6月25日は「指定自動車教習所の日」でした。1960年=昭和35年のこの日、道路交通法改正法が施行され、公安委員会が指定した自動車教習所を卒業すると運転免許取得時の技能試験が免除される制度が定められたことにちなんで、「全日本指定自動車教習所協会連合会」が制定した記念日です。
自動車教習所ではまず、学科教習や技能教習で運転に必要な知識や基本操作を学びます。その後、仮免許を取得し路上教習などを経て卒業検定に合格し、学科試験を運転免許試験場で合格すれば試験場での実技の試験なく、免許を取得できます。
このような教習所のシステム、海外では違うのでしょうか?そこで、この時間は「運転免許取得事情」と題して、2つの国・街の番組通信員の方にお話を伺います。
⚫︎イタリア・ミラノ在住 / 田中 美貴さん
Q1 人口あたりの免許保有数が世界でもトップクラスというイタリア、運転免許取得のハードルはスバリ低いのでしょうか?
A1 日本と同様、学科と実技の試験があり、学科はマークシート方式ですが、30問中4問間違えると不合格で、実技も3回落ちたら、 また学科試験から始めなければならないので、そこそこ厳しいようです。でも、周りで試験に落ちた話を聞いたこともあまりないので、ハードルは低いのかもしれません・・・。
Q2 イタリアの自動車教習所でも日本と同じような流れでしょうか?
A2 イタリアでは学科の試験に受かると仮免(「ピンクのシート」と呼ばれる書類)を貰い、それがあると実技の練習ができます。初心者マークのような感じで「P」という文字を貼り、10年以上の運転経験のある人が同乗して、公道で練習します。つまりは学科試験さえ通れば、一定の条件で運転できるということになります。ちなみに「P」マークは本免許をとったら外しますが、街には結構「P」マーク車を見るので、つまりは本免許がない人が 沢山走っていると言う事ですね。
Q3 学科試験のあとすぐ仮免ということは、イタリアの教習所には、運転の練習ができる"所内コース"がないんですね?
A3 教習所は規模が小さいところが多く、数台の車でやっている学校も多いです。ですので、おっしゃる通り、実技も練習場があってまずそこで練習、 という感じではないので、仮免をとったら、駐車場などで家族や友達に 教えてもらってから、いきなり路上で練習するのが一般的なようです。 S字カーブなどの細かい練習も実地で習っていくのだろうと思います・・・。 その分、体と感覚で覚えていくので、イタリア人は運転(および駐車)がうまいのかもしれません。
Q4 日本だと免許取得までおおよそ2~3か月、かかる費用がだいたい30~40万円というところですが、イタリアではどうでしょうか?
A4 実技練習は最低6時間必要ですが、それ以上は何時間練習するかは、自分で決めるので、それによって値段が変わります。最低のラインで全部のレッスンをやった場合、教習所でかかるお金が申し込み200+学科500+実技レッスン6回300=1000€(日本円で17万)程度でしょうか。それに健康診断や印紙等、諸費がかかるのでそれを含めると1200€ぐらい(20万ちょっと)~という感じかと思います。
Q5 イタリアの運転免許の種類(区分)はどのくらいあるのでしょうか?
A5 メインはAM、A,B,C,D,Eの6つで、AMが小型二輪、Aが二輪、Bが普通免許、Cが大型車両、Dが大型乗り合い車両、Eがトレーラーや貨車。その他特殊車両の免許もあります。また、イタリアではタクシーやバスなどの運転に必要な日本の二種免許のようなものはありませんが、職種によって資格や特別な免許が必要な場合もあります。例えばタクシーの運転には、普通免許に加え、交通局の試験を受けて資格を取る必要があります。
Q6 免許証の有効期限、日本は優良運転者5年、一般運転者が5年か3年、初回更新者、違反運転者が3年などですが、イタリアはどうなっていますか?
A6 普通免許の有効期限が10年で、50歳から70歳までは5年ごとに、71歳以上は3年ごとの更新です。優良運転者等の区分はありません。
⚫︎中国・北京在住のライター、斎藤 淳子さん

Q1 中国では自動車の免許を取る人が急増しているとか?
A1 中国も過去20年で急速に自動車社会になり、例えば、北京市の全車両保有数は760万台で東京(約380万台)の2倍まで増えています。特に2000年台には10年で3倍に激増しました。ですから、自分で運転するのに使う人が増えたのと、もう一つは仕事のために基本技能として取得したいとする人も増えているのだと思います。現在は失業者が急増していますから、中国版Uberのギグワーカーとして(車両は無くてもレンタルで借り請けて)運転手業をする人も急増しています。そう言う意味でも最低限食べていくための技能と認識されて、取得者も増えているのかもしれません。
Q2 では、自動車教習所のシステムで、日本との違いはありますか?
A2 基本的には教習所で学科と技能の授業を受けて勉強するので、その点は同じですが、中国には仮免許は有りません。まず、学科の授業を受けて、テストに合格したら技能の授業とテストに進み、最後にまた別の筆記テストに合格すると免許を取得できます。ちなみに、中国にも所内コースはあります。
Q3 免許を取得するための費用や期間、中国ではどうでしょうか?
A3 時間は最短で35日位、一般的には2ヶ月~6ヶ月かかります。ただ、お金を多く払えば短くできるように設定している教習所もあります。(我が家の近くの教習所の例ですが、価格は学生コース約8万円の4倍以上の「享受コース」は33万円というのがありました。時間については不明ですが、優先的に詰めて授業やテストが受けられるものと思われます)
Q4 中国の運転免許の種類(区分)はどのくらいあるのでしょうか?
A4 中国の種類は日本より細かくて16種類あります。もともと、農業社会だったことや農村社会と都市部社会が隔たれている状況を反映して、「(農用)低速貨物車」=農耕車の免許(時速70キロ以下で公道移動可能)があります。(中国の農民にとって、以前は一般車は高嶺の花でしたが、作業用に必要だったため、単独で免許を設定したのでしょう)あと、22年にキャンピングカーなどの軽トレーラー専用の免許もできました。タクシーやバスは、こちらは運転免許としてではなくて、別途営業免許が設けられています。管轄も運転は警察ですが、タクシー運営は運輸省になります。
Q5 免許証の有効期限はどうなっていますか?
A5 中国は最初が6年で、1回目の書き換えで10年有効、2回目の書き換えから無期限となっています。60歳以上は毎年健康診断の提出が義務付けられています。書き換えの際には大きな違反がないことが条件になりますが、日本の「優良運転者」というコンセプトは有りません。
JK 無期限ってすごいですね!・・・(など受けて)