★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
Let's travel! Grab your music.
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
--- 最近の出来事、そして、考えていること ---
トークのお題は「最近」
突然、訃報が舞い込んできた
ヴァル・キルマーとの思い出。
一緒に過ごした忘れられない時間
断捨離、終活の声に感化されて考えた、
「データ」の行方と処分法
改めて感じた「インスタ動画」の面白さと
正しい活用方法について提案する。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
リスナーの皆さんからお寄せいただいた
“お便り”の中から訓市が独断でセレクトして
紹介します。
旅の話はもちろん、仕事、進路、人間関係から
恋愛、夫婦・親子関係まで・・・
全ジャンル、全テーマにご対応!
曲のリクエスト、選曲のオーダーにもお応えします。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
当番組のPodcastは・・・
毎週日曜日の20時に最新版をアップします。
こちらも聴いてください〜
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
そして、旅の話だけでなく、
仕事、進路、人間関係から恋愛、夫婦・親子関係まで
全ジャンル、全テーマにご対応!
曲のリクエスト、選曲のオーダーにもお応えします。
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Walk / Foo Fighters
Not Strong Enough / Boygenius
Between The Sheets / Fourplay & Chaka Khan
Metal Heart / Cat Power
君を探している (朝が来るまで) / 佐野元春
Heart Of Gold / The Go Find
Surrender / Suicide
Somewhere Only We Know / Gustixa
Cellophane / FKA Twigs
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
もう初夏に向かってるんだと思いますが、一応春だとすると僕は春が一番好きな季節でしたけども、花粉症だの黄砂だの、あと急な気圧の変化ってすごくないですか?春って。好きな季節ランキングの順位が大きく下がりまして、今4位ですね。桜が咲き誇る頃の景色っていうのはやっぱり美しくて、本当にじーんと来るものがありますが、何しろその花の下には尋常じゃない数の人がいるじゃないですか。昔は花見で友達と桜の木の下、ご飯を食べたり酒を飲んだりして、お隣さんとお酒を交換したりとか、そんなこともありましたが、今の花見ってもはや写真を撮るのがメインなんじゃないんでしょうか。世界中の誰もが思い出制作マシーン化しているというか。そこで日々生み出される映え写真っていうのは一体どこに行くんでしょうか。よく断捨離とか終活って話があるじゃないですか。持ち物を最低限にしようとか、そろそろ引退して物を処分する、年を重ねてそろそろ死を意識しているぞなんていう時に皆さんそういう話をするんですけども、最近僕らの間でもそういう話をしたりするんですよ。「これどうする?」っていう。僕も物が多いので少しずつでも減らさなきゃなーとは思っているんですが、その中でデータってどうなるんでしょうか。1人1人が溜め込んだ思い出の写真と動画。今現在1人あたりどのくらいのデータを抱えていて、人はそれを最後どうするんでしょうか。残されたものって、家族がいる人は家族に引き継ぐっていうのが普通だとして、データってどうなんですかね。見たくもない先祖のデータをひたすら持っていくんでしょうか。この春は花粉だ気圧だでボーっとすることが多かったんですけども、こんなことばっかり考えていました。ので、「最近、そういえば」って思ったことについて今日は話したいと思ったんですけども、そういえば先日、俳優のビル・マーレイと久しぶりに会ってお酒を飲んだという話をしましたが、この間、海外の友達から「ビルがニューヨークタイムズのポッドキャストでお前について話をしているぞ」と同時に複数連絡がありました。パリから、ロンドンから、ニューヨークから。びっくりしたのは皆んなポッドキャストを本当に聞いているものなんですね。日本にいるとそこまで身近に感じないんですけども、皆んなお金払ったりサブスクで好きな人のポッドキャストを聞いているらしくて、「お前もやらないの?」ってよく言われるんですけど、好きな小説の朗読とかならやってみたいなーなんて思うんですが・・・。ビルはポッドキャストの中で、「東京では昔に知り合った友人と会って、彼らは当時もめちゃくちゃ楽しく東京を過ごす奴らで、それが今でも同じようにめちゃ楽しんでいる連中」と言っていたそうです。「2泊だったけれど、すごく来て良かった」と言っていたみたいで嬉しくなりました。『ロスト・イン・トランスレーション』以来の来日でしたが、今74歳。映画を撮ったのが23年前だとすると、あの映画を撮っていた時のビルと僕が今、同い年なんですよ。