ON AIR DATE
2020.02.02
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54


★★★★★★★★★★

訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・

テキサス州で巡る、現代アートの旅。

★★★★★★★★★★

TUDOR logo

Theme is... TEXAS

『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★★★★★★

--- カウボーイとBBQだけではない!---

番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。

後半のテーマは「テキサス」。
かつて、高校時代に1年間留学したテキサスに思いを馳せる
きっかけとなった来客と過ごした東京での数日。
訓市が触れたテキサスの人たちのサザンホスピタリティ・・・
その魅力について語ります。


★★★★★★★★★★

番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト… お待ちしてます!!

現在、次のプレゼントを製作中です。そちらもご期待下さい!
完成次第、番組内でお知らせします。


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

2020.02.02

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Can't Hurry Up / Stray Cats

2

Stan / Eminem feat.Dido

3

Rock 'N Roll Suicide / David Bowie

4

In The Blink Of An Eye / Paul McCartney

5

真夜中の貨物列車 / スガシカオ

6

Drift / Misha ? Cocabona

7

The First Time We Met / King James Version

8

I'd Rather Be With The Boys / Johnny Thunders

9

Cold Little Heart / Michael Kiwanuka

2020.02.02

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。


Kunichi was talking …


★★★★★★★★★★

最近テキサスに行ったのかっていうとそういうわけじゃなくて、東京にいながら僕もTravelling Without Movingをしていたということなんですけど… というのは先日、俳優のオーウェン・ウィルソンがふらりと東京に遊びにやって来たからです。何か春から大きい撮影か何かがあるらしいんですけど、その前に時間が空いたようで。正月明けですかね?ちょうどお正月の年賀メールみたいなのをしていたら返事が来まして、「今週、東京にいる?」というので「今月は多分いると思う」と言ったらその3日後ぐらいに「いま飛行機の中だよ。あと9時間後には着くから」みたいなとてもカジュアルなメールとともに物凄い軽いフットワークで東京にやって来たんです。オーウェンは僕も仕事もしていて仲良しの映画監督ウェス・アンダーソンと大学時代の同級生で、完全なるテキサス生まれの男です。そのことは以前、番組でもお話したことがありますが、彼の英語っていうのはもう完全なる混じり気なしのテキサス訛りというか、どちらかと言ったらさらにそれが強くなってるというか。そして、それを1ミリたりとも変えようとしていないところがテキサス魂を感じるというか、僕がすごく素敵だなと思うところです。と言うのも同調意識というのは誰もが持つものだと思うんですけど、自分の出身が何処でもすぐそれを隠したりすることが多いと思うんです。自分の故郷に誇りがあって、それを貫き通すというのは簡単そうでなかなかできないことです。テキサス訛りっていうのはどういう英語なのかって言われると先ず、“とてもゆっくり話す”ということと“Rの発音が強い”ということでしょうか。英語の母国のイギリスと新しい国アメリカですとアメリカの方がより砕けているって皆さん思うと思うんですが、僕もそう思っていたんですけど、アメリカの英語っていうのはもともとピューリタンというクリスチャンの人たちが移民でアメリカに逃げて来たっていうことで、彼らが物凄く古風な英語を話していたので発音の仕方はアメリカの方が実は古風で、ちゃんとRを発音するそうです。逆にイギリス人のほうがRの発音を端折っていますので学校で僕らが習っていた「ア〜ル」みたいな発音をする人は一人も会ったことがありません。その中でもテキサスはその古風さがさらに強く、喋り方もフラット目に話すというか抑揚の無い、アメリカ人に言わせるとマッチョな話し方らしいです。「マッチョなアメリカの英語って何なんだ?」って今度言われると何ですかね。日本でいえば菅原文太が話す広島弁みたいな感じでしょうか。まぁとにかく男らしい。その抑揚が抑えられたゆっくりとした喋り方のお陰おで僕はテキサスに1年いたんですけどもその1年でだいぶ英語を学ぶことが出来ました。逆にニューヨークとかに行っていたら1年であそこまで覚えられたのかなって感じなんですけど、まぁそこから僕は色んな所に行く間に、そのいた場所いた場所の訛りというか喋り方を覚えてしまいまして、例えばニューヨークに行ってしばらく1週間くらいいると話し方がどんどん早くなって言い回しに現地のスラングとかが混ざるようになるんですが、これが今度ロンドンに行くとイギリス訛りになって返事の仕方一つも変わったりします。ところが、まぁテキサス訛りの英語を話すことっていうのはほぼ無いんですけど、オーウェンと一緒にいて喋っているうちに余りにも彼の英語がゆっくりでRが強いので気づいたら自分も同じようなテキサスの話し方になっていました。


