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当番組のPodcastは・・・
毎週日曜日の午後8時に最新版を
アップしています。
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- 2025年を総括!今年の来日客 ---
2025年も残りわずか...
今年も海外から多くのお客様を迎えた訓市
絶え間なく来日する友人、知人、その知り合いまで・・・
訓市が手厚く接待する理由とは?
今年、日本で会った知人との
印象的だったエピソードについて語る
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや
思い出の“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
そして、旅の話だけでなく、仕事、進路、
人間関係から恋愛、夫婦・親子関係まで
全ジャンル、全テーマにご対応!
曲のリクエスト、選曲オーダーにもお応えします。
番組サイトの「MESSAGE TO STUDIO」から
“お便り”を送信してください。
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Beanie (Slowed) / Chezile
Your Star Will Shine / Stone Roses
Many RIvers To Cross / Harry Nilsson
Back To December / Taylor Swift
Tomorrow Waltz / 久保田利伸
UFO / UFOs
Maudy La Lune / Bill Fay
You Deserve This / Men I Trust
Rawnald Gregory Erickson The Second / STRFKR
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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今年も結局、ほぼ毎月海外に行く年になりました。まあこれが1年をより短く感じさせる元凶だと疑っているんですけども・・・よく言いますが、だいたい行って帰ってきて、それで1週間取られるじゃないですか。そして海外に行く前、帰国後も前後がすごく色々と詰まってバタバタしてしまうわけです。そうするとトータルで月に2週間くらいそんな感じなわけです。普通に東京にいて暮らすのがひと月のうちの残りの2週間。そりゃ1年があっという間に過ぎると感じるわけですよ。しかもその2週間をのんびり過ごすかというと海外から友達たちがやたらと来る。「忙しいかもしれないけど、いる間に1回は飯を食いに行こうよ」とか「飲みに連れてってくれ」と言われ、まあ自分が彼らの街にいる時はそうしてもらってるわけなので、それもそうだよなと出かけますが、だいたいバラバラに週に3人ぐらい来ちゃったりするわけです。一晩ずつ会うだけで3日潰れます。ご飯を1、2時間で食べてすぐ帰ったり、1杯で帰ればいいんですけど、そこは日本人として「日本は良い国で、東京は素敵な街だ」と思ってもらいたいじゃないですか。そして日本という国を理解して、最近話題の迷惑かけるインバウンド客ではなくてリスペクトを持ち、日本の文化ってやっぱり素晴らしいという思い出を持って帰ってほしいじゃないですか。僕はウェス・アンダーソン監督の映画『犬が島』で悪者の市長の声を演ったんですが、それ以来、海外の友達に「メイヤー」「市長」と呼ばれるようになってしまいました。その「メイヤー」という理由というのは「クンは夜行性で、どこのバーに行っても知り合いがいるから」ということで、「夜の市長」…。なんかすごい嫌な感じなんですけどね、なんか「夜のホームラン王」みたいな。まあ、そういうふうに言われるとさらにちゃんとしなきゃと思うじゃないですか。ただそうやって勝手に市長目線で見ていると東京、特に渋谷とかには文句がいっぱいあります。今までにたくさん来日していたり、長期間にわたって定期的に東京に来ている人たちは今年、口をそろえて「街がつまらなくなった」と言っていました。「何であんなショッピングモールのような大きいビルの再開発ばかりするのか。観光客を呼び込みたいのだとしたら、まるで真逆のことをしているし、自分たちも観光客なので偉そうなことは言えないけれど、ずいぶんと来日するインバウンド客の質が悪くなった」と言うのです。「自分たちは日本にリスペクトがあるが、そうじゃないような人たちで溢れている」と。以前に日本を訪れていた観光客とは雰囲気がずいぶんと変わったなと感じるそうです。そういうことは日本人の僕らより、実は彼らの方が敏感に感じるのかもしれませんが、京都に向かった友達たちも「結局、宿からほぼ出なかった」「もう当分行かなくていいな」という人も多かったです。サステイナブル、持続可能な形にして行かなければ数年で日本は何か手痛いしっぺ返しを受けるような気がします。僕も今年一度京都に行きましたが、その後はとてもじゃないですけど行く気になれず、お誘いがあっても行きませんでした。日本人にとって特別な場所でもある京都なのに、その日本人が行きづらいと思ったり、行きたくないと敬遠するのはちょっと悲しいなって思います。