ビルにはすごく失礼ですけど、あのぐらい老けててもいい年なのかっていう。スーツ着てウイスキーの広告に出るおじさんの年に自分がなったっていうことに改めて驚愕してしまいました。なんだかなーと思っていた時にニュースを見て、またその頃のことを思い出しました。ちょうど『ロスト・イン・トランスレーション』が公開された後に知り合いになった俳優にヴァル・キルマーがいました。彼は監督のソフィアの友達というか、コッポラ家全体と近い人だったみたいで、友達と一緒にアートの個展をやるっていう時にソフィアから「ぜひ会ってあげて」と連絡が来て会ったのが最初でした。ヴァルというと『トップガン』を始め数々の映画に出ているハリウッドスターですが、僕にとってのヴァルっていうのは、とにかく映画『ドアーズ』でのジム・モリソン役。撮影中、役と同じようにずっとジムとして生活していたらしいんですよ。ヴァルって呼ばれても返事しないとか。おかげで元に戻るのに1年以上かかったと言っていましたが、とにかくハマり役で尊敬している人だったので、飲みに行った時は本当に嬉しかったです。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ヴァルは頭の良い、けどすごい気さくで良い人で、一緒にカラオケに行って、「ジム・モリソンの声でドアーズの歌を歌ってくれよ」っておねだりしたらやってくれたんですよ。映画の中のドアーズの曲って全部吹き替えでヴァルが歌ってるんですよ。とんでもなく上手い。あの低い声で「Ladies and gentlemen…」みたいので始まって、もう僕ら目がハートでしたけど、それからずっと毎年連絡を取り合うようになって、年頭にはいつも長いメールをくれる人でした。「今年はマーク・トウェインの舞台をやるから来いよ」とか、「最近は牧場の方にいて犬を飼ってて」とか、近況を話してくれるんですよ。3.11があった時も「家が他にもあるから、逃げる場所が必要なんだったらいつでもおいで」とか。それが、連絡が途絶えてしばらく経ってから、実は癌にかかって治療をしていた。それから声を失ったと。そしてまた連絡が途絶えました。治療が長引いて大変なのかなと思っていた時に亡くなったっていうニュースを見たわけなんですけども、とても悲しい気分になって、ヴァルとのことを思い出したわけですよ。そういえば写真ってあったっけな。まぁ、僕も思い出制作マシーンの1人ですから。ただ、その頃はiPhoneとかも無いですし、ほとんど写真を撮んなかったので、2000年の頭ぐらいってあんまり無いんですよ。プリントで貰ったものは失くしますし。ところが、有ったんですよね、数枚。それで、また最初の話に戻るんですけど、こういうデータって最後どうすればいいんでしょうかね。皆さんは膨大に溜まり続ける写真や動画っていうものをどうして行くんでしょうか?写真で言うと最近インスタのリール、動画を見ることに今更ながらボケッとしながらハマっていました。アルゴリズムって便利ってすごく思ったんですけど、自分が気に入った何となく流れてくるリール動画を保存すると、やがてオススメがそっち系の動画で埋め尽くされるじゃないですか。一時期、可愛い猫の動画しか出てこなくなったんですけども、ちょっと癒されちゃってたんですよ。可愛いなって。それで最近笑える動画とかばっかり見て保存していたら、すごい溜まってしまいました。今年の春っていうのは何故だか分かりませんが周りに肋骨を折る人がすごく多かったんですよ。スキーで折った、くしゃみのしすぎで折った、酒を飲んですっ転んで折った。なかなか肋骨ってくっ付かなくて、笑うと痛いからそれはご法度らしいんですよ。それで何となく、そんな彼らにこの笑える動画を送りつけるようになったら、「めちゃ笑った」みたいな。「また折れた気がする」みたいな返事が帰ってくると、ついつい嬉しくなってしまって、毎日そればっかり送りつけていたんですけども、その痛さで面白さを計ってたんですよね、単位と言いますか。こういうのだけ見てるとSNSっていいなって思いました。ひたすらくだらないものを探しては保存してください。皆さんのSNSにおすすめは笑い一色になりますよ。朝からこんなに幸せなことはないです。それが最近ハマっていたことなんですが、ただ、たまにそんな動画で感動するやつとかも流れてくるんですよ。いい話とか。最近すごく気に入ったのは動画ではなくてポストだったんですけど、「Growing up」=「大人になること」っていうタイトルのやつで、要は友達の家に2人布団を並べて寝てる子供の写真があって、「最後のお泊り会を君はもう過ごしてしまっているんだよ」とか、クレヨンが入ったバケツの写真があって、「最後にクレヨンで絵を書いたのはずいぶん前のことだ」とか、「レンタルビデオ屋で金曜日に映画を借りたのはいつだったっけ」。要は当たり前のようにやってたことっていうのがどんどん終わってて、それすら気づいてないんですよ。なんとも切ない気持ちになりました。それこそが成長することであり、大人になることなんでしょうけど、大人になるっていうのはそれだけいろんなことを卒業したり、無くして行くことなんだなって思いました。そしてそれを思いながら、できるだけ抗おうと決めました。昔からやってきたことを絶対卒業しないぞ。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。


