今日は、1995年1月17日に発生した「阪神・淡路大震災」からちょうど30年の日です。当時、地震発生後にいたるところで火災が発生、多くの家屋や、命が奪われることとなりました。また、一方で、消防士のみなさんによる懸命な救助活動により、多くの命が救われました。そして、先日、アメリカ・ロサンゼルスで発生した大規模な山火事は消火活動が未だ続いていますが、その対応の遅れの背景には消防予算の削減や人員不足が指摘されるなど、課題も浮き彫りになりつつあります。そこで、この時間は、そんなわたしたちの生活に大切な「消防」をテーマに、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。
⚫︎アメリカ・ニューヨーク在住 / 中村英雄さん
Q1 アメリカでは、消防士が社会的に大変リスペクトされていますよね?
A1 消防士は依然としてアメリカの男の子たちの憧れの職業です。「ファイアー・ファイター」ですから、軍人同様の戦士です。火と戦うヒーローというイメージは、相変わらず魅力的です。現実的に消防の仕事は、緊急車両のサイレンがやむことのなかったコロナ禍を経た今もなお、超多忙。募集をかけると数千人の志願者が応募してくる状態が続いています。
Q2 大変な仕事だと思いますが、消防士になりたい人が多い理由というのは・・・?
A2 人気の理由は、給料がいいからです。アメリカの大卒の初任給の平均は6万ドルぐらいですが、消防士の場合、数年で8万5千(現在のレートだと、日本円で1300万円くらい)は軽くいくそう。地方都市であれば。結婚してマイホーム購入の計画ができる高待遇です。昨年、知人の緊急入院で乗車した救急車の担当隊員の話によると、消防士は救急隊員よりもさらに待遇や恩給がよいので、自分も消防士になりたいのだけど、応募者殺到で試験や審査が厳しくなかなかなれないとのことでした。
Q3(消防に関して、中村さんが気になっていることはありますか?
A3 僕の住むクィーンズ区サニーサイドは昔からアイルランド人の多い地域で、アイルランド人といえば消防士か?と言われるくらい、アメリカの火消しに多い人種です。近所には消防士はもちろん、消防士バーというアイリッシュパブもあれば、当直で自炊するアイリッシュ消防士御用達の、アイルランド食材店もあります。
⚫︎パリ郊外でレストラン「ヴェルチュ」を営む、柳瀬充さん
Q1 まず、パリの消防は軍の一部なんですよね?
A1 はい。パリ消防旅団はフランス陸軍の所属で、団員数は8500人、世界で3番目ということです。また、マルセイユ消防大隊はフランス海軍の所属だそうです。
Q2 歴史とともに今があるといった印象ですが、ほかに、日本と同様、自治体規模で結成される消防団もあるそうですね?
A2 はい。市や県の各区域で一般召集されており、志願消防士の多くは自らの職業活動と消防活動を両立させる必要があります。
Q3 パリでも消防士と地域住民との関わりはありますか?
A3 消防署の一般公開日には、住んでいる町や区の消防士に会いに行ったり、はしごに実際に登ったり、消防訓練の実演を間近で見たり、子供向けのプログラムもあるようです。また、毎年革命記念日の前夜、7月13日の夜から明け方まで消防署主催の盛大なパーティがパリ各所であるので、消防士に出会いたい人にはチャンスです。勇ましい消防士に見惚れる女性も少なくないとか。
Q4 そのほか、フランスの消防に関して、柳瀬さんがお持ちの印象は?
A4 フランスの消防団は、普段から目にすることが多く、ランニングしていたり、筋トレしていたりと、日本よりも近い存在だと感じます。いつ何時何があるかわからないので、しっかり体を鍛えておかないといけませんね。