
あす、5月10日ですが、こんな記念日があるのをご存知でしょうか?「街区表示板の日」。
街区表示板とは、所在地の住所を表示した細長い板のことです。昭和37年=1962年5月10日に施行された「住居表示に関する法律」に基づき、町をわかりやすくしたり、郵便物を配達しやすくしたりすることを目的に設置されました。この街区表示板、まちなかの電柱や建物の壁、塀などに設置されていて、色は紺や深い緑など、自治体によってさまざまですが、ルールでは、「歩行者から見やすいところに設けるもの」となっているんですね。
ところでこのような住所表示、海外ではどうなっているのでしょう?交差点での表示は、いろいろあるようですが・・・ということで、この時間は「現在地の案内事情」と題して、2つの国・街の番組通信員の方にお話を伺います。
⚫︎アメリカ・ニューヨーク在住 / 中村英雄さん
Q1 アメリカに日本の「街区表示板」のような一定の区画を案内する表示版のようなものはあるのでしょうか?
A1 ないですね。ニューヨークを含め米国では、通りの名前の表示板はありますが、それより細かい番地表示はありません。ご存知のように、欧米の都市の作りは、ローマ帝国の時代から「はじめに道路ありき」です。道路は、周到な計画に従って開発・建設されるものであって、みだりに作ったり壊したり、曲げたり伸ばしたりしてはいけません。そして一旦作られた道路には名前ないしは番号が振られ、誰もが一義的に認識できるようになっています。
Q2 通りの名前の表示板はどのような場所に設置されていますか?
A2 マンハッタンだと、東西に走る通り(ストリート)と、南北の通り(アベニュー)が作る4つ角に、緑地に白文字の道路表示板を直角に組んだものが設置されています。高さはおよそ2メートル。歩行者からも運転者からも見やすい位置です。さらに、同じく交差点では各道路信号の下に、表示板が下がっていて、これは僕がこちらに来てから(約25年前)に始まった比較的新しい表示です。表示板に書かれているのは基本的に通りの名前のみです。ストリート表示板自体は、1935年に全米でほぼ統一されたスタンダード・スタイルが制定されたそうで、ニューヨークのも、その時の道路交通標識条例に準じています。
Q3 通りの名前や番号で、特定の住所にたどりつくのは簡単ですか?
A3 特にマンハッタンのような東西南北に条理立った造りの街だと、住所の特定は非常に簡単です。たとえば145 West 45th Streetというビルが目的地だとします。NY在住の日本人では、Streetを丁目、145番地なんて表現する人もいます。南北のアベニューは最大15本あって、そのちょうど真ん中に位置する5番街を中心として、その西側にはWest, その東はEastと呼んでいて、West 45, East 45というようにストリートが東西に分かれています。そしてストリートの番地は五番街から離れるに従って数が増していきます。つまり145 West 45th Streetということは、「45丁目と5番街の交差点から西に向かって歩くと、145番地にあるビル」に辿り着くという具合です。
Q4 ストリートの表示板とは少し話題が変わりますが、最近、ニューヨークでは、地図が載った案内板が増えているとか?
A4 歩行者用の地図つき案内板は、最近増えてきました。ダウンタウンやミッドタウンの観光客の多いエリアには必ずあります。現在地を中心とした同心円つきの地図は、そのエリアのみの案内で余計な情報がのっていないため、町歩きの際に便利です。いまでは、ほとんどの人がスマートフォンなどで住所探しをしますが、その昔は、地下鉄の駅に設置された周辺マップが便利でした。今ではそちらは情報が古くて、全く頼りになりません。
⚫︎西アフリカの国「ナイジェリア」の最大都市ラゴス在住 / 青木 文さん
Q1 ナイジェリアには、日本の「街区表示板」のようなものはあるのでしょうか?
A1 ありません。
Q2 では、ラゴスの町にはどんな案内表示板があるのでしょうか?
A2 表示されていない道路もありますが、基本的に道路名が表記されたプレートがあります。道路表示方法は、場所によって異なりますが、私の住んでいる場所だとシンプルに「Agodogba Avenue」など道路名だけ表示されています。
Q3 案内版は通常、どういった場所に設置されていますか?
A3 道路と道路の交差する場所や、その道路の開始地点に設置されていることが多いと思います。ドライバーから見やすい場所に立っていたりはしないので、見逃したりすることもあります。
Q4 ラゴスのような都市部と違って郊外ではまた事情も違いますか?
A4 郊外も州によってことなりますが、細かい道路名は表示されてないことが多い印象です。
Q5 個々の建物(ビル・一軒家の個人宅)には住所表示はありますか?
A5 必ずはないですが、基本的に番地が日本と同様に各家の前に記載されています。表記の方法は決まっていないので、番地の数字の表示サイズやフォントは各家やビルによってことなります。日本は苗字も表示されていることが多いですが、ナイジェリアはそういった苗字の表示はないです。
Q6 現在はナビや地図アプリを使って特定の住所の場所を探せますが、それがない時代は何を頼りに目的地を探していたのでしょうか?
A6 近隣住民に聞くしかなかったのかなと思います。実際、現在も地図アプリを読むのが得意でない人や、ラゴスは道が入り組んでいてわかりにくいので、地図アプリが機能しないことも多いです。ナイジェリア、少なくともラゴスは日夜外に座っている人が多いので、道がわからない場合はそういった方に伺うと道を教えてくれたりします。あとは、依頼主に電話して道を聞くこともあります。