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昔と変わったなぁ〜と感じるのは最近は撮影で日本に来る人が増えたということです。昔は映画関連の友達が日本に来るというと大抵が新作のプロモーションとかだったのですが、最近は日本政府が日本で撮影する作品に助成金を出したりとか、そういうせいもあるのかもしれませんけども、やたらと撮影が多い。古い友人のジョシュ・サファディという監督がいるのですが、今年の頭には日本で撮影があるというのでティモシー・シャラメを連れてやってきました。「マーティ・シュプリーム」という実在の卓球選手の話で、僕も上野でやっていた撮影に遊びに行きました。最初はカメオで出てくれと言われて日本人社長の役だと言うので、「社長か、いいじゃないか!」と思ったら、「お願いがある。50年代の7/3カットに髪を切らせてくれ」と言われて即答で断りました。「カメオなんだからズラでいいじゃないか」「何を言うか。リアリティーが大事なんだ」「そんな1分もしないシーンの日本人社長の髪型にリアリティもないだろう」と思ったんですけども遊びには行きました。僕の母親の実家が根津で上野から近くて、小さい頃は上野公園とか動物園とかあの辺をよく歩いたものですけども、当時はまだ戦後の匂いがすごくあの辺って残ってたんですね。それと映画の舞台が40年代だか50年代なんでセットで作られたその感じがすごく近くて、とっても懐かしい気分になりました。映画は来年公開だと思うんですけども、ぜひ皆さん見に行ってみてください。それから自分の音楽の制作のために日本に来るという知り合いもすごく多かったです。インスピレーションを求めてるということでしたけども、中にはホテルに1ヶ月以上閉じこもって制作していた人もいて、ホテルにいるだけでインスピレーションもあるのかって感じなんですけどね。どんな音が東京で生まれたのかっていうのはこれから色々出てくると思うので、とても楽しみにしています。あと変わったところではハリー・スタイルズがマラソンするために来たってことですね。「一緒に走る?」と言われて秒で断りましたけど、初マラソンで3時間20分、マラソンやってる友達に聞いたら「結構ものすごいタイムだ、俺より早い」みたいな感じでしたからね。そしたら9月に2回目のマラソン、ベルリンで走って今度は3時間を切ったそうで、運動神経が良いとは思ってたんですよ。酔っ払って変な動きする時も秒速のような動きでしたし。ただ、こんなに走れる人だとは思いませんでした。あとは初来日という珍しい人とも会いました。これはマイリー・サイラスで、彼女の仲良しが僕の仲良しで、「プライベートで初めて来るから大袈裟にしないでひっそりと過ごしたいらしいんだけど、クン1回会ってご飯でも食べてやってくれないか」って言ってから本人から連絡が来て、とても良い人そうだったので会いましたけど、お酒を飲まない人でしたね。「私はね、1杯でも飲んじゃったらもう大変になるの、5年ぐらい前に気づいたのよって。だから止めたの」。30そこそこなのに話していると人生のベテランというかパワフルで、しかもすごく人に親切で。ものすごく売れる人っていうのはやっぱり人間がちゃんとできてるんだなと思いました。どんな人にも挨拶して、お礼をして。先月、初めてのソロコンサートをやったジャクソン・ワンという中国の歌手がいるんですが、「東京のお父さん」って勝手に言われて実のお父さんにも会わされましたし、毎日連絡が来て、途中から逃げてたんですけどね。とんでもない酒を飲むんですよ、ごくごくと。僕も酒飲める方だと思いましたけど、あんなお茶碗にお茶入れて、くいって飲むみたいな感じでウイスキーなんか飲めません。ファンが来て声かけたら握手はするし、肩組んで写真を撮るし、ほんとに親切で。「お前は本当に偉いね」って言ったら、皆さんそうでしたけど「日本人が親切で礼儀正しいから自分たちもそう返したいと思うんだ」って言われて、なんかこういう来日客が増えたらすごく良いなって思う1年だったんですけども・・・。どうですかね、もう少し国はいろいろ考えた方がいいんじゃないのかなって思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。


