あす、4月13日は「喫茶店の日」です。今から136年前、明治21年のこの日、東京・上野に日本初の本格的な喫茶店「可否茶館」が開業したことにちなんで制定されました。その後、昭和にかけて日本各地に喫茶店が誕生、さらには、海外発のカフェ文化も根付きましたね。

この喫茶店やカフェ、ところ変われば、きっと違いもありますよね?ということで、この時間は、「世界の喫茶店・カフェ事情」と題して、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。

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●ポルトガル・リスボン在住 / 原 悠子さん

Q1 ポルトガルでも、昔ながらの喫茶店、新しいカフェといったように分類できる感じなのでしょうか??

A1 できます。ポルトガルでコーヒーといえばエスプレッソなので、いわゆる昔ながらのカフェではエスプレッソや、それをベースにしたコーヒーのバリエーションを楽しめます。ポルトガルでは、エスプレッソのことを「カフェ」と言います。それに伝統的なスイーツやパイ、キッシュ、サンドイッチなどのシンプルな軽食もあります。新しいお店は、フランスや北欧などヨーロッパの、ほかの地域のスタイルを取り入れていて、外観からして違います。メニューもエスプレッソ以外のコーヒーが充実していたり、コーヒー豆の種類にこだわっていたり、スムージーなどのコーヒー以外の飲み物が楽しめたりします。こういうお店では伝統的なスイーツはあまりなく、オリジナルのケーキやアサイーボウルなどヘルシーなものが多いです。

Q2 先ほどおっしゃっていた、「エスプレッソ」のバリエーションについて、詳しく教えてください。

A2 エスプレッソに数滴ミルクを足した「ピンガード」、コーヒーとミルクが半々でコップで提供される「ガラオ」、エスプレッソにミルクの泡を少し足した「ガロト」、お湯が多めの「アバタナード」などがあります。

Q3 エスプレッソをカフェと呼ぶとのことですが、紅茶は?ポルトガルのみなさんは紅茶をカフェで飲まないのですか?

A3 お茶を飲む人もいますが、少数派です。お茶を飲む場合こちらではティーバッグが一般的で、いわゆる紅茶や緑茶に加えて、カモミール、リンデン、ベリー系、ミントなどのハーブティーは大抵のカフェにあります。(緑茶は薄め。砂糖を入れる人もいます)

Q4 ポルトガルの昔ながらのカフェにはスイーツやパイなどの軽食もあるっておっしゃっていましたが、ポルトガルといえば、卵をつかったお菓子が多い印象がありますが、カフェのメニューでも多いのでしょうか?

A4 ほとんど全部そうです。ポルトガルのスイーツはほとんどに卵、特に卵黄を使っていて、伝統的なカフェではショーケースにずらりと並んでいます。例えば日本でも知られているエッグタルト、あとはスポンジケーキで卵クリームを巻いた「トルタ・デ・アゼイタオ」、チーズと卵が入った焼き菓子「ケイジャーダ」、卵クリームが入ったドーナツ「ボーラ・デ・ベルリン」など、どのお菓子にも卵がふんだんに使われています。

Q5 どれも美味しそうですね!全部黄色ですが最後に、ポルトガルのみなさんにとって、カフェはどんな場所なのでしょうか?

A5 カフェはポルトガル人には欠かせない場所です。1ブロックにひとつはあり、さっと朝食を食べたり、夕方に仲間とビールを一杯飲んだり、生活の一部になっています。お客さんも常連が多く、働いている人も気さくに話しかけてくれることもあって、ポルトガルらしさを感じられると思います。

●韓国・ソウル / オム・キフンさん

Q1 韓国にも日本の喫茶店のような古いお店がありますよね?

A1 韓国には日本の喫茶店に近い形としてタバン(茶房)というお店があります。タバンの始まりは1902年にソウルにあったSontag Hotelに近代的なお店として出来て伝統的なお茶を売っていました。主に王室の関係者や貴族、外交官が使用していたそうです。それから1950年代からその数は増えまして、現在のカフェのような役割をしていました。時代によってお客さんも変わりまして、詩人や芸術家達の集まる場所になっていきました。90年代まではお茶やコーヒーを飲みながら流行の曲を聴ける音楽鑑賞室としても人気があり、多くの大学生達も通っていました。90年代後半から西洋式のカフェが増えまして、タバンは徐々になくなっていきましたが今も数は少ないですがあります。

Q2 韓国の古い喫茶店「タバン」の定番メニューは?

A2 コーヒーと漢方系のお茶、伝統的なお茶、お餅や果物などが主なメニューです。韓国のタバンは日本の喫茶店のように食事をするような場所ではなく、あくまでもお茶やコーヒーを飲みながら軽いデザート的な食べ物を食べる場所です。今タバンはお年寄りが行くような場所というイメージが定着しています。

Q3韓国でもあちこちにおしゃれなカフェがあって、インスタ映えするスイーツがブームになったりしますが、ここ最近の流行というと、どんなスイーツなんでしょうか?

A3 韓国はスイーツの流行の変わりがとても早いんですけど、今はコーヒー豆の形をしたコーヒーパンとか若者が多く集まる弘大(ホンデ)の街とかではトウモロコシや栗、バナナとクリームに乗せたパイとか、ダークチョコレットやバターミルクを使ったケーキなどが人気です。どれも見た目がユニークでインスタ映えするようなスイーツが多いです。

Q4 ギネスに登録された、巨大なカフェがあるそうですね?

A4 世界最大規模のカフェとして2022年にソウルから近い金浦(キンポ)という地域に「POSITIVE SPACE 566」というカフェが出来ました。広さは1階から6階ルーフトップテラスまで合わせて3600坪であり、およそ2500人のお客さんを受容出来るお店です。1階から4階まではカフェになっていて5階はアートセンターになっております。注文をする1階のカウンターの後ろには大自然の映像が流れる超巨大スクリーンがあり、テーブルとイスはアンチックなデザインの物になっております。2階は韓国伝統的なハンオク(韓家)の雰囲気で、3、4階は近代的なデザインのアートが楽しめる空間になっております。小人数や団体のお客さんが入れる個室も沢山あり、その部屋によってはいつも予約が一杯です。お店にいるお客さんたちはカフェではなくまるでデパートにいるみたいな感覚だそうです。お店の人気メニューはクリームラテ的な566シュペーナー、ボリューム感たっぷりのギネスペパロニポテトピザなどがあります。  

Q5 韓国では、古い喫茶店から新しいカフェにとって代わっているような状況なのでしょうか?

A5 カフェが増えてタバンはその数が減っていたんですけど、ここ数年前からレトロブームに乗ってまた繁盛しているタバンも出来てるようです。いま20代の若者からタバンを見れば逆に新しいみたいで、あるタバンは最近多くのユーチュバーが撮影に来てお店を紹介してくれてるそうです。