ON AIR DATE
2025.06.15
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

★★★★★★★★★★★★★★★★★

 当番組のPodcastは・・・
 毎週日曜日の20時に最新版を
 アップしています。

★★★★★★★★★★★★★★★★★

TUDOR logo

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

--- シークレット・ゲストは、ベック ---

先日、ライブの為に来日していたミュージシャンで、
親しい友人でもあるベックと一緒に盛り上がった夜

彼のリクエストで実現したイベントで
本人がDJをする予定だったが・・・
現場で音源チェックした時に発覚した
緊急事態!果たして結果はいかに???

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

「旅」と「音楽」に関するエピソードや
思い出の“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!

そして、旅の話だけでなく、
仕事、進路、人間関係から恋愛、夫婦・親子関係まで
全ジャンル、全テーマにご対応!
曲のリクエスト、選曲のオーダーにもお応えします。

番組サイトの「Message」から
“お便り”を送信してください。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

2025.06.15

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Style / Taylor Swift

2

Brown Sugar / D'Anjelo

3

Scale It Back (Robotaki Remix) / DJ Shadow

4

For Those Without Song / Tommy Guerrero

5

カウントダウン・ラグ / レトロリロン

6

Brimful Of Asha / Cornershop

7

No Distruction (Khruangbin Remix) / Beck

8

Paris, Texas / Lana Del Rey

9

My Melancholy Baby / Queen

2025.06.15

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

KUNICHI was talking

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

去年の4月、ちょうど自分の誕生日の頃にゲストがシークレットのパーティーをしました。青山の知り合いの通常はレストランのお店でやったんですけども、何度かこの番組で話したこともあるニューヨークの友達で渋いスピーカーを作っているOjasというシステムを入れて、自分が2年かけて作ってもらったミキサーも持ち込んで。その時のゲストっていうのはLCDサウンドシステムのジェームス・マーフィーで、BPM…ビート・パー・ミニッツの略ですけども、それはつまり1分間に何回ドンドンというドラムの音が鳴るかという音楽の速さを表すものですが、ジェームスがBPM80から4時間かけて124までだったかな?ミリ単位で上げてくっていうことをやろうというパーティーでした。80といったら遅いというか喫茶店の後ろのBGMみたいなもので、124といったらいわゆる普通のディスコとかで踊れる速さなんですけど、これがすごい楽しかったんですよ。最初はほんとにBGMみたいな音楽で始まってドラムがほぼ無いみたいな。ただみんなガヤガヤと話しながらお酒を飲んで音楽を聴いていて、そこがだんだんだんだんとビートが効いてきて体を揺らす人が出てきて、そのうちに頭を振りながらビートに合わせるようになり、気づくと最後は踊り出している。DJに体を乗っ取られたような、音楽がまるで雨に濡れた服のように、だんだんと全身に染み込んでくるような。最近はクラブに行っても渋谷とか小箱が多くてですね、混むとただ酒を飲むだけだったり話すだけで踊るっていうことがなかったんですが、その日は久しぶりに踊りました。そしてそれは僕だけじゃなくて遊びに来ていた友達も皆そうで、「翌日の朝が早いからちょっと寄るよ」なんて言ってた人が気づいたら朝までいたり、べろんべろんになって踊っていましたが、そんな中にBECKもいました。ちょうどアコースティックライブで来日していて、「クンがパーティーをやるんだったらライブの前日だけど乾杯しに行くよ」なんて言って、気づけばジェームスのその4時間のセットを全部聞いて楽しそうに揺れていたんですけども、そうしましたら先々月、「5月に今度はバンド編成で東京に行くけど、早めに東京に行くからパーティーをしよう。僕もDJをするよ」というテキストが来ました。去年のパーティーが楽しかったっていうことで、自分もやりたいっていう。「じゃあシークレットでやろう。それもフリーパーティーでやろう。音源はどうする?レコード?」なんて聞いたら「レコードは重いし、色々と旅する予定だから」と言うので、じゃあUSBでかけようなんてやり取りをしました。BECKがDJか〜聞いたことないけど、あれだけの音楽マニアですからね。ちょっと予想がつかないけど楽しみだな〜なんて思っていました。そして来日してすぐ飲みに行ったんですけど、「パーティーいつにしようか」って言ったら「来週の週末でいいんじゃん?」みたいな話になり、「分かった。友達に聞いてみるけど、音源持ってきた?」って聞いたら「ハードディスクに入ってる音楽を移す時間がなかったんだよね。東京でなんとかするよ」ということになりました。「エレクトロニカとかブラジル音楽とかかけようかな」なんてのんびりしたことを言い出すので、これは何でも合わせられるDJを集めて、どんな展開になっても拾えるようにしよう。そして椅子をちょっと多めに出しといてリスニング対応にもできるようにしよう、なんて考えていました。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

