さて、今週末の日曜日は「母の日」ですね。「母の日」は、毎年5月の第2日曜日に、母親に日頃の感謝と敬意を伝えるイベントです。
20世紀初頭のアメリカ、アンナ・ジャービスという女性が、亡くなった母親のために追悼会を開き、生前好きだった白いカーネーションを参列者に配ったことが起源とされています。
日本に「母の日」の風習が入ってきたのは明治時代の終わりごろ。5月の第2日曜日が「母の日」に制定されたのは、戦後間もない昭和22年のことだったそうです。
さて、そんな「母の日」は、世界各国にもありますが、少しずつ事情が違うようなんです。そこで、今回は「世界の母の日事情」と題して、2つの国・街の番組通信員の方に、お話を伺います。
⚫️スペイン・バルセロナ在住 / 山本 美智子さん
Q1 スペインの「母の日」はいつなのでしょうか?
A1 スペインでは1965年から5月の第一日曜日が母の日ですが、そこに至るまでは様々な変遷がありました。
Q2 どういった変遷があったのでしょうか?!
A2 母の日がスペインに広がったのは、1926年に郵便局員で詩人だったフリオ・メネンデスという人が、"人生におけるあらゆる愛情を超える母親の愛を讃えて国民の祝日にすべきだ"と新聞に投書してからだといいます。その翌年の10月に、当時のイベリア動物植物保護教会連盟が、子どもたちが母親に花を贈れるようにと10月4日に花屋台を出したことから「母の日」の存在がスペイン中に広がり、当初はあまり関心のなかった政府や教会が12月8日のカトリックの祝日「無原罪の御宿り」の日を母の日に制定しました。その後、スペイン第二共和政時代(1931-1939年)には宗教と切り離され、マドリードのブックフェアが行われる5月24日が母の日になりましたが、独裁政権時代(1939-1975年)と共にまた12月8日に戻ります。その独裁政権時代の最中の1965年に現代のカトリック教会を方向づけたと言われている第二バチカン公会議の影響のもと、5月の第1日曜日に設定されて、現在に至ります。
Q3 12月と5月を行ったり来たりして、今は5月の第1日曜日なんですね。現在、スペインの「母の日」は、どのような日になっているのでしょうか?
A3 もともと、スペイン人の家庭では、毎週、日曜日にはお母さんの家に行って、家族全員で昼食をとるという習慣があります(スペインではランチが正餐です)が、以前に比べるとその割合が減ってきています。だからこそ、この日は必ず、お母さんの家に家族がみんなで揃って食事に行くという第二のクリスマス的な意味合いになってきているように思います。
Q4 母の日のプレゼントの定番というと、やはりお花でしょうか?
A4 変わり映えしない答えで恐縮ですが、街中を見ていても、花束を抱えて歩いている人たちが多いです。日本のように母の日はカーネーション、と拘るわけではなく、カーネーションやバラなど様々な花束を贈っていますが、 実は、このカーネーションはスペインを代表する花=国花だと考えられています。特にアンダルシアではよく使われていて、フラメンコダンサーがカーネーションの花を髪に挿している写真などを見たことがある方もいるかと思います。2024年ユーロでスペイン代表が優勝した時のユニフォームの首元にも、カーネーションの刺繍が入っています。
Q5 そのほか母の日について、スペインらしい慣習はありますか?
A5 母の日といっても、以前は本来、主役のお母さんが、家にやってくる多くの家族のために料理をするのが当たり前でしたが、最近は、母の日は、お母さんに楽をさせてあげようということで、外食する人が増えてきました。スペインでは「日曜日のお昼はパエリヤ」という家庭も多いので、必ず、日曜日に行われる母の日に、家族でパエリヤを囲むというのは、その意味ではスペインらしい習慣かもしれませんね。
⚫︎タイ・バンコク在住 / 木下 麻衣子さん
Q1 タイの「母の日」はいつでしょうか?
A1 1976年以降、8月12日を母の日、タイの祝日と定められています。「ワン」が日、「メー」が母という意味で「ワン・メー」と呼びます。
Q2 では、なぜ8月12日が「母の日」になっているのでしょうか?
A2 プミポン前国王、ラマ9世の奥様である、シリキット王太后のお誕生日なのです。(昨年10月24日に93歳でご逝去。)少し話を脱線させていただきたいのですが、そもそもラマ9世が偉大すぎるのです。福祉、過疎地域や農村支援、インフラの整備や国を豊かにするための開発など、国民のために尽力されておりました。70年に渡る在位期間中、政治的混乱の中でも常に中立を保ち、国民統合の象徴として機能されていたので、タイ国民からの人気と尊敬がそれはそれは絶大でですね。もう絶対的存在の御方なのです。話を戻しまして、そういう背景をもって当時の国王のお誕生日が父の日であり、王妃シリキットのお誕生日が母の日となりました。それ以前は、タイ正月のお祝い「ソンクラン」が年長者を敬う日としてそのような日だったようです。
Q3 8月12日の「母の日」には、タイ政府から何か発表されるとか?
A3 「คำขวัญวันแม่(カム クワン ワン メー)」王室からの名誉ある大切なお言葉というもので、イメージ的には詩のような感じです。そのお言葉をもとに学校では作文を書いたり、母へ贈るお手紙への引用に使われるそうです。
Q4 では、タイのみなさん、母の日はどのように過ごすのでしょうか?
A4 とにかくお母さんを大切にされます。身体を気遣った贈り物・・・例えば歩き易い靴、動き易い服、枕、スキンケア用品、ハーブティー、などをプレゼントしたり、 遠方から顔を見に、見せに会いに行ったり一緒に食事に出かけたりお買い物に行ったり。私がこの国が大好きなところの1つでもあるのですが、皆さん堂々とお母さんを大切にするのです。日頃から病院の待合室に息子が付き添う、一緒にショッピングを楽しむ、お友達のお誘いを「今日はお母さんと約束がある」と断るなど。親子が仲良しな方が多いと思います。
Q5 お母さんへのプレゼントの定番というと?
A5 プアンマーライという、ジャスミンの花で作る花輪を贈り物と一緒に渡します。日本ではカーネーションですよね!
Q6 そのほか、「母の日」について、タイらしい慣習などありますか?
A6 タイには生まれた曜日の色を大切にする習慣があり、金曜日生まれのシリキット王太后の「水色」がテーマとなって建物が水色に装飾されたり、企業やお店のロゴが水色になったりと街中が水色で溢れますし、水色の服を着て過ごされる方が たくさんいます。