きのう、3月21日は「ツイッター誕生日」でした。2006年のこの日、ツイッターの創業者の一人、ジャック・ドーシーさんが最初の「つぶやき」をおこなったことにちなんで制定されました。ツイッターは、昨年、イーロン・マスク氏が買収し「X」と名称を変更しましたね。日本国内の「SNS利用者数ランキング」を見ますと、

1位がLINE(9,500万人)、2位がYouTube(7,120万人)、3位がX(6,658万人)、4位がInstagram(3,300万人)、5位がFacebook(2,600万人)となっています。

さて、SNSを取り巻く状況、海外ではどんな違いがあるんでしょうか。そこで、この時間は、「最新SNS事情」と題して、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。

●中国・北京在住のライター、斎藤 淳子さん

Q1 中国ではインターネット規制で他国のSNSが見られない制限がありますよね?

A1 基本的に中国企業が管理しているもの以外はダメです。Facebook、X(旧ツイッター)、LINE、Google、YouTubeなど、非中国系アプリは一律アクセスできません。

Q2 そうなると、中国にお住いのみなさんは、中国企業のSNSしか使えないわけですが、国内ユーザー数の多いSNSについて教えてください。

A2 なんと言っても国民的インフラになっているのが微信(WeChat)です。スマホを持っていれば必ずこれを持っている。運営会社の発表では月間アクティブユーザー数は中国国内では10億人以上です。日本で言うLINEのような感じで、ユーザー間で支払いもできるので、飲み会の割り勘や、地方からのお取り寄せ商品の支払いなども可能ですし、位置情報の共有などもできます。トランシーバー、電話、動画通信や翻訳機能なども安定していますし、使い勝手はとてもよろしいです。ただ、お上の政策がそのままズドンと落ちてくるので「いきなりこれ?!」という対応もあります。例えば、私も突然、お財布機能を止められたこともあります。パスポートやビザ番号に職場や住所などあらゆる個人データを今すぐに更新せよ、と画面表示が出て、手元にパスポートがなかったりした場合お財布はペンディングのままです。事前の通知がないのはもちろん、ルールははっきり公表されないので「スリリング」です。

Q3 そのほか、中国で人気のSNSというと・・・?

A3 次は中国版TikTokの「抖音Douyin・ドウイン」ですね。これはご存じの通りのショート動画専用アプリですが、動画を見ながら支払いをして買い物ができ、ものすごいマーケットになっているようです。ユーザー数は7億強です。そして、この数年、急速に人気を伸ばしているのがRed(「小紅書」)というアプリです。ライフスタイル共有の短い動画やグラフィックをシェアできます。Z世代の女性が多く、ユーザー数は3億弱です。ファッション、美食、恋愛、教育からお寺のお参りの仕方、ビザ情報まで最新の実体験による書き込みがたくさんあります。ここに、既に日本の群馬の四万温泉の旅館情報までたくさん出ていてびっくりしました。恐るべし!中国アプリ!

Q4 そして、X(旧ツイッター)のような中国のSNSというと「微博(ウェイボー)」をイメージしますが、こちらは・・・?

A4 実は微博(ウェイボー)は微信(WeChat)が出る10数年前までは一世を風靡しましたが今は存在感はかなり薄くなっています。

Q5 日本でも、フェイク動画や詐欺広告などが問題になっていますが、中国国内ではどうですか?

A5 フェイクはいっぱいあります。出どころのわからない写真や動画がたくさんあります。どう見てもAIで作った金髪の外国人が中国を褒めている動画なども先日回ってきましたが、特に中高年の人はあまりチェックせずに消費している感じです。また、ネット詐欺防止を呼びかけるレポートも毎日のように警察が発信する地元コミュニティのグループチャットに送られてきます。

●インドネシア・ジャカルタ在住 ミュージシャン・タレント・俳優・MC・翻訳・通訳と幅広く活動されている、加藤 ひろあきさん

Q1 インドネシア国内で人気のSNSについて教えてください。

A1 アメリカのアプリ「WhatsApp」が一番利用率が多いというデータがあります。続いて、Instagram、Facebook、YouTube、TikTokとなっていて、日本で人気のXやLINEはあまり使われていない印象です。

Q2 例えば、インドネシアらしいSNSの使い方などあるのでしょうか?

A2 インドネシアの人は自分のプライベートをSNSで共有することにそこまで抵抗はないですし、自撮りを含めて写真や動画撮ったりすることも大好きなのでそもそもSNSとは相性がいいと思います。企業側も個人がSNSをやることを咎めるような雰囲気もあまりないですし、SNSフレンドリーな国だなと感じます。

Q3 投稿型のSNSで、ここ最近「バズって」いる話題はありますか?

A3 これがバズっている!というのは日々変わっていくので難しいですが、流行りの楽曲の「歌ってみた」で言うと、現在であればCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」などのバズり曲に合わせて踊る動画はもちろんのこと、インドネシアでは「教育・教養系」「ノウハウ系」さらには感傷的なBGMに乗せて偉人の名言などを共有する「自己啓発系」のコンテンツも相変わらず人気です。

Q4 インドネシアでもやはり動画投稿がウケているんですね?

A4 TikTokの力が年々増してきているのは確かだと思います。Tiktokライブを通じての時間限定セール、ライブ販売はeコマース系では必須になってきていますし、日本でもそうかもしれませんが、検索にTikTokを利用する若者もどんどんと増えてきている印象です。インドネシアの人たちは日本の人たちに比べてもさらに文章などを読まない傾向にあるので、キャプションで伝えるよりも動画で伝える方がインプレッションを獲得しやすいというのは確実にあると思います。

Q5 そのほか、インドネシアでSNSの影響力を感じることはありますか?

A5 ホットな話題ですと、先日2月に世界最大の直接投票による大統領選挙がインドネシアで行われましたが、ここでも各候補が競うようにSNSを活用していました。現時点でまだ開票結果は確定していませんが、優勢とされている候補者は主にTikTokをSNSでの選挙活動に利用しており、これが若年層のアプローチと取り込みに大きな役割を果たしたと言われています。これからもSNSの影響力は各分野で増していくだろうと予想されています。