7月25日は「最高気温記念日」です。昭和8年=1933年のきょう、山形市で日本初の40℃超えとなる「40.8℃」が観測されたことをきっかけに制定された記念日です。

しかし、その記録は、近年、何度か塗り替えられ、現在、日本の歴代最高気温は、静岡県の浜松市と埼玉県の熊谷市、いずれも「41.1℃」で同率1位となっています。

都内は連日、最高気温35℃前後の日が続いていますが、熱中症対策、万全でしょうか?屋外での日よけ、水分補給はもちろん、室内でエアコン/クーラーを使用するなど、十分注意してくださいね。

20250725c02.jpg

さて、気候変動による気温上昇は世界的な課題となっていますが、海外では、どんな暑さ対策がなされているのでしょうか。

この時間は「世界の暑さ対策事情」と題して、2つの国、2つの街の番組通信員の方に伺います。

⚫︎イギリス・ロンドン在住 / 内山 昇さん

20250725c03.jpg

Q1  夏でも比較的涼しく、過ごしやすいイメージのロンドンですが、最近は熱波の影響もあって猛暑の日も増えているとか?

A1  かつては一番暑い7月でも日中の最高気温は24℃前後で30℃を超える日自体が珍しかったロンドンですが、 2022年7月に観測史上最高の40.2℃を記録しました。近年では毎年のように猛暑日が発生しています。先週も気温が30℃近くまで上がり、冷房のない地下鉄やバスでは 空気がよどみ、かなり不快でした。

Q2  ロンドンの地下鉄やバスには冷房がない、とのことですが、住宅やオフィス、公共施設の冷房設備の状況はどうですか?

A2  最近では、オフィスや公共施設の多くで全館空調が整備されつつありますが、学校などでは冷房が設置されているケースはまだ少数派です。また、イギリスの住宅は長い冬を想定して設計されており、暖房は必須ですが、冷房(エアコン)の普及率は5%未満と非常に低いです。日本やアメリカでは90%以上の普及率ですので、大きな差があります。ちなみに、在宅勤務やハイブリッド勤務が普及しているイギリスでは、自宅にエアコンがないため、涼しいオフィスを求めて出社する人が増え、夏季は平均出社日数が、週に(3.5日)がやや増加する傾向にあるそうです。

Q3  近年の気温上昇を受けて、対策は進んでいるのでしょうか?

A3  毎年のように暑くなることから、自宅にエアコンを導入しようと考える人も増えてきました。ただ、夏が短いイギリスでは「数日間我慢すればいい」と考える人がまだ多数派のようです。 一方で、ロンドンの地下鉄は150年以上前に建設された古いインフラのため、物理的にエアコンの設置が難しいところが多く、そのため、ロンドン交通局は熱中症予防のために「水のボトルを持って移動してください」 と乗客に呼びかけています。

Q4  日本では夏の必需品となっているハンディファンはイギリスでも売られていますか?

A4  はい、イギリスでも「Handheld Fan(携帯扇風機)」と呼ばれるバッテリー式の扇風機が人気を集め、ファッションアイテムとしても注目されています。

Q5  そのほか、イギリスの暑さ対策に関しての話題、ありますか?

A5  その他の暑さ対策としては、冷房のない学校では 「今週は制服ではなくTシャツや運動着で登校するように」といった指示が出ることもあります。オフィスではコロナ以降、服装の自由度が高まりましたが、暑い日にビーチサンダルで出勤しようとする人もいて、それはさすがにNGという職場も多いです。今年は「男性のショートパンツをオフィスで認めるかどうか」がメディアでも話題になっていました。こうした議論がされるのも、イギリスらしいですね(笑)。ちなみに、郵便配達員の方は、短パンの方を多く見かけます。しかし、警察官は、暑くても帽子をかぶっているくらいですから、生足を出すことは職業柄(権威としてのイメージ)的にないと思います

⚫︎インド・ムンバイ在住、「ハリーさん」こと、小里 博栄さん

20250725c04.jpg

Q1 ムンバイやデリーの夏、おおよそどのくらいの気温なのでしょうか?

A1 僕がベースを置くムンバイは海沿いなので比較的気温は低めですが40度以上は普通にあります。デリーで車に乗ると40度後半の数値が見受けられます。外に出たらオーブンに入ったような感じです。

Q2 インド国内では、冷房はどのくらい普及しているのでしょうか?

A2 昨今では扇風機が夏に800万台売れ、天井扇風機は年間4500万台売れています。また、インドのエアコン市場、2024には1194万台と、日本を上回り、中国に次ぐ世界第2位となりました。とはいえ、インドの一般家庭のエアコン普及率は7%程度でまだまだ。家に居ても熱中症になるのは十分あり得るので早急に家庭のエアコン普及率を上げる対策が必要かもですが、現実的には扇風機からなんでしょうね、多くのインドの庶民の現状を考えると。

Q3昨年、熱波の影響で50度を超えた日があったんですって?

A3 昨年5月、首都デリーで最高気温記録が更新されなんと52.9度!!!恐ろしい数字です!!!17の州で733名の方がお亡くなりになったとの報告がありますし、なんと2万5000人以上が熱中症。暑いというか、なんかおかしくなる感覚でしたよ昨年は。

Q4こういった著しい気温上昇に対して、インド国内ではどういった対策がなされているのでしょうか?

A4 各州がHeat Action Planと呼ばれる「熱中症対策行動計画」を設定し、中央政府も危険を呼びかけています。とにかく水を多く飲み、外に出ない、などがあります。

Q5ちなみに、お巡りさんや郵便配達員など、屋外で仕事をする方たちの服装は半そで半ズボンになったりしますか?

A5 長ズボンと長袖のままです。

Q6 日本では近年、ハンディファンや冷感グッズなど、手軽に涼をとれるグッズが流行していますが、インドにも、そういった暑さ対策グッズってあるのでしょうか?

A6 インドでもハンディファンは売れています。昨年だけで30億円ほど売れたとかで年間12%拡大してる市場とか。日本の平均単価千円で考えてみても軽く300万個以上売れたことになります。