映画「イニシェリン島の精霊

20230127week.jpg

今週、発表された第95回アカデミー賞のノミネーションで作品賞を含む主要8部門9ノミネートを果たしたこの作品。前哨戦と言われるゴールデングローブ賞でも作品賞・主演男優賞・脚本賞の最多3部門で受賞していて、今、世界でも大注目の作品がいよいよ今日!公開となります。物語の中心となる人物、パードリックを(ザ・バットマン)コリン・ファレルが、コルムを(ギャングオブNY)ブレンダン・グリーソンが演じており、コリン・ファレルは主演男優賞にノミネートされています。

監督・脚本を務めたのは、第90回アカデミー賞で6部門7ノミネートを果たした映画『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー。(今年度のアカデミー賞でも監督賞と脚本賞にノミネートされています。)彼が今回、『イニシェリン島の精霊』でモチーフにしたのは、人の死を予告するというアイルランドの精霊・バンシー。

一体、どんな物語なのでしょうか?

舞台は1923年、アイルランドの孤島、イニシェリン島です。島に住む人、全員が顔見知りであるこの小さくて平和なこの島に住んでいる男パードリックには長年、仲良くしてきた親友のコルムがいます。

しかし、ある日。パードリックがいつもの店でコルムの隣に座ろうとすると、、

『他に座れ』

とコルムが言い出します。え、昨日まで普通だったのになぜ??

『何か原因があるなら教えてくれよ。』

『何もない、ただ嫌いになったんだ。』

理由がわからないまま、パードリックは いわれのないことをコルムからつっこまれ、訳もわからないまま、昨日までの親友に嫌われる。コルムは一体どうしたのか。俺は本当に何もしていていないのか。パードリックとコルム、2人の行く末はいかに。そんな映画『イニシェリン島の精霊』。

アイルランド沖の2つの島で撮影されたこの作品。大西洋に面した島の浜辺、はたまた海に面する切り立った崖、山の稜線や湖~麗しき絶景の魅力に圧倒されます。が、美しい背景に描かれるのは人生の光と影、友情と憎しみ、絆と別れ、そして圧倒的な悲哀。アイルランドの自然の美しさと人間の営みの悲しさと醜さのコントラスト、そして台詞に散りばめられる黒いユーモア。

ジワジワ心に迫ります。

美しい景観と裏腹にアイルランドの歴史は痩せた土地、宗教的内戦と飢餓との戦いに彩られています。アイリッシュな男同士の友情と葛藤の裏には何があるのか?衝撃の展開とエンディング、ぜひスクリーンでご確認を!