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きょう、4月25日は「ファーストペイデー・初任給の日」です。日本の多くの企業は毎月25日が給料日となっていますが、なかでも「4月」の25日は新入社員の多くが「初めての給料を受け取る日」、として記念日となっています。
昨今、深刻な人材不足や物価高を背景に、大手企業が軒並み「初任給」の引き上げを発表。額面の支給額30万円を超える企業が相次いでいるというニュースがありました。
ところで、その「お給料」ですが・・・海外ではどうやって支払われているのか、給料日はいつなのか?給与明細はどうなっているのか?いろいろと疑問が湧いてきました。
そこで、この時間は、「世界のお給料事情」と題して、2つの国の番組通信員の方に、お話を伺います。
⚫︎スウェーデン・ストックホルム在住 / 矢作 智恵子さん

Q1 日本では一般企業の給料日は月に1度、25日が一番多いそうですが、スウェーデンではどうですか?
A1 スウェーデンも一般的には25日となっており、公務員の場合は26日~30日に支給されるところもあるようです。(ちなみに、私は26日ですが、金曜日なのできょうがお給料日です。😊)
Q2 日本では2023年に電子マネーでの給与の支払いが解禁、導入企業が徐々に増えていますが、スウェーデンでは?
A2 スウェーデンはキャッシュレス先進国で、現金はほとんど使う機会がないほど進んでいますが、給与の支払いには使われてはいないです。通常は銀行口座を通じての振り込みがスタンダードになっています。
Q3 給与明細についてですが、日本では基本給に残業などの手当が付き、そこから保険や年金、住民税などが引かれて最終的な手取り金額が出ますが、スウェーデンの給与明細はどうなっていますか?
A3 総支給額(手当て込み、つまり残業代)から所得税が引かれ、手取り金額が表示されます。
Q4 かなりシンプルなようですが、社会保険の記載もあるのでしょうか?
A4 社会保険料(医療、介護、育児、失業保険)の明細は記載されていませんが、まとまった金額は書いてある場合が多いかと思います。日本と違い、スウェーデンでは社会保険料は企業が負担します。通常は給与の30%ほどになります。
Q5 スウェーデンの初任給ってどのくらいなのでしょうか??
A5 業種や地域によって差がありますが、日本円(額面)で35万円から45万円ぐらいでしょうか。スウェーデンは所得税率が高めなので、手取りはおよそ額面の70%前後ぐらいになります。
Q6 スウェーデンの新社会人は、初任給をどのように使っているのでしょうか?
A6 生活費の支払い、学生ローンの返済、貯蓄とか、友人や家族と交流したりすることに使っていると思います。ちなみに我が家の息子たちは初任給はレストランで食事を一緒にしました。
⚫︎アメリカ・シカゴ在住 / 川平謙慈さんです。(実弟です!)
Q1 アメリカの給料日ってどうなっていますか?
A1 従業員への支払いに関する法律は、アメリカの場合州レベルで設定されていて、半分以上の州で「最低月に2回」の支払いを義務付けています。この背景もあって、月に1度というは少ないのです。ほぼ4割の企業が「2週間に1度」の頻度で給与を支払っています。次に多いのが「週に1度」で、3割弱の企業がこのパターンです。これは時間給とアルバイトの従業員の多い業界で一般的です。最後に、ほぼ2割の企業が「月2回」のパターンで給与を支払っています。
Q2 アメリカでは「デジタル給与」は普及しているのでしょうか?
A2 支払いのほとんどは銀行口座への振り込みで、電子マネーはあまり普及していません。日本に比べて、一般生活の中でのクレジットカードの使用が普及しているからかもしれません。電子マネーや給与の振込先として利用するプリペイドカード「ペイロールカード」が使われているのは、低賃金で時間給の職種に多く、銀行口座を持っていない低所得層の場合が多いようです。。
Q3 アメリカの「給与明細」ってどんな感じなのでしょうか?
A3 アメリカでは、連邦法である公正労働基準法で定められた職種の分類に、残業代がつく「Non-Exempt」という区分と、つかない「Exempt」という区分があります。Exemptというのは「免除」あるいは「除外」という意味で、雇用者が残業代を支払う義務から除外された職種の意味です。ホワイトカラーのほとんどがこの分類に入ります。残業代とか深夜勤務手当といった、勤務時間に関係する以外の手当はほとんどありません。日本の場合にある役職手当や配偶者手当の様なものは無いので、給与明細書の項目はシンプルです。総支給額と、それから引かれる保険掛け金の個人負担分、確定拠出型年金への拠出金、社会保険料、連邦政府と州の所得税等です。
Q4 大卒初任給って、職種や業界で全く違うと思いますが、たとえば、どのくらい幅があるのでしょうか?
A4 ホワイトカラーの場合、アメリカでは給与や報酬を語る時の単位は月収ではなく「年収」となりますが、かなり幅があります。もっとも高いのは工学系で、コンピューターサイエンス、ソフトウェア開発、データサイエンスですと、基本給で7万から8万ドルもらえる可能性があります。(日本円でおよそ990万円~1133万円)職種だけでなく、企業の規模や場所によっても当然幅が出ます。生活費の高い都市部と、地方都市ではやはり差が出ます。例えば公立学校の教員の場合ですが、ここイリノイ州の場合、過疎地ですと新人教師の初年度の年俸は4万ドル(日本円でおよそ567万円)ですが、ここシカゴ圏で税収の多い裕福な郊外の学校区ですと、5万ドル(日本円でおよそ708万円)に達します。大企業でも、大卒新入社員を全員本社で一括採用することはやっていないので、例えば同じ経理の仕事でも、大都市の本社に入社した人と、地方にある工場に入った人の間に1万ドル以上の差が出るのも珍しくありません。でも、大都市の方が家賃等、生活費がかなり高いので、多く貰っても実際の可処分所得は地方の方が多い可能性は十分あります。