映画「ミナリ」

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今週発表された第93回アカデミー賞のノミネーションで作品賞を含む6部門でノミネートされた大注目の映画。そして、この作品は今や、オスカーの常連となったA24と、ブラッド・ピットのPLAN Bが、その脚本にほれ込み、タッグをくんだ作品です。

ストーリーをご紹介しましょう。

時は1980年代。韓国系移民のジェイコブには夢があり、家族で アメリカのアーカンソー州に 引っ越してきました。彼の夢は『農業で成功すること。』この土があれば大丈夫、と先行投資として広大な土地を買い、新しい家を決めました。しかし、妻・モニカは完全には納得していません。連れてこられた家は、相談もなしに決められたトレーラーハウス。農業もうまくいくかどうかわからない。二人の幼い子供がいるのに。(しかも、弟は心臓に病を抱えています)少年のように夢を追う夫と、子供のことをもっと考えて欲しい妻。夫婦喧嘩が絶えない日々...

そんな中、韓国からモニカの母・スンジャがやってきます。スンジャは韓国からいろんな食材を持ってきました。懐かしい食材の数々に モニカは感動して思わず涙。

『そんなに嬉しいかい?』 とスンジャは笑います。そして、スンジャが持ってきた食材の中には韓国では『ミナリ』と呼ばれる野菜 せりがありました。彼女はそれを水辺の近くへ植えます。ミナリはあっという間にあたりいっぱいにその葉を伸ばします。

一方、農業で一山当てたいジェイコブの方は水が干上がり、作った野菜はうまくうることができず生活は苦しくなる一方。そんな一家に、予想外の出来事が立ちはだかります。

そんな映画 『ミナリ』。

アカデミー賞で、監督賞にノミネートされました。リー・アイザック・チョン監督からコメントが届きました。

家族は、初めて足を踏み入れた新しい地で、新しい人々に出会い、そこのコミュニティでの生活を始めながら、外的な困難に直面します。でも彼らにとって最も大きな困難は、自分たちの家の中で起こるんです。

一緒に暮らして、同じことを目指し、お互いを愛することを学んでいくのです。物語の中では、おばあちゃんが韓国からミナリ(せり)を持ってきます。韓国では水の近くに生えている植物なんですが、生えている場所の水や土をきれいにする役割を持っています。この映画の中では、このミナリ(せり)が家族にとって出発点になるんです。

移民という困難、しかも、農地を切り開いていく、という困難。とても美しい風景の中、家族はどう生き抜くのか?ちなみに、監督のコメントにあった、タイトルの『ミナリ』=せり。日本では春の七草として親しまれていますが、韓国では「たくましく根を張り、2度目の旬がもっとも美味しいことから子ども世代の幸せのために 親の世代が懸命に生きる」という意味が込められているそう。

~家族の物語...結末は、ご自身で確かめてください。映画『ミナリ』は、今日から公開です。