20260417c01.JPG

新年度が始まって半月ほど経ちましたが、学校や会社では、早いところではそろそろ健康診断が実施されます。

日本では「学校保健安全法」に基づき、学校は児童・生徒に対して毎年の健康診断を実施する義務があり、身長・体重・視力・内科検診などを実施しています。

また、事業者は、従業員に対して年1回の定期健康診断を受けさせる義務があります。

さて、この健康診断、海外ではどうなっているのでしょうか?日本のように学校や会社が実施しているのでしょうか。そこで、この時間は「世界の健康診断事情」と題して、2つの国・街の番組通信員の方にお話を伺います。

⚫︎アメリカ・ロサンゼルス在住 / 手島 里華さん

Q1  アメリカでも健康診断は行われていると思いますが、日本でお馴染みの定期検診とは成り立ちとその実行が違うようですね。

A1  アメリカには一律の「定期健診」という概念がありません。アメリカは日本のように『国が支える保険』ではなく、『個人や企業が自ら選んで加入する民間保険』となっています。全米で1000を超える民間保険会社の中から、その保険がどのような病院と連携、提携しているかなどを調べて入ります。そして加入した保険会社のネットワークに所属している病院の中から、Primary Docter(主治医)を決めます。日本では耳鼻科や眼科など専門医のクリニックに直接行くことが出来ますが、 アメリカは、 まず何か体に異変を感じたら、このPrimary Docterにアポイントを取ってその症状の治療に適したクリニックへ紹介状を書いてもらって行くという段取りになります。つまりこの主治医が、患者の健康状況をすべて把握しているという事になります。

Q2  個人や企業が民間の保険会社を選んで加入するとのことですが、1年に1回、など定期的に健康診断をする慣習はあるのでしょうか?

A2  一般的にこの主治医のところで『Annual Physical Check up』、年に1回の健康診断が無料で!受けられます。これは2010年に施行された医療保険制度改革(オバマケア)によって、予防医療を普及させるために義務付けられた仕組みです。なぜ無料なのかというと、保険会社にとって、加入者が大きな病気になって高額な入院費を払うよりも、年1回の検診で 異常を早期発見して予防してもらう方が最終的なコストが安く済むため、無料で提供されています。

Q3 健康診断の内容ですが、がん検診が充実していると聞きます。

A3  身長・体重・血圧・標準的な血液検査などの基本的な情報をチェックして、年齢に応じたガン検診が行われます。

例えば

  • 乳がん 40歳から定期的なマンモグラフィ。頻度は年1~2回
  • 大腸がん 45歳から大腸内視鏡(10年ごと)や便検査(毎年)など、医師と相談して選択 ・肺がん 50歳から喫煙歴がある人のみ対象。線量の低いCT検査を毎年行います 。
  •  前立腺がん 55~69歳の男性 一律の義務ではなく、医師と相談して血液検査を行うか決定

Q4 アメリカでは、がんの受診率も高い傾向なんですよね?

A4  受診率は乳がん約76~83%最も高いです。保険加入者の間では定着していて、特に50~74歳の女性で受診率が高い傾向にあります。乳がんに関しては『ピンクリボン活動』などが各地で積極的に行われて周知されており、アメリカで女性のガン罹患率で一番高いのが乳がんという事もあり、積極的に検診を受ける人が多いようです。

また、大腸がんの受診率は約65~72%。一方で、肺がんは約19~20% と極めて低い状況です。喫煙歴がある対象者のうち「5人に1人」しか受けていないという状況で、全米で啓発活動が強化されています。

Q5  そのほか、アメリカの健康診断の特徴はありますか?

A5  アメリカは主治医との『対話』を重視します。病院に行くと必ず「最近の睡眠状態」「メンタルヘルス」「運動習慣」など、広範囲に渡った質問がびっしりと書かれた問診表に答えないといけません。それに基づいて主治医と多くの時間を割いて話し合います。本当にちょっとした事でも日頃気になる事があると伝えると、しっかり目を見て話を聞いてくれて、解決策を考えてくれます。特にアメリカでは肥満や糖尿病、心疾患、メンタル疾患の予防が最優先されるので、こういった病気に関する兆候が問診票から少しでも感じられると、とことん話を聞いてくれます。そしてさらに詳しい検査が必要となった場合は、紹介状を書いてもらって専門医を訪れるという仕組みになっています。

⚫︎ブラジル・サンパウロ在住  吉川 真由美さん

Q1  まず、ブラジルでは公的医療制度があり、充実しているとか?

A1  はい、ブラジルでは、政府機関がすべての国民に無料で利用できる、「SUS」という保健医療システムを提供していますが、このシステムでは、例えば、がんの治療などで使用するとても高い薬でも、医者の診断と処方があれば、SUSに申請すれば、無料で薬が提供されます。ただ、人口の少ない町でしたら、このシステムは問題なく 利用できますが、サンパウロ市のような1200万人以上の都市になると、診察の予約が殺到し、医者とのアポがなかなか 取れなかったりします。個人的な話になりますが、週一回うちに来てくれるお手伝いさんに聞いたところ診察を受けるのに、6か月後になると言っています。なので、サラリーマンや自営業で民間の医療保険を持っている人はそれを使用します。

Q2  ブラジルの健康診断は学校や会社が行うものでしょうか?

A2  学校では、生徒たちは、おもに体育の時間に健康診断を受けています。会社では、多くの会社が民間の医療保険を社員に与えていますが、これは義務ではないそうです。なので、会社によって、医療保険の一部の金額を社員の給料から引くこともあるそうです。あと、法律で会社側に義務付けられている、年に1回行う健康診断もありますが、これは主に視力と血圧をはかる検査になっています。これとは別に、会社によって、もう少し詳しい健康診断を社員に受けさせるところが多いです。その内容は会社によります。

Q3  健康診断の検査の内容はどうなっていますか?

A3  ふつうは、血液検査、尿検査、肺のレントゲン、視力などの検査を受けることになっています。中には、年に1回、詳しいcheck-upをすべての社員に受けさせる会社もあるそうです。また、最近、会社に義務付けられた検診はメンタルヘルスの検診です。これは、必ず受けるようにしなければなりません。

Q4  健康診断を受ける習慣、吉川さんの周りではどう感じていますか?

A4  私は持病がありますので、毎年、いろんな検査を受けていますが、年に一回の普通の検診のおかげで、22年間前、がんが見つかりました。初期の段階だったので大事に至りませんでしたが、 検診は受けるべきですね。でも、の頻度は人によると思います。2年おきに受けているという人もいます。