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10月17日は「カラオケ文化の日」です。

1994年のきょう、「一般社団法人 全国カラオケ事業者協会」が設立されたことにちなんで制定された記念日です。カラオケといえば、大人数で盛り上がるスタイルから、最近では「ひとりカラオケ」を楽しめるお店もあったり、楽しみ方は多岐にわたっていますよね。

さて、日本発祥で世界に広がっていった「カラオケ」、海外ではどう親しまれているのでしょうか?この時間は、「世界のカラオケ事情」と題して、2つの国の番組通信員の方に、現地の事情をうかがいます。

⚫︎イギリス・ロンドン在住 / 内山 昇さん

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Q1  まずは、イギリスのカラオケ文化について教えていただけますか?

A1  以前はアジアの娯楽という印象が強かったカラオケですが、 1990年代以降、イギリスでもパブやホームパーティーで カラオケが社交の場として定着、音楽を通じて人とつながる 手段として、じわじわ人気が広がっています。たとえば、パブの「カラオケナイト」はクイズナイトと並ぶ定番イベントで、 地元の人々が集まり、自由に参加できるオープンなスタイルで、歌の上手さよりも、 みんなで盛り上がる一体感が大切にされています。また2000年以降は、「X ファクター」などのオーディション番組や「Glee」などのTV番組のヒットもカラオケ人気を後押ししたと言われています。

Q2 ちなみに、イギリスではカラオケはどう呼びますか?

A2  カリオキー(carry-oh-key)のように呼んでいます。

Q3 パブ以外では、どんな場面でカラオケが楽しまれているのでしょうか?

A3 日本のように「二次会でカラオケへ」という習慣はあまり見られませんが、 ユニークなイベントもあります。たとえばロンドン・カムデンの ライブハウス「Electric Ballroom」では、「Massaoke(マサオケ)」というイベントが定期的に開催されています。これは「Mass(群衆)」+「Karaoke(カラオケ)」の造語で、1,500人規模の観客が一斉にヒット曲を大合唱する、ライブとクラブが融合したような 全員参加型の熱狂的カラオケイベントです。

Q4  そのイベントでは、どんな曲が歌われているのでしょうか?

A4  定番はQueenの「Bohemian Rhapsody」。 それにOasisの「Wonderwall」やSpice Girlsのヒット曲も根強い人気があります。誰もが口ずさめる名曲なので、会場が一体となって盛り上がるんです。もちろん、歌唱力に自信のある人はEd SheeranやAdeleなど、難易度の高い曲にも挑戦しています。

Q5  さきほど「二次会でカラオケへ、という習慣はない」とおっしゃっていましたが、日本のような個室スタイルの「カラオケボックス」は、イギリスにもあるのでしょうか?

A5 あることにはありますが、決して多くはないです。ただ、SpotifyやAmazonなどでカラオケ音源が充実していて、自宅のテレビに接続して個人や家族で楽しむスタイルが広がっているようです

●香港在住 / ラム 恵子さん

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Q1 香港でも昔からカラオケは人気ですよね?

A1 ここ香港では、昔からカラオケが若者から大人まで幅広く親しまれています。香港のカラオケ文化は、日本のカラオケボックスが上陸した1980年頃から急速に発展して、以降広く普及しました。香港では、もともと「露天カラオケ」と呼ぶ、道端の露店で勝手にカラオケ機材を持ち込んで大音量で人前で歌う「露天カラオケショー」のようなものが見られ、誰でもが自由に参加できる庶民的な娯楽として親しまれていたんです。

Q2 露天カラオケ!すごい文化ですね!現在、香港のみなさんがカラオケを楽しむ場所はどういうところでしょうか?

A2 代表的なのは「カラオケボックス」型店舗で、日本のスタイルとほぼ同じ個室型施設です。また、カラオケバーやパブのスタイルも普通で、パブ風の広い店内で飲食しながらグループで歌うタイプも人気です。

Q3世代によると思いますが、香港のカラオケでよく歌われる曲は?

A3 カラオケで歌われる曲は世代によって異なりますが、カントポップ(広東語のポップス)が定番です。近年のヒット曲としては、今年一番の流行曲に「說謊者(うそつき)」(MC張)や「無糖可樂(ダイエットコーラ)」(泳兒)、「逆行」(謝ニコラス)などがコアな定番となっています。

Q4 香港では、日本の曲も人気なんですって??

A4 若い世代には、米津玄師の「レモン」や優里の「ドライフラワー」など、40代は、ドリカムの「未来予想図Ⅱ」、50~60代は、徳永英明「壊れかけのRadio」や薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」など長年愛されるJ-POPもよく歌います。昭和の歌謡曲で谷村新司の「すばる」は広東語でのカバー曲も有り根強い人気曲です。

Q5 ところで、香港の会社が運営する、アプリの「投げ銭」システムを使ったカラオケが人気だとか?

A5 急速に拡大しています。カラオケステージ&バー「VSINGブイシング」は、個室型のカラオケとは異なり、不特定多数が参加できるオープンな空間です。店内で目を引くのは、大型LEDと照明演出を備えたステージで、ライブ会場のような雰囲気を演出しています。最大の特徴は、専用アプリを用いた独自の応援システムです。聴き手は、気に入った歌い手にアプリ上から「Cheer(チアー)」というギフトを送り、応援の気持ちを表現できるようになっています。チアーが送られると、その金額がスクリーンに反映され、パフォーマンスを盛り上げます。このシステムは、オンライン配信のいわゆる投げ銭文化をリアルのカラオケに持ち込んだもので、若者やアーティスト志望者にも新しいエンタメ体験として人気を集めています。