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このコーナーでは、世界各地の番組通信員とマルチにコネクト。時事問題から生活の実情まで、世界中の視点を並列して探ります。

あす、10月10日は「世界メンタルヘルスデー」。
メンタルヘルス(心の健康)についての意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的とした国際デーです。

J-WAVEでは、この「世界メンタルヘルスデー」に合わせ、「TUNE IN TO YOURSELF」と題した新しいソーシャルアクションをスタートしています。

そこで、この時間は「世界のメンタルヘルス事情」と題して、2つの国・街の番組通信員の方に回線をつないで、お話を伺います。

⚫︎オーストラリア・メルボルン在住の小林純子さん

Q1 オーストラリアは"メンタルヘルス先進国"と呼ばれているようですが、メンタルヘルスに注力し始めたのはいつ頃からなのでしょうか?

A1 オーストラリアがメンタルヘルスに注力し始めたのは1990年代で、特に1992年に策定された「国家メンタルヘルス戦略(ナショナル・メンタル・ヘルス・ストラテジー)」が始まりだったようです。

Q2 では、具体的にどういったサポートが充実しているのでしょうか?

A2 例えば学校ですと、各学校・大学では、無料で学生がアクセスできる専門のカウンセラーやサイコロジスト(臨床心理士?)によるカウンセリング・サービスを用意しています。

職場でも多くの企業や組織では社員やその家族が仕事やプライベートの悩みについて外部の専門カウンセラーに無料で相談出来るという制度が整っています。一般の住民やすべてのオーストラリア滞在者がアクセスできるサポートには、「メディケア・メンタル・ヘルス」という、無料でオンラインや電話等で気軽にできるメンタルヘルスのチェックや初期カウンセリングがあります。

Q3 メンタルヘルス対策において、オーストラリアならではの特徴はありますか?

A3 オーストラリアの学校では国が定めた国家ウェルビーング・フレームワークという指針に沿って、幼稚園の年長クラスから高校1年生までのカリキュラムに、メンタルヘルスとウェルビーイング(心身ともに幸福で健康な状態)の学習が組み込まれています。

各学校・大学は無料で学生がアクセスできる専門のカウンセラーやサイコロジストによるカウンセリング・サービスを用意しているほか、これらのメンタルヘルスとウェルビーイングの授業では心の病気について学ぶのではなく、困難を乗り越えられる力(レジリエンス)を養成し、学校を安全な居場所にするための教育を国を挙げて行っています。

Q4 では、個人のメンタルヘルスに対する意識はいかがですか?

A4 オーストラリアでは精神不調の際に心理士を利用するのは一般的です。子供も必要に応じて心理士にかかることも多く、精神不安定が原因でかかりつけ医(GP)にかかった際には専門の心理士が紹介されることも少なくないです。

Q5 オーストラリアが30年以上メンタルヘルスに力を入れてきた上での成果や、いまだ残る課題は??

A5 これまでの成果としては、かつての精神科病院への長期隔離入院というシステムから地域社会でサポートを受けて生活する治療モデルに早期に転換できたことや、オンラインでメンタルケアにアクセスできる先進的なプラットフォームを政府指導で構築したこと、また国保(メディケア)による心理療法のカバーや国家予算の安定的な投入が定着させたということ。

一方、今だに残る課題や新たに起こり始めた課題としては、若年層のメンタルヘルスの悪化(16~24歳の若者における過去12ヶ月間の精神障害の有病率は、2007年の26%から、2020-2022年では39%へと大幅に上昇)や、軽度(オンライン相談)や、重度のケアは手厚い一方で、入院するほどではないが心理療法が必要な中程度の患者へのアクセスが不足していること、また住んでいる場所(地理的要因)や性的指向・傾向(ジェンダーやセクシュアリティ)に基づくメンタルヘルスへのアクセスへの格差が生じていること等が挙げられます。

⚫︎韓国・仁川在住の浜平恭子さん

Q1 韓国では、大変残念なことに、自ら命を絶つ人の多さが社会問題になっていますが、近年、メンタルヘルスについて急ピッチで対策が進められているそうですね?

A1 ここ数年で韓国はメンタルヘルス対策をかなり積極的に進めています。特に印象的なのが、2024年に自殺予防相談電話を「109」という3桁の番号に統合したことです。韓国では相談窓口を一つの番号にまとめ、迷わず相談できるようにしています。

日本の110番や119番のように、誰もが覚えやすい3桁の番号で、心がつらい時に24時間365日相談できる「109」という入口を作ったことは、大きな変化だと思います。

Q2 相談電話以外では、どのような対策が進められていますか?

A2 学校や職場、地域で相談できる体制を整えたり、精神健康福祉センターなどを通じて、専門家につなげる取り組みが進んでいます。

また、橋など自殺リスクの高い場所には「SOS生命の電話」を設置し、危機的な状況で直接助けを求められるようにするなど、場所そのものの安全対策も進められています。

そして最近は、「病気になってから治療する」というだけではなく、「ちょっと疲れたな」という段階から心のケアを考える取り組みも広がっています。早めにケアする方向へ変わってきているんですね。

Q3 メンタルヘルス対策、ほかに韓国ならではの特徴はありますか?

A3 韓国らしいと思うのは、やはりデジタルの活用です。

日本のLINEのように、韓国ではカカオトークが生活の一部になっています。実際に、自殺予防の相談でも「마들랜(マドゥレン)」というサービスがあります。

これは「心の声を聞いてくれるオンラインの友達」という意味の言葉を短くした名前で、カカオトークなどから文字で相談することができます。

「相談したい」と思っても、いきなり電話をするのは勇気が要りますよね。

普段使っているスマートフォンから文字で相談できれば、最初の一歩も踏み出しやすいかもしれません。そういう意味では、韓国のITやスマートフォン文化が心のケアにも活かされていると感じます。

Q4 では、個人のメンタルヘルスに対する意識の変化は出ていますか?

A4 かなり変わってきたと思います。韓国で暮らしていると、私の周りでは、若い人たちが「最近すごく疲れているんだよね...」とか「燃え尽きちゃった...」というように、自分の心の状態を言葉にすることが増えたように感じます。

私の友人たちで作っているグループカカオトークでも、誰かがそんなメッセージを書き込むと、みんなで全力で慰め、味方になります。

以前なら「もっと頑張らなければ」で終わっていたことを、「今、自分は少し疲れている」と認識して相談する。

ギリギリまで溜め込まず、早い段階で心をメンテナンスするという考え方が少しずつ広がってきている印象があります。