
4月29日は「国際ダンスデー」でした。
近代バレエの父と呼ばれる、フランスの舞踊家・バレエマスター、ジャン=ジョルジュ・ノヴェールの誕生日にちなんで制定された「国際デー」の一つです。
日本のバレエというと、世界の名門バレエ団で活躍するダンサーも多く、東京バレエ団をはじめ、国内バレエ団のレベルも非常に高いと言われています。
プロのダンサーを目指す方、習い事の1つとしてバレエを習っている方も多く、バレエ人口は推定25万人はいるんだとか。海外ではどうなんでしょう??
今回は「世界のバレエレッスン事情」と題して、2つの国・街の番組通信員の方に、お話を伺います。
⚫︎イギリス・ロンドン在住 / 内山 昇さん
Q1 イギリスには王立のバレエ団がありますよね?どのくらいの歴史があるのでしょうか??
A1 はい、世界的に知られる ロイヤル・バレエ(The Royal Ballet) です。ルーツは1931年にロンドンで設立されたヴィック・ウェルズ・バレエで、戦後の1945年にコヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラ・ハウスの専属となり、1956年に英国王室の認可を受けて現在の名称になりました。この他にも、イギリスには20近くのプロ・バレエ団があり、ロシア・バレエの技術を土台に、物語性や気品を大切にする英国独自のスタイルとして発展してきました。
Q2 となると、イギリスのみなさんにとってもバレエは身近な存在でしょうか?
A2 少し古いデータ(2016年調査)ですが、成人のおよそ 4%が年に1回はバレエを鑑賞していると言われています。また、ロイヤル・オペラ・ハウスには、海外からの観光客も含め年間数十万人が訪れますし、立ち見席なら 10ポンド前後から観られることもあり、バレエファンには最高の環境で、旅行で訪れた際に本場の舞台を楽しめるのも魅力だと思います。
Q3 では、バレエを習う環境についてですが、学校や教室は充実しているのでしょうか。
A3 はい。RAD(Royal Academy of Dance)の認定教室や地域のダンススクールなどを含めると、英国全体で 3,000以上の教室があると言われています。
初心者向けのレッスン料金は、1回 12~15ポンドほどで、 音楽教室と同じくらいの感覚です。また、プロ養成校もロイヤル・バレエ学校、イングリッシュ・バレエ学校など、ロイヤル・バレエ学校など 10校前後あり、卒業した生徒さんが世界中のバレエ団で活躍されています。
Q4 プロ養成校には、日本からの留学生もいらっしゃるとか?!
A4 全寮制で非常に厳しい環境のプロ養成校には、日本から単身で渡航してプロを目指しチャレンジしている10代の生徒さんが沢山いらっしゃいます。
ちょうど、先週末に、友人がホストファミリーで受け入れているその日本人の生徒さんとお会いする機会があり、まだ16歳なのに、ロンドンで寮に入り、自炊をしながら、異なる文化や語学も学びながら、日々、プロを目指してチャレンジしている姿を見て、素晴らしいなと思いました。
Q5 プロを目指さず、習い事の1つとしてバレエを習う方も多いのでしょうか?
A5 イギリスでは、大人になってからバレエを始める方も多く、大人初心者向けクラスが各地で開かれています。バレエは特別な習い事というより、健康や教養の延長にある文化として自然に社会に溶け込んでいて、それが人気を支えていると言えると思います。
⚫︎中国・北京在住のライター 斎藤 淳子さん
Q1 中国にも国立のバレエ団があるんですよね?
A1 はい、中国には国立のバレエ団があります。代表的なものとしては、2つのバレエ団で、一つ目は「中国国立中央バレエ団」(北京)で、設立されたのは1987年です。
中国国立中央バレエ団は、クラシックバレエの伝統を大切にしながらも、現代的な作品や中国文化を反映させた演目も多いバレエ団です。もう一つは1984年に設立された「国立上海バレエ団」です。
クラシックなバレエを基盤にしつつ、中国の伝統や現代的な振付を取り入れた独自の作品を披露し、国際的にも知名度が高いです。
Q2 中国のバレエは雑技団の技術とも融合しているとか?
A2 バレエは雑技も含めて、中国舞(民族舞踊的な踊り)などに広く影響を与えています。中国の雑技でもバレエのスタイルを取り入れているものがあります。雑技には体の究極の柔軟性や強靭なコントロールなどバレエと共通する側面も多いです。元々、中国雑技(サーカス)の技術的な水準はものすごく高いため、独創的なアクロバッティックなバレエ風の演技で国際的な賞を受賞している出し物もあります。また、バレエと融合した「中国舞」というジャンルがあります。
(あくまで、中国の雑技がバレエを取り入れている、という流れです。多分、バレエの人は雑技と並べられることは嫌がるような気がします。。。)
Q3 そうなると、中国のみなさんは、よくバレエを鑑賞されているのでしょうか?
A3 正直、バレエ鑑賞の習慣はないですね。国立バレエ団の創立が80年代と、まだ本格的なバレエの歴史が短いことも関係しているかもしれません。
Q4 中国(北京)には、バレエのレッスンを受けられる学校や教室は充実しているんでしょうか?
A4 都市部では習い事自体がとても盛んなので、バレエ教室はあります。小学生でも土曜日曜の昼間はほぼ習い事が入っており、親が付き添ってあちこち「習い事の梯子」をするというのも 珍しくありません。親の関心が高いので、バレエ教室にビデオカメラがついていて親がリアルタイムで子どもの授業の様子を見られることを売りにしている教室もありました。(プロを目指す方への教室もありますか?)レッスンは子どもの遊びか、プロ向けかに別れます。プロ志向のバレエ学院付属中学・高校進学のための ゴールデンウィーク中の集中講座の宣伝が出ていました。 内容は毎日6.5時間、5日間連日のレッスンで4000元(約93000円)でした。6月に受験する試験に合わせた指導ということで、芸術系も猛烈お受験があるのでバレエもその一角を成しています。
バレエを習う子どもたちの親には、何か傾向がありますか?
中国では習い事全般に言えることですが、子どもの興味や経験というゆるい目的でやらせる、という開明的な若い親も最近は増えていますが、ちょっと前まで圧倒的に多かったのは、はっきりした「コスパ」や「成果」重視の姿勢の親です。
そうしたニーズを反映し「やった」ことを証明するための「級」が割とメジャーです。具体的には中国国内で作られた「北京舞踊学院グレード試験」と「イギリスのロイアル・アカデミーオブダンス」の二つの進級資格テストがあります。
Q5 もう少し気軽に、バレエを趣味や習い事の1つとして習う方もいらっしゃるんですよね?
A5 バレエを一般の趣味で習っている人はいます。一人っ子や教育熱などもあり、中国の習い事のレッスン料金は 日本以上に総じて高いです。バレエレッスンは8人~12人程度のグループレッスンでも1回で200~300元(4700~7000円)。
しかも、大抵が前払いだと割引がきく形になっており、1年で2~3万元(47万円~70万円)前払いということもざらです。英会話、ピアノやヒップホップダンス、社交ダンス、体操、ローラースケート、バドミントンなど他の習い事でもほぼ同じ位かかるので、特別に高いわけではありません。