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1月24日は「ボーイスカウト創立記念日」。1908年の1月24日は、イギリスのロバート・ベーデン=パウエル卿がボーイスカウト運動を始めた日なんだそうです。また、その後、少し遅れてガールスカウトが誕生しています。

ボーイスカウト、ガールスカウトは野外活動などに取り組む青少年の教育活動で、イギリスから世界各国に広がりました。現在は、173の国と地域で、5700万人以上がスカウト活動をしているとか。

ちなみに、昨年のデータによると、日本のボーイスカウトの加盟員数は、およそ7万4400人、ガールスカウトが、およそ2万2000人です。

世界共通の理念と教育システムを持つボーイスカウト、ガールスカウトですが、それぞれの国での事情もあるでしょう。

今朝は「世界のボーイ&ガールスカウト事情」と題して、2つの国・街の番組通信員の方に、現地の事情を伺います。

⚫︎アメリカ・ニューヨーク在住 / 中村英雄さん

Q1 アメリカでは昔からボーイスカウト、ガールスカウトがさかんですよね?

A1  イギリス発祥の2年後の1910年にアメリカのボーイスカウト連盟(BSA)が発足しました。日本同様、少年の自立心や社会性、愛国心を養い、キャンプ等のサバイバル技術習得を通じて健やかな心身の成長をサポートする BSAの理念は発足当時から高く評価され、それゆえに戦前戦中戦後を通じて、毎年、加盟者数は増加傾向にありました。今日までに1億1000万人の少年がスカウトを経験したと言われています。最盛期の1973年には、全米で400万人以上のスカウトが活躍していたそうです。しかし、その年を境に、減少傾向に転じ、現在はおよそ120万人の加盟登録があるそうです。人気減少の原因は、スポーツやアート、音楽など学校外活動の選択肢が増えたことといわれていますね。

Q2 アメリカのボーイ(ガール)スカウトでは、キャンプやハイキング、アウトドア以外にはどのような活動をしているのでしょうか?

A2  コミュニティ活動にも積極的ですが、いずれも自然やアウトドアに関連したものが多いようです。例えば、登山道の整備、自然公園内の清掃、傷んだ環境の保護整備などです。ただ、僕は34年間NYに住んでいますが、日本でよく見るような、スカウトが街角で募金活動する姿は 一度も見かけたことがありません。

Q3  ただ、アメリカのボーイスカウトでは不祥事が大きな問題になっていますよね?

A3  そうですね。残念ながら、2010年以来、ボーイスカウト活動中の性的虐待やLGBTQへの差別行為、パワハラなどが次々に明るみに出て、アメリカでのボーイスカウトの信頼と名誉は急速に転落し、加盟者数激減の追い風になってしまいました。情報によると性被害の訴えを起こした男性は8万2千人にものぼり、団体に突きつけられた補償金額は24億ドル(3800億円ちかく)をこえるといわれています。

Q4  そういった経緯もあり、連盟の名称が変更されたそうですね?

A4  訴訟騒ぎのあおりでBSAは2020年に破産宣告を余儀なくされ、また2024年には名称変更を決定。2025年の2月からは「Scouting America」という団体名に変わりました。

Q5  これらの流れ、一般市民のみなさんはどう受け止めているのでしょう?

A5  スキャンダルは、とにかく、まずいです。特に未成年に対する性暴力、性行為強要は、昨今では決して許されない重犯罪とみられています。スカウトと関係ない一般市民もボーイスカウトへの関心や共感を失っているのが事実です。ポール・マッカートニーやスピルバーグ監督、ビル・ゲイツ氏やビル・クリントンなど誰もが知っている著名人の多くが参加し、彼らの人格形成に大きく貢献したボーイスカウトは、従来は、野外活動の理想とみなされていて、数々の小説、映画、ドラマの舞台を提供してきました。みんなが大好きなアメリカンライフの一部でした。 それが、いま、非難の嵐にさらされているのは事実です。それだけ米国民に愛されてきたスカウティング・アメリカですから、訴訟額の4倍、100億ドル以上の豊かな資産があります。115年に渡る敬意の蓄積。 それを解約してでも、いまは禊を尽くす時です。

⚫︎フィリピン・マニラ在住 / 澤田 公伸さん

Q1  フィリピンは近年、アジアで最もボーイスカウト会員数の増加が多い国だとか?

A1  1930年代に設立されたフィリピンのボーイスカウト連盟は 2023年時点で330万人を超える会員を擁し、最近でも年間70万人ペースで増えているという情報もあります。ガールスカウト連盟はボーイスカウト連盟より遅く設立され、会員数も80万人ほどだとされています。

Q2  フィリピンでボーイスカウトに参加する人が増えている背景は 何だと思われますか?

A2  まずフィリピンの人口(現在1億1000万人ほど)が増加していることが挙げられます。ちなみに現在の人口増加率が年0.85%ほどで今後15年間で1500万人近く人口が増えるとされており、若年層が顕著に増えています。あと、教育省が小学校や高校の教育プログラムの中にスカウト活動を積極的に取り入れていることが大きいと思います。学校に登校する生徒たちがよくスカウト活動のユニフォームを着て、登校している姿を見ることも多く、普段からカリキュラムの中に環境保護活動や災害時の支援活動としてスカウト活動も組み込まれているようです。

Q3  フィリピンのみなさんは、スカウト活動のどんなところに魅力を感じているのでしょうか?

A3  スカウト活動を通じて学校以外の友達や、海外の友達との交流が出来ることや、学校とは違う枠組みで団体活動を通じていろんな教育や表彰を受けたりできますし、地方や海外に旅行できたりすることに魅力を感じているようです。また、都会生活では味わえない自然に触れることができる場所によくキャンプに行っていますので、それも魅力ではないでしょうか。

Q4  キャンプやハイキング、アウトドアといったスカウトのオーソドックス活動以外に、フィリピンならではの活動などもあるのでしょうか?

A4  はい、やはり台風や地震、火山の噴火など自然災害が多いフィリピンですので、そのような災害が起きた時の支援活動に大人のボランティアに混じってスカウトのメンバーの学生たちもよく参加しているようです。特に支援物資の仕分けなどの後方支援に参加しているようです。

Q5  ちなみに、フィリピンのボーイスカウトでは 不祥事などは起こっていないのでしょうか?

A5 フィリピンのスカウト連盟でアメリカのような大規模な性暴力事件は問題になっていないようですが、そのアメリカの問題の渦中にあったアメリカ人スカウトリーダーの一人がフィリピンに1988~1989年に 派遣されており、その際に複数のフィリピン人少年が性被害を受けたことが2019年のフィリピンメディアのニュースで 取り上げられていました。