「ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」 

今週は、第93回アカデミー賞で、助演女優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート!現在、Netflixで配信中の、この作品。

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Netflixオリジナル映画『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』独占配信中

アメリカの作家、そして、ベンチャーキャピタリストであるJ.D.ヴァンス。全米でベストセラーとなった 彼の回顧録「ヒルビリー・エレジー  アメリカの繁栄から取り残された白人たち」を原作に映画化された作品。実話が元になっています。

監督は「ビューティフル・マインド」「アポロ13」「バックドラフト」などを手がけたロン・ハワード。主人公の母親、ベヴを演じたのは「アメリカン・ハッスル」などでアカデミー賞にノミネートされたエイミー・アダムス。そして、今回、助演女優賞にノミネートされたグレン・クローズは、主人公の祖母を演じています。

ストーリーをご紹介しましょう。

アメリカの名門、イェール大学に通うJ.D.ヴァンス。就職活動中の彼は 理想の就職先を求めて希望のインターン先の人と繋がりが作れる食事会という名の面接に出かけます。

しかし、その真っ最中に1本の電話がかかってきます。それは姉のリンジーから。彼女は泣きそうな声で こう 告げます。

『ママが薬物の過剰摂取で倒れたの。お願い、戻ってきて。』

母も姉も放っておくわけにはいかない。ヴァンスは地元、オハイオの田舎町に向かいます。

母・ベヴがこうなったのは、今に始まったことではありません。勉強ができて、看護師をしていたシングルマザーの母。でも、子供時代にアルコール依存症の父の暴力をみてトラウマを抱える母は時々、ヴァンスに対してひどく当たったり、暴力を振るったり、そして、薬物に頼ってしまうところがありました。それは、今も変わりません。久しぶりに会った母は入院先の病院で先生や看護師に暴言を吐いて、困らせています。

そんな母を持つヴァンスを、幼い頃から育ててくれた祖母のマモーウ。(グレン・クローズが演じています。)ヴァンスが間違った道に進まないよう、厳しく接してくれた祖母。ヴァンスは地元に帰ってきて、これまでの様々な出来事や、すでに亡くなってしまった祖母との思い出に思いを馳せながら母と、そして姉と話をします。

家族は見捨てられない。

でも、自分には譲れない未来がある。

目を背けることができない現実と向き合うことでヴァンスは何をみつけるのか。

カビラ、アカデミー主演4回、助演4回ノミネートのグレンクロースの演技に釘付けでした。愛する娘は鎮痛剤依存、しかし、原因の一つは自分が作った家庭環境という引け目。だからこそ、孫にはきちんとしつけと励ましを、時にはほとばしる感情で鍛えます。激しくも愛ある面持ちの演技、完璧です。実はこういう肝の座ったアメリカのおばあちゃんとはまま接します。

経済格差、家族の問題含め、「環境」が薬物依存を作り出す背景にあるのですが、実はそこには企業と医療界の利潤追求のために依存を作り出す暗黒の構造も。

主人公のヴァンスはアメリカ社会の多くの人々が喘ぐネガティブスパイラルには巻き込まれない、という強烈な意思を持って己の全てを賭け、夢を追いかけます。後戻りはできない、しかし、見放すこともできない。家族だからこそ抱える問題、そして家族だからこそ結ばれる絆。揺れるヴァンスが出すその答え、そして選ぶ未来。ぜひ、見届けてください。

第93回アカデミー賞で、助演女優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート!Netflix映画『ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌』、独占配信中です。