4月4日は「獅子の日」でした。獅子=ライオンは、世界のさまざまな神話や伝説に登場するほか、紋章などにも数多く使われています。日本の神社などで見かける狛犬も、もともとは仏像の前に獅子の像を置く習慣に由来しているんだそうです。お正月の「獅子舞」なんて行事もありますよね。そこで!今回はかなりニッチなテーマになりますが、「世界の獅子事情」と題して、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。

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●イタリア・フィレンツェ在住 /小泉 真樹さん

Q1 イタリアでも、獅子は特別なシンボルとなっていますよね?

A1 ライオンをシンボルにしている街がイタリアには沢山あり、有名なところでヴェネツィアでは羽の生えたライオンのシンボルが至るところにあります。

Q2 「有翼の獅子」と呼ばれている獅子ですよね?このルーツについて、教えていただけますか?

A2 それぞれの街にはその街を守る守護聖人がいて、ヴェネツィアは聖マルコが守護聖人です。何故、聖マルコがヴェネツィアの守護聖人かというと、古代の伝説で、キリスト教の福音を伝えるために出かけた聖マルコが嵐の夜にヴェネツィアに避難した時に、夢に翼の生えたライオンが現れて「マルコよ、汝に平安あれ」と言ったという逸話から、とのことです。聖マルコのシンボルがここで現れた有翼のライオンとなったそうです。聖マルコは福音書を書いた聖人の1人ですが、ヨハネの黙示録というキリスト教徒が迫害を受けていた時代に書かれた書にも、キリスト教以外の人にわからないように聖マルコのことを翼のあるライオンと書いている部分があるとのこと。

Q3 ヴェネツィア以外の都市では獅子はどんなシンボルになっているのでしょうか?

A3 ライオンは一般的に力や権力のシンボルとして使われることが多いので、ブレーシャやグロッセートなど沢山の街でシンボルとして使われています。私の住んでいるフィレンツェもフィレンツェ共和国時代のシンボルがマルゾッコというライオンでしたので、色々な所にライオンがいます。

Q4 イタリアでも、獅子=ライオンが商品や企業のロゴなどになっていますよね?

A4 例えばイタリアの海軍のシンボルにもライオンがついていますし、有名なGeneraliという保険会社のシンボルもライオンです。

●タイ・バンコク在住 / 木下 麻衣子さん」

Q1 タイでは、獅子=ライオンは神話に登場するんですよね?

A1 古代神話に登場する「シンハ(Siṃha)」は、サンスクリット語でライオンを意味する言葉で、タイやインドの古代神話や壁画に登場する百獣の王、神の遣いの象徴のようなもので昔々から崇められているそうです。

Q2 獅子像がいろんなところにあるそうですね?

A2 はい、寺院や遺跡などでその場を守っているように佇んでいるのを見ます。

Q3 日本でも行われている伝統芸能「獅子舞」は、タイでもおなじみなのでしょうか?

A3 獅子舞は中国正月の春節の時期に見ることができます。日本よりもかなり色鮮やかで煌びやかな印象を受けます。爆竹の音とともに舞っているイメージですね。

Q4 タイでも、獅子=ライオンが企業ロゴや商品に使われているそうですね?

A4 やはり強いもの、大きい存在の象徴として選ばれるのかなと思います。今、私が日常生活で最も目にすることが多いのがタイのシンハビールのロゴである獅子でしょうか。タイ王室に認められた唯一のビールです。 

Q5 獅子は、タイの人々にとってどんな存在なのでしょうか? 

A5 神の使い、あくまでも空想上の動物であるという認識のようです。ただ人によってはきちんと敬意を払う方もいらっしゃるようです。