5月9日は「アイスクリームの日」でした。一般社団法人 日本アイスクリーム協会が発表している世界各国の「1人あたりのアイスクリーム年間消費量」、2021年のデータでは、日本は合計6.7リットルで20位でした。では、上位はどんな国がランキングしているのでしょうか?この時間は、「世界のアイスクリーム事情」と題して、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。

「1人あたりのアイスクリーム年間消費量」合計13.1リットルで第3位のアメリカです。
アメリカ・ニューヨーク在住 / 中村英雄さん
Q1 アイス消費量は世界第3位のアメリカ、みなさんよく食べられますよね?
A1 食べてますねえ。夏だろうと冬だろうと、一年中アイスは必須。とはいえ夏がアイスのシーズンです。大きなバケットを抱えて一人で食べるなんて言うのもこの国では日常風景です。
Q2 ニューヨークで最近人気のアイスのブランドやフレーバーは?
A2 ニューヨークに限って言いますと、2008年にブルックリンで若者3人組が起業したVan Leewen( 「ヴァン・ルーウェン」と発音)ではないでしょうか。ミルクはグラスフェッド(牧草飼育)の乳牛のもののみ、卵は黄身のみ、砂糖はきび砂糖など素材に徹底的にこだわって、普通に濃厚。「シンプルだけど美味しい」をモットーに大当たりしています。中でもこのブランドが斬新なのは、ヴィーガン向けだけど美味しい商品を提供するところ。牛乳の代わりにカシューミルク、カシューオイル、ココナッツミルクを使って絶妙な味わいを獲得しています。ヴィーガン系の推しは抹茶。(この抹茶アイスは、ヴァン・ルーウェンに限らず最近の人気フレーバーの一つです)このブランドは市内のおしゃれなエリアを中心に複数店舗展開するほか、スーパーなど用の小売商品も手がけています。
Q3 ヴァン・ルーウェン、素材にこだわったブランドなんですね。ところで、アメリカではアイスの移動販売も多いですよね?
A3 アイスを食べる大事なタイミングとして、学校帰り、放課後、夏休みのサマーキャンプ帰り、と言うのがあります。この場合、アイスはソフトクリームと相場が決まっています。通常、巡回販売のトラックで買うのですが、中でも「Mr.ソフティ」は昔から有名な大手です。彼らのトラックは独特なジングルを鳴らしていて、これを聞くとニューヨークっ子は条件反射でトラックに駆け寄るという仕掛けになっていて、この音と味が郷愁も相まってニューヨークの夏の風物詩となっています。
Q4 そのほか、アメリカのアイスクリームで人気のブランドは?
A4 もう一つ、ニューヨークや東海岸界隈のB級氷菓として忘れてならないのが「イタリアンアイス」です。20世紀初頭にシチリアや南部イタリアから大量に渡ってきた移民たちが持ち込んだ駄菓子で、要は毒々しい色の人工甘味ジュース飲料を固めてシャーベット状にしたものを安物の紙コップで食べるだけの簡単な「デザート」です。子供たちにも人気で、南ブルックリン、スタテン島、クィーンズの庶民街では、口の周りをイタリアンアイスで極彩色に染めたキッズを今でもよく見かけます。中でも有名なのが、かつてはイタリア系移民が密集していたクィーンズ区コロナ地区にあるその名も「ザ・レモン・アイスキング・オブ・コロナ」というお店。行列ができます。
「1人あたりのアイスクリーム年間消費量」20.8リットル、ダントツで世界1位のオーストラリアです。
オーストラリア・メルボルン在住 / 小林純子さん
Q1 アイスクリーム消費量、世界1位のオーストラリア、実感ありますか?
A1 やはり皆さんたくさん食べられているなという印象です。オーストラリアは比較的一年を通じて暖かいところが多いのと、夏は40度を超える猛暑も多いので、暑さを凌ぐのにうってつけのデザートだったことが理由ではないのかと思います。特に夏はサマータイムもあって夜は10時近くまで明るいので、皆さん夜な夜なアイスクリーム屋さんに出かける機会も多いのではないかと思います。いまはそろそろ冬に向かって寒くなってきていますが、相変わらずアイスクリーム屋さんの前に大勢のお客さんが並んでいます。
Q2 オーストラリアで昔から人気の定番のアイスのフレーバーは?
A2 やはりバニラとチョコではないかと思います。また、ボイズンベリーやクッキーアンドクリームも長い間人気の定番フレーバーとなっています。
Q3 逆に、ここ最近人気のフレーバーは?
A3 最近ではソルトアンドキャラメルや、珍しいものではイチジクのフレーバーも人気です。オーストラリアはベジタリアンやヴィーガン人口が多いのですが、最近はアイスクリームも植物由来の素材を使用した「プラントベース」や「ノンデイリー」のアイスクリームが多くなってきました。
Q4 アイスを食べるシチュエーションでオーストラリアならでは、というものはありますか?
A4 何と言っても映画館の中でChoc Topといって、コーンの上に表面がチョコでコーティングされているアイスクリームを食べるのがオーストラリアならではではないかと思います。他には、特にバニラアイスクリームですが、デザートのメインとしてではなく、サブとして食べることが多いです。例えばアップルパイやアップルクランブルやチョコレートプディングといったデザートにはクリームをかけて食べることが多いかと思いますが、クリームの代わりにバニラアイスクリーム、もしくはクリームとアイスクリームを一緒にかけて食べるというのがオーストラリアならではかと思います。
JK そういう使い方がアイスクリーム消費量を押し上げているのかもしれませんね。