
あす、11月29日は「いい肉の日」です。肉料理を提供する飲食店での割引や、ブランド肉をお得に購入できるキャンペーンなどがおこなわれます。
このコーナーでは、これまでも世界各地の「肉料理」についてお伝えしてきましたが、今回は、番組の独断で「豚肉」に絞りたいと思います。牛もいいんですが、豚もいいんですよね~。
ということで、この時間は「世界の豚肉料理事情」と題して、2つの国・街の番組通信員の方に、現地の状況を伺います。
⚫︎ブラジル・サンパウロ在住 吉川 真由美さん
Q1 豚肉の生産量が世界3位のブラジル、代表的な豚肉料理と言うと、何を思い浮かべますか?
A1 そうですね。豚肉と言えば、ブラジルでは外がカリカリ、中がジューシーな食感の豚スペアリブを揚げた料理です。こちらではcostelinha de porco (コステリーニャ・デ・ポルコ)と言います。それと、骨付きの豚ロースステーキです。家で豚肉料理を作って食べるときは、そのような食べ方をします。
Q2 ロース以外にも、ブラジルでは豚のいろいろな部位をいただくとか?
A2 はい、日本でも知られていると思いますが、煮込み料理のfeijoada(フェイジョアーダ)の中には豚の耳やテールなどが入っています。フェイジョアーダは昔、奴隷制度時代に、奴隷たちが食べていた料理なのです。豚肉のいいところは主人たちの家庭が食べており、残りの部位を、豆と一緒に煮たものを奴隷たちが食べていたそうです。それを食べてみた主人たちが「おいしい」と思い、フェイジョアーダが一般の人の料理として広まったそうです。
Q3 なんでも、豚肉をいただくイベントがあるんですって?
A3 地方の町では、豚の丸焼き祭りがあります。これは、クリスマスや大晦日の時の子豚の丸焼きとは違って、シュラスコのような焼き方をします。しかし、これはシュラスコとは言いません。イベント名はいろいろありますが、Festa do porco no rolete、Festival do porco no roleteとか言います。サンパウロ州のとなり、パラナ州の北部にある町で、毎年9月に行われるそうです。ちなみに、私は参加したことがありません!写真を見ていると、豚がかわいそうに思ってしまって...
Q4 写真を見ているのですが、まるまる焼かれてますね・・・では、最後にブラジルの豚肉トリビア、なにかありますか?
A4 日本では豚肉のひき肉を売っていると思いますが、ブラジルでは、ひき肉では牛肉しか売っていませんので、一から餃子などを作るときは、特別に豚肉を肉屋さんに挽いてもらわなくてはいけません。なので、餃子は出来上がったものを買って、フライパンで焼いています。
● 中国・北京在住のライター、 斎藤 淳子さん
日中関係が心配な昨今ですが、文化的交流は引き続き・・・ということで、お肉の話題です。
Q1 中華料理では豚肉を使った料理が数えきれないほどありますが、中国の方々にとって、メジャーな豚肉料理というと何になりますか?
A1 それはもちろん、 紅焼肉=ホンシャオ ロウ(豚の醤油煮込み)です。これは、醤油と砂糖で赤く煮込んだ肉バラ料理の総称で、一番有名な中国の家庭料理といえば紅焼肉・ホンシャオローです。また、中国国内でももう少し洗練されたバージョンに東坡肉=トンポーローがあります。北宋の詩人・蘇東坡/スー・トンポー(蘇軾/スー・シ)が好きだったとか考案したとか言われる料理で、同じ豚の煮込みなのですがこちらは貴公子版です。 いずれの料理も、ほろほろの肉はもちろん、 赤っぽく透明なゼラチン状の皮がこれまた美味です。
Q2. 例えば、外食でしか食べない豚肉料理というと?
A2 外でしか食べられない豚料理といえば、広東料理の子豚の丸焼きですね。これも北京ダックと同じくハイライトはガリっとするくらい厚く香ばしく焼き上げた皮です。もちろん、お肉もジューシーで美味しいです。
Q3 ほかに、変わった豚肉料理、なにかありますか?
A3 私も最近知ったのは中国にもあった生ハム。(雲南(宣威)ハム)はまるでパルマの生ハム。(浙江省の金華ハムも有名で同様にトップクラスは生食可能) 2年以上かけて作り、周りは硬い白カビのようなものに覆われているのですが、 中を切ると透明感のある赤みのあるしっとりとした肉で塩辛く、酒のつまみに最高です。ただ、もともと、現地の人は生ではなく炒め物にしたり、スープに入れたり、蒸して食べてきたようです。(高級品の2年以上の熟成発酵ものだと中まで殺菌されて生食もOK)
また、東北地方には「殺豚菜(シャージューツァイ)」という庶民的な雑多煮料理があります。もともとは豚を絞める時に手伝ってくれた人たちにお礼に振る舞った料理で、の内臓や頭部、血のソーセージ、最近はバラ肉なども入れたワイルドな料理です。 酸っぱくなった白菜の古漬けを入れることもあります。 にんにくのみじん切りたっぷりの醤油だれをつけて頂きます。
Q4 最後に、 中国の「豚肉トリビア」、なにかありますか?
A4 中国の豚肉屋さんはレンガ大の大きなお肉がデンデンデンと 店先に並んでいて、日本のような薄切り肉は売っていないです。 量り売りの単位は一斤=500グラム。 少なめに買ってもその半分で、みなさん、たっぷり、がっつり豚肉を食べていらっしゃいます。