パーティー当日の前の日に告知して、もちろんシークレットなのでゲストの名前も入れず、気付いて来れる人が来ればいいというスタンスの緩いパーティー。オープンの1時間前にサウンドチェックで会場にBECKと一緒に行きました。「準備が大変でさっきまで曲を買ってダウンロードしてたよ」と言いながらツアーマネージャーからUSBスティックを受け取り、試しにそれでサウンドチェックをしようとすると1曲しか入ってないじゃないですか。「1曲しかないよ」「いやいや、フォルダーがあるはずだ」「フォルダーなんかないよ」。入っているのはYMOの1曲だけ。どういうことかって言うと多分Apple Musicで買ってダウンロードする時にそのDJで使うCDJとかに互換性のないファイルで買っちゃってたんですよ。何でYMOだけ違うファイルだったのかも謎なんですけど。で、その曲自体は買ったのがツアーマネージャーのラップトップのマックのiTunesの中に入ってたんですよ。それをたまたま高木の完ちゃんとかも来てくれて、「俺、Mac持ってるよ。こっちに移したらファイルが変わるんじゃないのか」とか色んなことやったんですけどダメで。結局ファイルコンバーターのアプリを買って、それで変換しよう、じゃあこれ使うぞっていう時に、そのMacのパスワードが必要だったんですよ。なんかファインダーを弄るには・・・みたいな。「ドニー、パスワード教えて」。ただドニー…そのツアーマネージャーがコソコソしてるんですよ、あれ?みたいな。パスワードが分からない。結局iTunesをつないで1曲ずつ選曲ですよね、するしかないっていうことになったんですよ。そしたらBECKの心はもう完全に折れていて、「それってミックスじゃないよね」みたいな。うーん…ていう感じで。Mac繋いで曲をかけてたら、まあ良い曲かけるんですよ。ダンスミュージックをかけてきて、「良い曲だね」なんて言って「うん、まあね」みたいな。次の曲かけるっていう時に前の曲を止めるか、ボリュームをいきなり下げてまた上げて次の曲をかけるしかないんですけど、すごい良い感じに選曲するんですよ。そのうち再生ボタンとストップを高速で押して、なんか曲が繋がり出してミックスしだしたんですよ。で、気づいたらめちゃくちゃ盛り上がってしまいましたよ。フロアで踊ってるお客さんは気付いてなかったみたいです。さすがミュージシャンというかリズム感とかすごいんだな。それはライブに久しぶりに行ってBECKを見たんですけど、その時も発揮されてました。今までもう90年代から何度も見ていたんですけど、ここ10年以上ご無沙汰だったんですよね。で、見に行ったら本当に素晴らしくて、BECKって時代時代で何か自分が凝った音楽のアルバムを作るのでジャンルがすごいんですよ。ローファイだったりフォークでアコギだけだったりガレージロックみたいのからエレクトロニカ、ソウル、バリトンで歌ったかと思うとファルセットでプリンスばりに歌ったり。ギターは上手いし。Nirvanaのカート・コバーンが亡くなったのが94年ですか。で、その時を同じくして「Loser」という曲で颯爽と登場したBECK。どこか孤高のソロイストとかアート系のミュージシャンっていう雰囲気でしたけどもライブを見れば分かると思うんですが、実際はものすごいパフォーマーというかエンターテイナーなんですよ、踊ったり。何ですかね、1時間半のライブ中、僕はもうステージに釘付けになっていましたし、最初から最後まで知ってる曲だらけ。忘れていたけれども90年代の半ばからいろんな場面、遊びに行ってるところとか海外行ってバーで飲んだり、必ずどっかでBECKの曲ってかかっていたんだなっていうことを思い出して、ちょっと最後は感傷的にすらなりました。今回は東京で1公演だけでしたが、また来年来るよと言っていたので同年代のリスナーの皆さん、そして若い新しいリスナーの皆さん、BECkが来年来たらぜひ見に行ってみてください。