おととい、8月20日は「蚊の日」でした。1897年のこの日、イギリスの細菌学者ロナルド・ロスが、蚊の胃の中からマラリアの原虫を発見したことにちなんで制定された、国際的な記念日です。
日本では、蚊の対策として、虫よけスプレーや蚊取り線香、電池式殺虫剤など、さまざまな対策グッズが売られていますが、蚊が媒介する感染症が心配される海外では、どのような虫よけ対策が行われているのでしょうか?
この時間は「世界の虫よけ事情」と題して、番組通信員の方にお話を伺います。
⚫︎アメリカ・フロリダ州在住 / 安蒜 祐太さん
Q1 アメリカの中でもフロリダは蚊が多い土地柄なんですよね?
A1 フロリダは年間を通して温暖で湿度が高く、 湿地帯や水辺が多いので蚊が繁殖しやすい環境と言えます。
Q2 そちらでは蚊が媒介する、どんな感染症に注意が呼びかけられていますか?
A2 デング熱、ジカウイルス、西ナイル熱、マラリアなどへの感染に注意喚起がされています。
Q3 では、フロリダ州では、どのような対策がおこなわれていますか?
A4 フロリダ州では、予防と駆除を重視した多角的なアプローチを採用していまして、清潔な住環境の維持、侵入経路の封鎖、水たまりの除去、虫除け剤の使用が含まれます。私の住んでいるアパートでも月に1回くらいの頻度で業者が来て虫除け剤の散布を行っています。また、町周辺の遊歩道に面した森林には黒いボール状の物体が ぶら下がっていますが、強力な粘着性物質でコーティングされておりハエ取り、蚊取りとして活用されています。
Q4 個人レベルでの虫よけ対策のグッズとしては、どのようなものが多く出回っていますか?
A4 虫除けスプレーが多く出回っています。環境や肌にも優しく子供に対しても安全な自然由来の製品が人気です。そのほかの日本で使われる電池式の殺虫剤や蚊取り線香などはほとんど見かけません。
Q5 では、皆さんスプレー以外ではどういう対策をされているのでしょう?
A5 個人レベルでの対応というと、タイヤ、植木鉢、詰まった雨どいなど、水溜まりを取り除く、プールの適切な塩素消毒、特に活動が活発になる夕方は長袖・長ズボンで肌の露出を減らす、などでしょうか。
Q6 そのほか、虫よけについて、フロリダならではの事情、慣習などありますか?
A6 蚊ではないんですが、 春と9月頃の年に2回、ラブバグシーズンというものがあります。ラブバグとはその名の通りオスとメスが対になりながら飛行する特徴的な虫で、この2つの時期に大量発生するのがフロリダではお馴染みの光景になります。車を運転しているとフロントガラスやボディにどんどんぶつかってきて白い体液だらけになります。この汚れが厄介でなかなか落ちず、放置していると酸化してボディの塗装が剥がれてきてしまうので、専用のワックスでコーティングして対策をする車が多いです。
⚫︎ケニア・ナイロビ在住 / 永松 真紀さん
Q1 まず、ケニアでは蚊が媒介する、どんな感染症に注意が呼びかけられていますか?
A1 近年デング熱もちらほら聞きますが、やはりマラリアが一番一般的で、マラリアにかかったことのないケニア人はいないのでは?と思うほどです。標高の高い内陸ではマラリアの危険性は高くないですが、海岸地方や標高の低い地域はめちゃくちゃ一般的です。
Q2 ケニアの虫よけ、というと、まずどんな対策が思い浮かびますか?
A3 ケニア人は蚊帳で対応するケースが多いです。主に夕方から危険度が高まるので、寝る時の蚊帳はホテルでも一般住居でも当たり前。
Q3 虫よけ対策のグッズなども売られているのでしょうか?
A3 殺虫剤は普通にあります。体に塗るタイプやスプレータイプの虫除けもありますが、一般のケニア人はあまり使っていないと思います。ケニア製の蚊取り線香も売っています。しかし、いずれも毎日使うと経済的にも大変なので(日本のように夏場だけではないので)庶民にとっては、いちいちそんなところに金を使えません。ですので、やはり長く使える蚊帳が良いです。特にマラリアの多い地域では、殺虫剤が練り込まれた蚊帳などいろんな団体が配布することもあるようです。
Q5 以前日本から大量の蚊帳が送られたそうですが、現地のみなさんにはご記憶ありましょうか?
A5 周辺の人に聞きましたが、知ってる人、知らない人半々くらいでした。でも、それがはっきり日本からのものとか認識してるかどうか不明でした(笑)
Q6 そのほか、虫よけについて、ケニアならではの事情、慣習などあれば・・・
A6 地域によっては薬効のある異なる植物(ハーブ的な)があるので、それを炊く田舎もあります。さすがに都会のマンションではそれは無いですが。あと、マサイ族(私の夫はマサイ族)は常に家の中で薪を燃やして煮炊きするので煙充満です。それで家の中には蚊は寄って来ません。