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2023.02.26
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  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54



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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
ハリー・スタイルズが「21世紀最初のロックスター」になった15の理由

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TUDOR logo


『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

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#438 --- 訓市、ハリー・スタイルズを語る ---

前半はリスナーの皆さんから寄せられた“お便り”をまとめて紹介!リ
クエスト曲もオンエア!

後半のテーマは「ハリー・スタイルズ」。
先日、ウィナーが発表された「第65回グラミー賞」で
「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞したハリー・スタイルズ

プライベートで親しい関係にある訓市が
ハリーと一緒に過ごした印象的だった時間とは?

親子ほど歳が離れたハリーの魅力、
人としての資質や育ちの良さに感銘した
理由について語る。


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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2023.02.26

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Distance / Christina Peppri feat.Jason Mraz

2

Listen To Your Heart / D.H.T.

3

Watching The Wheels (Acoustic Version) / John Lennon

4

Aselestine / Yo La Tengo

5

プライマル / 東京事変

6

Memory Of / De La Soul

7

Close To You / Cubic U

8

The Sun Machine (Memory of A Free Festival) / Mercury Rev

9

Grapejuice / Harry Styles

2023.02.26

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。



KUNICHI was talking

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先日、ハリー・スタイルズがグラミー賞の「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。それは映画でいえばアカデミー賞の「作品賞」と同じような、最も優れたアルバムに贈られる、グラミー賞の中で最高の賞と言われているものです。過去の受賞者といえばビリー・ジョエル、ジョン・レノン、マイケル・ジャクソンなど、時代を作ってきたスーパースターのアーティストたちばかり。しかもですね、その中にはプリンスのように天才で膨大な数のレコードを売ってきたとしても受賞できていない人の方が遥かに多いです。その選び方に色々と物議を醸すことが多々ありますけども本当に凄いことでびっくりしました。ちょうどグラミー賞でスティーブ・レイシーも「最優秀プログレッシブR&Bアルバム」を受賞しましたし、ひょんなご縁で友達になった2人が世界中の人に認められたっていうのは本当に嬉しいものです。この2人とも共通の友達がいたことで知り合ったんですけども、特にハリーの方はちょうど20歳離れていて最初は可愛らしい息子のような気持ちでいましたが、随分と一緒に時間を過ごしたので いつの間にか学ぶことの多い、生きているうちであまり出会うことのないような素晴らしい友人であり、時に先生のような人になりました。友達になるっていうのに国籍も年齢も関係はないですし、もちろん職業も関係はないんですけども、僕が彼と出会ったのはちょうどOne Directionというグループを離れてソロになった頃で、誰に聞いても「ハリーといえばアイドルの中のアイドル」という返事が返ってきて、僕自身もOne Directionって名前は聞いたことはあったんですけど、僕には関係ないと思ってちゃんと聞いたこともありませんでした。僕の中のアイドルっていうのは若い女の子向けのルックスの良い男の子たちで、曲もきっと売れ線のものを歌っているのだろうと。売れたらそれはコマーシャルなもので、自分に向けられたものじゃないなと安易に考えていました。そういう風に考えるようになってしまったのは自分が若い頃のことで、当時というのはどうもメジャー、人に受け入れられ易いもの、そして受け入れられたものに対して反対さえしていれば、それでどこか自分があるっていう人に見てもらえる・・・そんな風潮があったと思います。それは本当にいらない先入観というもので、その凝り固まった考えが人生を随分とつまらないことにすることも多いのですが、実際そういう先入観を持って生きている人っていうのはこの世にたくさんいると思います。ちょっとした発言や格好だけを見て、先入観をもとに知りもしないうちに判断を下してしまうことが。「訓ちゃん、随分と色んな音楽をラジオでかけるんだね。もっと渋いものばかりをかけると思っていた」と古い友達に言われたりするんですけども、僕は自分も持っていた先入観っていうものをリスナーの皆さんにもなるべく捨ててもらいたいと思って色んな曲を選んでかけているんですが、そういう風に教えてくれたのがハリーです。



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彼がどんな人でどんなことをしたっていうのは思い出なのでべらべら喋ることじゃないんですけどもハリーについて言えるのは以前も番組で話しましたけど、本当に親切で奢りのない人だということです。コンビニでもタクシーでも必ず「アリガトウゴザイマス」と相手の目を見て言うとか、ドアを開けて人が入るのを必ず待ったり、お年寄りの方はエスコートしたりとか。それって売れているとか売れていないとか、金持ちだとかそうじゃないとかとは一切関係がなく、その人自身がもっている資質なんだなーってすごく思いました。ハリーを見てて思ったのが、こういう人のことを育ちが良い人って言うんだろうなと。彼の小さな頃の話ていうのは随分聞きましたけども、別にすごく恵まれていたとかそういうわけではないですし、義理のお父さんがいて病気になって看病してた話とか、いわゆる普通に僕らの周りにある話なんですけども、そこから成功しても変わらない人っていうのが育ちの良い人なんじゃないのかと。そうじゃない人っていうのをたくさん見てきましたけれど、成功して全く変わってしまう人や、いわゆるものすごい高学歴で社会的地位が高いとされている人なのに偉そうになって全く人に挨拶もしなければ、「ありがとう」を言わない人とか。どうやったらハリーみたいに育つんだろうと彼の姿を見ていて考えさせられることがたくさんありました。綺麗な話にまとめようとしているわけではなくて、ハリーがいつも真面目な堅物かっていうとそういうことは全然ないですから。冗談も言いますし、割と酷いイタズラばかりしますし、一緒にいるととても楽しい奴ですけども、でもロックスターはこうあるべきだとか、そういう無理なことをするのが一切ない人です。イタリアのブランドGUCCIの看板の1人として随分広告にもなっていますが、その格好っていうのもジェンダーレスというか、女性物の服を普通に着ていたり、クラシックな男らしいタトゥーをたくさん入れていたり、一体全体どんなジャンルの人なのかって聞かれるととても難しいんですよ、格好から何から。でもそれがすごく今らしいというか良いと思うんです。誰かになろうとするんでもなくて、好きなことをそのままやる。考えてみると僕が知り合うことが出来た映画監督とかミュージシャンとか、いわゆる世界的な名声を得た人たちというのは皆その出身国や性別に関わらず似たような感覚だなーと今振り返ると思います。偉そうにせず、人には丁寧で、挨拶もするしお礼も言う。幼稚園で最初に習うことを大人になってもしっかり守る人たち。そのことを本当は「大人になる」とか「大人」と呼ばなきゃいけないと思うんですが、出来ない人たちの方がはるかに多いと思います。とにかくそれを思い出させてくれたのがハリーで、僕はハリーのことを思うと「あぁ、なんかその前はちょっと自分も恥ずかしい人間だったな」とか、そういうことも多々ありましたし、そんな彼が世界最高の賞を取ったっていうのは本当に素晴らしいことだし自分の事のように嬉しいです。未だ、たまに周りで話すと「あぁ、あのアイドルの子でしょ?」「売れてるんでしょ?」って話を聞いたりするんですけども、先入観なしで是非彼のアルバムを聴いてみてください。『Harry's House』といいます。そして、3月の終わりに世界ツアーでハリーが日本にやって来ます。もう売り切れてしまっているかもしれませんが、素晴らしいライブですから、もしチャンスがあれば観に行ってみてください。