★★★★★★★★★★

もうテキサスに住んでいたのが随分前なので自分でもその訛りがスラスラ出てくることもびっくりしたんですけど、そうやって話していると今度はオーウェンの顔がだんだんアメリカで一緒に住んでいたホストファミリーのお父さんや、学校の友達たちの姿に変化していくというか、ちょっとした思い出旅行みたいな感じになってきてしまいました。僕が住んでいたのは1990年から91年ですからもう30年近く前のことなんですけど、声を聞いてるだけで鮮明にその頃のことを思い出してくるというのはとても不思議な気分でした。記憶というのは視覚的なものからだけではなく匂いで思い出す人もいますし、味で思い出す人もいると言いますが言葉の訛りで思い出すこともあるんだなぁ〜とその時に思いました。テレビドラマ・シリーズ『ストレンジャー・シングス』に出てくるような長い学校の廊下とそこの両脇に並べられたロッカー… 僕もその中に映画と一緒のようにシンディー・クロフォードとかのピンナップを貼ったりしていたんですけど、それから家までいつも送ってくれた友達の古いシボレーのピックアップトラックとか。フットボールの試合がある日の文化祭的な学校の賑やかさとか、試合会場で1ドルで売っているパンもパサパサでソーセージは茹でたという味もそっけないホットドックなどなど、すっかり懐かしくなってしまいまして、気付いたらたくさんテキサスの話をオーウェンとしていました。向こうも同じ州の人間で歳が5つくらいしか離れていないので、話し出すと共通の話題がたくさんあるんです。「そういえば訓が住んでいた場所ってどこだっけ?」ってもう1度聞かれまして、街の名前を言うとオーウェンすら知らなくて…。「近くの大きい街」っていう名前を言うと「東京育ちでそんな所に行って1年間楽しく過ごしたというか、よくもったな!」と大笑いされました。まぁそのぐらい何にも無い所でした。開けた土地なのに何も無いっていうのは日本の感覚ではなかなか無いと思うんですけど、内陸部だったので夏は猛烈に暑くて、冬は氷が張るほど寒い。一番近くのスーパーが隣町で車で30分。けれども僕にとっては良い思い出しかありません。最初は冷たいというかとっつきにくいんですが、知れば暖かいというか暑苦しいほど親切な南部人気質といいますか、そこもすごく好きですし一直線の道が伸びるあのでっかいとしか形容できない風景。何だかんだ一番懐かしく思うのはその風景かもしれません。あと僕のホストファミリーの家は小さい平屋の家でアスファルトもボコボコの小さな通りにありました。角には大きなピットブルを飼っている家があって、近くを通ると猛烈に吠えくるんですが、こんなペラペラなフェンスで大丈夫なのかと最初はかなりおっかなびっくり遠くを歩いたものです。家の玄関の横のポーチにはベンチがあって、僕の母さんとお父さんはたまにそこに座って何をするでもなく外をぼーっと眺めていました。決して豊かじゃなくて貧しいのに、家の無い子供を養子のようにして住まわせ、その後に及んでどこのホストファミリーも引き受けてくれなかった、居場所の無かった僕まで一年間預かってくれた優しいお父さんとお母さん。そういう人がたくさんいるのがテキサスです。テキサスの話をするとレッドネックっていう白人至上主義の人が多いんじゃないかとか、やたらと鉄砲を打つ人が多いとか全員カーボーイだって思う人が多いと思いますが、そんなことは絶対ないです。オーウェンやウェスみたいな人たちをたくさん生んでいる。まぁあとはGUCCIで有名になったトム・フォードとか。中々行く機会がないと思いますけど、アメリカ好きの皆さんは是非一度テキサスへ行ってみてください。