今週月曜、農林水産省は、全国のスーパーで5月26日~6月1日に販売されたコメ5キロ当たりの平均価格が、前の週より37円安い「4223円」だったと発表しました。

2週連続での下落、また、下げ幅も拡大しましたが、前の年の同じ時期にくらべ、依然として2倍ほどの水準が続いています。政府備蓄米の放出によって、今後、さらにお米の価格は下がっていくのでしょうか?

令和の米騒動はまだまだ続きそうですね・・・。ところで、海外では、いま、お米ってどのくらいの値段なんでしょうか?ご当地のお米料理も気になります・・・。そこで、この時間は「世界のお米料理事情」と題して、2つの国・街の番組通信員の方にお話をうかがいます。

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⚫︎一人一日あたりの消費量がヨーロッパで1位というポルトガルです。リスボン在住 / 原 悠子さん、よろしくお願いします。

Q1  ポルトガルのみなさん、お米をたくさん食べている実感ありますか?

A1 たくさん食べているというよりは、食べたければいつでもあるという感じでしょうか。 例えば今はイワシの季節で、イワシの焼き魚定食が人気なのですが(sardinha assada)、これは、普通一皿にイワシ、ゆでたポテト、サラダが乗ってきます。お好みでサラダやポテトをご飯と替えることも、ご飯を追加することも可能です。もちろんご飯が最初からついてくる定食もありますが、こういう感じで、ご飯が入っていない定食でも、サラダやポテトをご飯に変えられるので、絶対にご飯を食べるというわけではなくてご飯も食べられるという感じです。

Q2  ポルトガルでは国産米が充実しているのでしょうか?

A2  お米の年間生産量は白米にして11万トン、これは消費量の55%です。足りない分は主にギアナ、スペイン、ウルグアイから輸入されています。

Q3  現在、一般的なお米の価格、だいたいどのくらいでしょうか?

A3  スーパーでは普通はパックの1キロ売りで、ほかのサイズはほぼありません。色々な種類がありますが、値段は大体1~2ユーロ、 高くても2ユーロ台前半、日本円にして200円から400円です。

Q4 メジャーなお米料理といえば、どんな料理でしょうか?

A4 一番一般的なのは海鮮おじや(arroz de marisco)です。 エビ、アサリ、ムール貝などの魚介類をトマト味で煮込んだおじやで、ニンニクやコリアンダーが効いているし、だしも出ていてとてもおいしいです。おじやには色々なバージョンがあって、例えばタコおじや、あんこうおじやなどもあります。あとは炊き込みご飯です。ポピュラーなのは、鴨の炊き込みご飯(arroz de pato)で、上にソーセージが乗っているのが特徴です。中には細かく裂いた鴨肉がたくさん入っていて、ご飯に味が染みています。海鮮おじや(arroz de marisco) 鴨の炊き込みご飯(arroz de pato)

Q5 ほかに、変わったお米料理はありますか?

A5  ポルトガルではお米を使ったデザートがあって(arroz doce)、お米をミルク、バニラ、砂糖で煮たもので、 最後にシナモンをかけていただきます。

Q6 そのほか、ポルトガルのお米(料理)事情、なにかありますか?

A6 こちらではお米を炊くのに普通は炊飯器は使いません。あと、お米は研いでも研がなくてもOK。水の割合は米に対して2倍。沸騰したお湯にお米と塩を入れて、10分ほど待ちます。火を止めてさらに3分待ったら出来上がりです。

⚫︎お米の生産量·消費量ともに世界5位というベトナムです。ホーチミン在住 / 迫田 陽子さん

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Q1 ベトナムでは、たくさんお米を消費している実感はありますか?

A1 実感ありありです。ベトナム料理といえば、日本の皆さんが思い描く麺料理のフォーも米粉が原料。春巻きの皮も同様です。そして、意外?にもバインミー、バゲットサンドのパンにも米粉をブレンドしてパリパリ感を加えているものがあります。それ以外にも、お米そのものの食べ方にもバリエーションがあって、枚挙にいとまがありません。

Q2 ベトナムの国産米は充実しているのでしょうか?

A2 充実していますね。銘柄も多数ありますし、量り売りでの専門店もあちこち見かけます。 アジアのお米といえば、長細い、インディカ米やジャスミンライスをイメージするかもしれませんね。日本のお米に食感や水分量が近いものもありますよ。ちなみに私が日々、土鍋で炊いて食べているのはベトナム産のRA1 という銘柄で コシヒカリをお母さんにもつ、品種改良をかさねたジャポニカ米です。日本の新米とはいきませんが、わたしはじゅうぶん美味しく頂いています。

Q3 現在、ベトナムのお米の値段はだいたいどのくらいでしょうか?

A3 スーパーなどでは2キロ、5キロが一般的で、2キロだと4万ドン(日本円でおよそ300円)前後から、5キロだと10万ドン(およそ600円)前後です。

Q4 ごはんもので、ベトナムでメジャーなお米料理というと?

A4 Com tay cam (コムタイカム)、土鍋の炊き込みごはんは家庭やレストランでも具材や味わいもさまざまで興味深いです。私が好きなのは鶏肉・たけのこ・椎茸をつかって、生姜と風味付けのレモングラスをいっしょに炊き込んだ一品。一見しょうゆベースで和風かと思いきや、レモングラスのさわやかさがベストマッチです。おかずとも一緒に食べます。おやつや軽食として楽しまれているものに「Banh Trang Tron」(バイン・チャン・チョン)というのがあります。ライスペーパーを細い短冊状に切って、ヌックマムベースの甘辛いソースとすだちを絞ったものに和えます。干しエビや砕いたピーナッツも加えると風味がアップ。しんなりとしたライスペーパーに、あまからじょっぱさに、すっぱさが絡んで、これぞ東南アジアという味わい。子どもたちが学校帰りにつまみながら歩いている風景もめずらしくありません。お腹が空いてきました(笑)あまり、ベトナムではお米は締め、とい感じではなく主菜と一緒にたべるもの、主役といってもいいでしょう。鍋を食べるときには米は登場せず、米粉のビーフン(Bun、ブン)を一緒に食べます。強いて言えば、これが締めの位置付けですね。

Q5 最後に、ベトナムのお米事情について、お話ししたいことは?

A5 ベトナム南部ではかつて、ベトナム戦争後の食糧不足もあり、気候に恵まれた土地では多毛作が行われていたそうです。それが品質の低下を招いたこともあり、近年では計画的な米作りが行われ、国際競争力のある安定した品質の米の供給につながっているとのこと。日本の米不足の状況をうけて、ベトナム産米も日本に輸出されているようです。機会があれば、どうぞ食べ比べてみてください。銘柄を調べて、ジャポニカ米由来のものであれば、みなさんのお口に合うのではないかと思います。