今月は、毎週、今年度アカデミー賞 ノミネート作品をご紹介しています。今朝は、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞をはじめ10部門でノミネート! 年度、最多ノミネートの大注目作でNetflixで配信中のこの作品

Mank / マンク」 

20210423week01.jpgNetflix映画『Mank/マンク』独占配信中

作品のタイトルにもなっている マンク"とは、実在した人の名前です。ハーマン・J・マンキウィッツ。愛称、マンク。

脚本家です。映画史に残る傑作、とされる1941年の作品『市民ケーン』の脚本家。このマンクを演じているのが、ゲイリー・オールドマン。監督は、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『ソーシャル・ネットワーク』でアカデミー監督賞にノミネートされたこともある、デヴィッド・フィンチャー。 6年ぶりの作品です。

この2人がタッグを組んだ『マンク』、全編モノクロで描かれています。どんな物語なのでしょうか?

この作品は、マンクが傑作映画『市民ケーン』の脚本を書くときの話、なんです。『市民ケーン』、監督したのは、当時 20代、天才として注目を集めていたオーソン・ウェルズ。 その初監督作品が『市民ケーン』です。

ウェルズから依頼を受け、マンクが、人里離れた牧場の一軒家で 脚本を書き始めるところから映画は始まります。1940年のことです。でも、、、マンクは、アルコールに溺れてボロボロ。しかも直前に交通事故に遭いベッドに寝ながら、話す内容を、タイピストがタイプしていく、という状態。この脚本を書くシーンにまじえて、過去の回想シーンが折り込まれ、映画制作の時代背景が描かれていきます。

時をさかのぼり1930年代、

映画が、サイレント映画(無声映画)からトーキー(発声映画)へと移行する時代。急に脚本が書ける人が必要となり、映画会社は ありとあらゆるところから書ける人をかき集めることになりました。そこで声がかかった1人が、新聞社の特派員としてベルリンでも活動していたマンクです。

そして、時が流れ、1940年、

マンクは、『市民ケーン』の脚本に取り掛かるわけですが、この『市民ケーン』が何を描いた作品なのか、これを知っておくとこの映画がよくわかります。『市民ケーン』のモデルとなったのは、実在の人物、新聞王 ウィリアム・ランドルフ・ハースト。新聞だけでなく、雑誌、ラジオ、映画、当時のメディアに絶大な影響力を持っていたとされる人物です。時には、フェイクニュースで、世論を操った と言われています。(あれ? 今も同じことが起きている??)

その新聞王をモデルにした作品が、『市民ケーン』だったのです。

この脚本は どのように書き上げられたのか?

そして、マンクは、なぜ、そのような物語を書く決意をしたのか??なぜ、個人的にも交流があったハースト、そしてその愛人、マリオン・デイヴィスを描いたのか?

そんな作品が、映画『マンク』

当時のメジャースタジオ、巨大映画会社の不都合な内情が露わになる作品。世間の目にはうつらない、権力とメディアの不誠実な関係も暴かれます。ナチスの黒い影が徐々に迫る時代、マンクは己が安住する映画界の現実と ジャーナリストとしての信念、その間の隔絶に喘ぎます。映画の歴史も紐解きながら、信念と現実の葛藤という永遠のテーマがそこに!お聞きの貴方も現実と信念の「差」をどう生き抜いていますか?!

この作品は、デヴィッド・フィンチャー監督のお父さん、ジャック・フィンチャーが書いた脚本を映画化した作品。フィンチャー親子が『マンク』を通して伝えたかったこと、ぜひ、感じ取ってください。

メディアの正義が問われる今、この作品を映画化したことにその熱い想いを感じます。

Netflix映画『Mank / マンク』、独占配信中です。