのです。漫画を読む機会があればわかっていただけるかと。

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『大衆食堂へ行こう』
 安西水丸

 その水丸さんが都内の食堂を歩いて食べた絵日記風の一冊。いまはこういうことをblogでやっている人も多いけれど(あ、オレもか!)、絵柄の雰囲気、食堂と「街」への視線の柔らかさと博識はさすがのひとこと。

 淡々と取材した食堂の数が、55軒。読んでいるだけでお腹が空くし、散歩に出たくなる一冊。

2010年10月13日

読食の秋とする。其の弐。

 読「食」と言いつつ、2冊目でいきなり「飲」。読飲の秋。なんか毒を呑むようでいけませんな(笑)。

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『対談 美酒について』
 吉行淳之介・開高健

 もう説明不要。昭和後期の文筆名人、対談上手、そして豪酒なお二人の対談本であります。タイトルにこそ「美酒」とありますが、酒の話から始まって、ブンガクから世界の旅、そして女を語る語る。面白くないわけがございません。

 これが出版されたのが昭和57年(1982年)。その頃まで棲息していた「大人」という生き物の生態もよくわかるのであります。それに比べたらイマドキの大人なんぞ、屁ですよ、屁。

 いくつも名フレーズはあるんですが、その中から。

 開高さんの「吉行さんが考える理想の酒、酒飲みはかくあるべしは?」という質問に答えた吉行さんのひとこと。

「やっぱり酒飲みは手数のかからんのがいいね」

 簡潔に完結。飲しても淫するなかれ。

 登場する酒・酒・酒の数々に、当然の如く呑みたくなっているワタシですが、読み返している内に「シェリーとアモンチラードの誤訳」なる章に行き着いちゃって、シェリー呑みたいなう。中目黒の[ヴェネンシア]行ってないなあ。シェリー専門店です。旨いです。

 おっと、気づいたら1冊目も2冊目も表紙は和田誠さんでした。トライセラトップスのファンも、レミパン・ファンもぜひどうぞ。

TASK WATANABE| 15:48 | カテゴリー:CULTURE

2010年10月13日

読食の秋とする。

 いかんいかん。カレーバテしてここのblogがおろそかになっておったのじゃった。なので再開。カプセルで救出。

 秋であります。やっと。まあ、秋といえばやっぱり食。ここからは、まあ何を喰っても美味い旨いんまい。そして読書の秋とも言われますな。そこで編集者(末端)らしく、秋は食を読む=「読食の秋」としようではありませんか。

 まずはコレだ。

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『料理長が多すぎる』
 レックス・スタウト 平井イサク訳

 有名ですね。1938年に書かれた傑作ミステリー。ネロ・ウルフさんという巨漢美食家探偵が、NYの自分の家から動かず大活躍するシリーズ。ワタシもシリーズ丸ごと大好物で何度も読み返しました。

 いわゆるアームチェア・ディテクティヴ(安楽椅子探偵)。でも、この『料理長が多すぎる』(原題:TOO MANY COOKS)では、5年に一度の美食の集いへと出かけて事件に巻き込まれるのであります。

 まあ、そこに登場するやたら凝った料理がいちいち凄いんですが(詳しくはコチラなどをご覧ください)、その中でも特筆すべきは、ネロ・ウルフも食べたい、読者も食べたい「ソーシス・ミニュイ」。これ、つまりはソーセージ。中身は「焼豚、ガチョウ肉、キジ肉」! う、うまそう!

 というわけで、ミステリーとしても最高に面白い本作をまた読みつつ、近々、ソーセージ料理でも……と思っているワタシでした。骨董通りの[ローブリュー]かなあ。恵比寿[あいびき]も捨てがたい。渋谷[ヴィロン]で食べた豚の血の入ったソーセージも旨かったなあ。名前失念。

 あー、ブーダン・ノワールだ!

TASK WATANABE| 04:43 | カテゴリー:CULTURE


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