
暑い日が続いています。
水分補給、適度な塩分補給、暑さを避けるなど、熱中症には十分注意してお過ごしください。
この暑さ、日本だけではありません。海外では熱波により多数の死者が出る災害級の猛暑が起きている都市があります。
この時間は「世界の猛暑事情」と題して、2つの国・街の番組通信員の方に、 現地の状況や対策についてお話を伺います。
Q0 サッカーワールドカップ、スペイン優勝おめでとうございます!そちらの様子はいかがですか?
Q1 本題に戻りまして・・・スペインでは6月ごろから熱波が猛威を振るっているそうですが、これまでの状況を教えてください。
A1 私の住む地中海沿岸の南スペインでは、5月下旬に突然夏日が始まりました。徐々に暑くなるのではなく、前日に25度くらいだったのが、翌日に35度近くなるような感じでした。他のヨーロッパ諸国とおなじく、例年よりもかなり早い「6月中旬」から本格的な熱波に見舞われました。
バルセロナやビルバオなど普段は比較的過ごしやすいとされる北部の都市でも40℃台を超える観測史上最高気温が出ました。
深刻なのは健康被害で、スペインだけでも6月以降でおよそ1000人以上が暑さに関連して亡くなったと発表されており、特に高齢者や持病を持つ方への影響が甚大です。
Q2 スペインでは山火事も起こっているそうですね?
A2 特に大きなニュースとなっているのがアラゴン州(Zaragoza周辺)などスペイン北東部で発生した大規模な山火事で、今年最大級の被害となっています。
7月上旬には、私が住む南部のアンダルシア州(アルメリア県)でも大規模な山火事があり、避難中の住民ら10人以上が亡くなるという非常に痛ましい事態も起きました。
余談ですが、この火事で行き場を失って保護された子猫2匹を、我が家で一時的に預かることにしました。
Q3 では、暑さへの対策についてですが、スペインのエアコンの普及、どうなっていますか?
A3 実は、数年前に、我が家でスペイン人の夫との間でエアコン論争があり、2年前に我が家に設置したばかりでした。スペインの中でも、最も暑いアンダルシア地方でさえ、10数年前までは、エアコンを設置していない家庭がほとんどでした。
日本に比べて、湿度が低く、日陰に入りさえすれば涼しいということで、エアコンが無くても暮らせたのです。しかし、この10年間で、40度にも迫るような日々が続くようになると、北部の都市を除いて、ほとんどの家庭でエアコンが普及しました。
Q4 熱波に対して、スペインでは公的にどのような対策が取られていますか?
A4 スペインでは国や自治体レベルでかなり具体的な警戒システムと対策が動いています。例えば・・・
気象庁(AEMET)と保健省が連携し、気温だけでなく湿度や夜間の気温を考慮した4段階の「熱波リスク警報(緑・黄・オレンジ・赤)」を発令し、メディアやSNSで注意を促しています。
また、猛暑警報が出た際、屋外労働(建設業や清掃業など)の作業時間を制限したり、最も暑い時間帯の労働を禁止・屋内へシフトさせることが法律で義務付けられています。
バルセロナやマドリードなどの自治体では、図書館や美術館、公園の木陰エリア、冷房の効いたコミュニティセンターを「気候避難所」として一般に無料開放し、水を提供して誰でも避難できるようにするなどの対策がされています。
Q5 家庭や個人レベルでは、暑さに対して、どのような工夫をして過ごしていますか?
A5 もともと、スペインの多くの地域では、冬の寒さより夏の暑さ対策に重点をおいたライフスタイルが確立していると思います。有名な昼寝(シエスタ)や2か月にも及ぶ長い夏のバケーションも、実は伝統的な暑さ対策の一環です。
そして、夏シフトが採用されている職場が多く、6月から9月は、早朝8時ころから働き始めます。
家庭でも、なるべく用事は午前中に済ませ、午後は外出しないようにします。友達と会ったり、食事に出たりなど、楽しみは日が暮れてから。子供たちも、日が暮れてから公園に出て遊んでいます。
1日で最も暑い午後2時から5時は、家にこもって、食事をしたり昼寝をしたり。これが、シエスタの習慣です。
アメリカ・ニューヨーク在住 中村英雄さん
Q1 ニューヨークでは7月上旬、気温40℃を超える熱波がありましたが、どんな状況でしたか?
A1 熱線を全身に浴びているような感じ。日本では体験したことのない「体に悪そうな」暑さでした。とても街路を歩ける状態ではなかったですね。
テレビ、ラジオ、インターネットでは盛んに外出自粛と室内冷房強化を叫んでいました。また熱波の影響で各所で停電が起きました。
NYの病院に緊急搬送された熱中症患者の数も史上最大と言われ、隣州ニュージャージーでは7月4日の週末だけで熱中症による死者が29人を数えたそうです。現在、暑さは落ち着きました。
Q2 先日は、カナダで起きた山火事の煙がニューヨークにも届いたとか?
A2 そうなんです。ヒートドームの直後。「一難去ってまた一難」ですよ。
7月7日には、大気汚染度を測る0〜500のスケールのうち、前代未聞の「484」を記録し、「全市民外出禁止」が発令されました。
外に出ると空は黄色く霞み、目が痛く、時に咳き込む、という状態です。歩行者の多くがマスクをつけていて、さながらコロナ禍の再来みたいな雰囲気が街中を覆っていました。
Q3 では、暑さへの対策についてですが、NY市内ではどのような対策がされていますか?
A3 今回のような大型熱波が到来するとNY市では、NY市危機管理要綱に従って高温危機対策を発動します。内容は多岐にわたっていて、たとえば、市立図書館や高齢者施設を冷房センターに切り替えるほか、有名な展示会場「ジャビッツセンター」の広大な施設を冷却エリアとして開放。さらに公営プールの開業時間を延長したり、専用巡回車「クール・バン」で健康診断サービスや飲料水、日焼け止めの配布などを行います。他にも、仔細に街角をチェックして暑さに苦しむ路上生活者を施設に搬送する、といったきめ細やかな熱中症防止の取り組みも行われています。
Q4 家庭や個人レベルでの猛暑対策はどうなっていますか?
A4 たとえば、室内の熱中症が多発するため、熱波が来たら有無を言わさず冷房の効いた「室内に待機」。これは日米共通です。
ただ、冷房機をめぐる感覚が違います。全般に、冷房装置が室外機を使わない旧式の窓取り付け一体型が主流。値段も安価です。
そのせいか、熱波が来てから家電店に駆け込み小型のクーラーを慌てて買うパターンが目立ちます。
「備えあれば憂いなし」のことわざはこの街にはないようです。
また、個人的な冷却重視(自分だけが涼しければいい)の感覚が強く、いきおいパーソナルファンに飛びつきます。
街で売っている簡易ファンは、作りが安っぽく一夏で破局します。