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2023.10.01
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

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#469 --- 新製品の詳細より興味を惹かれたこと ---

テーマは「アップル・キーノート」

通常に開催された今年のアップル発表会、
「キーノート」に出席した訓市が
弾丸の二泊旅で訪れたクパチーノで過ごした
濃密な48時間とは?

現CEOティム・クックの行動から感じた
新たな顔と可能性について。

新しい製品の改定ポイントや新機能よりも関心を持った
アップルの未来展望のプレゼンから感じたことを語る。


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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2023.10.01

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

I'll Be There For You / The Rembrandts

2

September / Pomplamoose

3

Dance Away / Roxy Music

4

I Went To Sleep / The Beach Boys

5

マヨイガ / 羊文学

6

Let U Go / Lucidbeatz

7

Walking In The Rain With One I Love / Love Unlimited Orchestra

8

Nuages / Django Reinhardt

9

The Warmth Of The Sun / Brian Wilson

2023.10.01

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

KUNICHI was talking

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今年も9月にAppleの発表会「Keynote」に行ってきました。最初に行ったのが確か2014年とかその位だったと思うのですが、ちょうどこの番組が始まったのと同じ頃です。コロナで開催されなかった2020年と21年以外はずっと訪れていることになります。2泊の弾丸旅行で訪れたこともあれば、ニューヨークで取材している時の帰り道に寄ったりと色んな行き方をしたんですが、今回はザ・ベーシック。定番の2泊というやつです。行き帰りの飛行機に20時間かけて、滞在時間はきっかり48時間ほど。時差ボケが治る前に帰ってくるので逆に楽だと言う人もいるんですけども、どうなんでしょうか?たったの2泊でもしっかりとボケて帰ってくることになります。快晴のサンフランシスコ空港に午前中に着く便に乗ったのですが、羽田出発が夕方前。まったく眠くない時間に飛行機に乗り込んで、そのまま朝に着いてしまうので、1日が長いこと長いこと。翌日は朝から「Keynote」なのでちゃんと寝なければと思いながら、必死に夜は寝ないようお酒を飲んで、外にタバコを吸いに行っては眠気を覚ますという修行を繰り返したおかげで、がっつり夜更かしする羽目になりました。そして翌日は朝からクパチーノにあるApple本社へと向かいました。僕が初めて「Keynote」に行った頃っていうのは皆さんも写真で見たことあると思うんですが、UFOのようなループとかマザーシップと呼ばれる本社社屋は完成しておらず、毎年違う場所で開催されていました。まぁそれも面白かったんですけどね、サンフランシスコ市内でやったり。創業者のスティーブ・ジョブズが亡くなったのが2011年で、まだまだその存在感というか喪失感というものが色濃く残っていたのが、僕が訪れた初期の「Keynote」でした。発表される製品が、まだジョブズが生前関わっていたものなんじゃないか?というのが何より大事なトピックとなっていたぐらいですから、あれから随分と時間が経ちました。今では本社にあるスティーブ・ジョブズシアターで毎年開催されるようになりましたし、ジョブズの右腕としてAppleの製品デザインの全てに目を通していたチーフデザイナーのジョナサン・アイブも2019年に退社してしまいました。それからコロナがあったのですが、ジョブズが亡くなって10年が経ち、会社も本当に大きく変わったと思います。昨年も「Keynote」には行ったのですが、久しぶりにオンラインではなく有人でやる発表会ということで、もうそれだけで“いいね的”な雰囲気がありました。フルスケールで行われる今年の「Keynote」こそ、これからの10年がどんなものになるのかっていうのを占える形になるんじゃないのかなと、そう考えながらマザーシップへと向かいました。


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メインゲートをくぐって坂を登って行くんですが、その上にスティーブジョブズシアターはあります。初めて行った時は植えたばかりでまだ小さかった植栽たちが随分と育って大きくなっていました。昔はその丘というか登っていく右側にほぼ剥き出しのような形で本社の社屋が見えて、それが映画みたいな丘に不時着したUFOという非現実的な風景を作っていたのですが、育った緑のおかげですっかり周囲に馴染んで普通の建物に見えていました。シアターの席に座ってしばらく待つとCEOのティム・クックがステージに登場して、挨拶。すぐに引っ込むとスクリーンに映し出される映像によって「Keynote」は進みます。昔はそれぞれの製品担当者たちがステージ上に入れ替わり立ち替わり出てきてライブで話をするスタイルだったのですが、大企業になると皆んな人前で話すのが上手くないと出世しないのか?というくらい皆さん喋りが達者だったので、それを見るのも楽しみだったのですが、映像は映像で完成していて見やすく分かりやすいので否定はしないんですけども、ちょっとスタンダップコメディーばりに出てくるのも懐かしいなあって感じなんですが。発表の方はもう皆さん手に入れてる方もいると思いますが新しいiPhone15、15Proや新しいApple Watchと、今まで通りの新製品の発表があったのですが、今年の「Keynote」で本当に10年前と変わったなぁと思ったのが環境にどれだけ考慮しているか?ということを説明するのに、新製品そのものと同じくらいの時間をかけていたということです。製品のデザインや性能を説明し、それから新しい機能の説明をする。そこにそれがどのように環境を考慮して作られたかということを等しく解説していくのです。ものづくりをする会社はこれから新製品を発表する時に必ずこうするべきなのではと思うくらい、それは素晴らしい説明でした。環境、つまりカーボンニュートラルの話になるのですが、Appleは2030年までに事業全体、そして製造に関わる全てのサプライチェーン、製品のライフサイクルまでを気候への影響をネットゼロにすることを目標にしているらしいんですね。そのために素材・電力・輸送の3つを柱に、素材だったら出来るだけリサイクル素材にして、使用する電力っていうのもクリーンエネルギー、つまり化石燃料に頼らないものを使い、輸送も航空便を使わず低燃費の船便を使うなど、すごく細かく、そしてそれが今どこまで達成しているかを説明していくのです。電気自動車は排気ガスを出さない、化石燃料を使わないからエコだという人と、作る時に余計にエネルギーがかかるし、そのエネルギーが化石燃料を使っていては意味がないとか色んな議論があるんですよ。本当にどっちが正しいのかっていう。Appleはその点、使用エネルギーが何を使っているかなどを分かりやすく説明していて、これが僕にはぶっちゃけ新しいプロダクトの話より全然面白かったです。なので、新しい服とか化粧品ができますよっていう時とかにもですね、どうやってそれを作って今までよりロスが少ないとかって説明をするのを全ての業種においてマストにすれば良いのかなって思いました。なぜなら、もう今年の夏以上に暑い夏って嫌じゃありません?これってやっぱり温暖化だと思うので、何か手を打っていかなければいけないんじゃないのかなって思いました。