さて、あさって3月3日は、「結納の日」でもあること、ご存知でしたか?「結納」は、結婚式の3ヶ月から6ヶ月ほど前に、両家が顔を合わせ、結納金や結納品を形式的に受け渡す婚約の儀式ですが、最近では単に両家が顔を合わせて食事を楽しむ、といったカジュアルなものに変わって来ていますよね。ところで、海外では結婚前の儀式やイベント、どんなものがあるのでしょうか。ご当地で行われている「結婚前のイベント」について、お話を伺います。

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●アメリカ・ロサンゼルス在住 / 手島 里華さん

Q1 アメリカの結婚前のイベントというと、やはり「ウェディング・シャワー」ですよね?改めて、どういったものなのか、教えていただけますか?

A1 あるウェディング調査によると、結婚式の前にウェディング・シャワーでお祝いした人は全体の67%。7割近い人たちが行っています。結婚するカップル双方の最も親しい親族や友人 30人~50人が結婚式の前に集まってお祝いします。通常、結婚式の2週間から3カ月前に開催され、会場はレストランやバーなどのプライベートイベントスペース。日中に行われることもありますが、だいたいハッピーアワーやディナーといった夜の時間に開催されます。お酒が入ってかなり盛り上がるそう。軽いオードブルを食べながらゲームをしたりと、なにかしらのエンターテインメントも行われます。またレジストリー・ギフト(ウィッシュリスト)を開けるのもその一つ。これはカップルが自分たちの欲しい物を事前にリストアップして、その中から予算に合ったものを選んで贈ってもらう事で、これをみんなの前でお披露目します。

Q2 「ウェディング・シャワー」では、基本的に、新郎新婦が欲しいものがプレゼントされるんですね?

A2 レジストリー・ギフト(ウィッシュリスト)ではない物を贈ることも出来ます。その場合、カップルが一緒に使って楽しめるアイテムを贈ります。例えば家庭用品やリネン(シーツやタオル、ベッドカバー)だったり、最近だとギフト・カード(カードタイプの金券)を贈るのも一般的。NYのウェディングプランナーの方のお話では、カップルの趣味を反映して、ワイン好きだからワイングラスが贈られたり、アウトドアが好きなカップルにはジップラインのギフト券が贈られた事もあるそうです。

Q3 ジップラインのギフト券!アメリカっぽいですね!ちなみに、この「ウェディング・シャワー」、どのように始まったものなんでしょうか?

A3 このウェディング・シャワーは、伝統的なブライダル・シャワーを現代風にアレンジしたもの。そもそもブライダル・シャワーは1890年代にアメリカの上流、中流階級の人たちの間で始まった習慣で、ゲスト(花嫁の友人、家族)が、新婚生活に必要なキッチン用品や寝具、食器といった生活必需品を揃えるのを手伝う事でした。しかし今は多くのカップルが結婚式の前から同棲していたり、お互い一人暮らしで生活用品が整ってる場合が多く、現在はカップルをお祝いするイベントとして進化しています。

Q4 アメリカには、ほかにも「〇〇シャワー」がありますよね?

A4 婚約発表パーティーとして『エンゲージ・シャワー』。 結婚とは違いますが、出産を控えた妊婦さんのためにパーティーを行う『ベイビーシャワー』など、アメリカには『シャワー』と呼ばれるものがあります。この『シャワー』には、"結婚する二人(出産する女性)に愛や祝福をシャワーのように浴びせる"という意味があり、贈り物をしたり、笑顔いっぱいの楽しい時間を過ごす事が目的となっています。

●フィリピン・マニラ在住 / 澤田 公伸さん

Q1 フィリピンにも結婚前の儀式があるんですって?

A1 フィリピンでは「パママンヒーカン」と呼ばれる、結婚前の儀式があります。これは結婚を決意した男性(将来の花婿)が女性(将来の花嫁)の両親から結婚の承諾を得るための儀式で、男性の両親も一緒に同行します。古くは男性とその家族が女性の実家に上がり、そこで男性側が女性の両親に結婚の承諾を求めたようです。そして女性の両親が結婚を承諾すると、その場で食事の席が設けられ、それぞれの家族の郷土料理などを出し合って一緒に食事して交流を行ったそうです。また、その会席の際などに居合わせた年長者の人々が、結婚することになった男女に結婚生活に関するアドバイスなどをしたそうです。また、このパママンヒーカンの儀式の時に、具体的な結婚式の日取りや会場、結婚式の司祭、招待客リストの作成なども同時に行うことが多かったようです。

Q2 その「パママンヒーカン」という儀式では金品のやりとりもあるのでしょうか?

A2 男性から女性にプレゼントや指輪(いわゆる婚約指輪)などが渡されることが多いようです。プレゼントの内容や金額は特に決まりはないようで、相手側の家族が喜ぶような物を用意したり、食べ物や花をプレゼントしたりすることでも良いようです。また、結婚式自体の費用は、男性側が主に用意するのが伝統的な慣例だったようですが、最近ではそうでなくなっているようで、折半して負担することも多いようです。

Q3 日本でも伝統的な「結納」を行う人が減っていたりしますが、フィリピンでもそういった変化はあるのでしょうか?

A3 はい、フィリピンでも時代による変化は大きく、さきほどの「パママンヒーカン」もそれほど形式ばった儀式というよりは、最近ではレストランなどでの会食でお互いの家族を紹介し合い、結婚式の招待客などを決めるという、よりカジュアルな形になっているようです。また、結婚式自体も必然なものではなくなってきており、まず同棲関係で二人の生活を始めて、子どもも出来て落ち着いた生活を送るようになったことを契機にして、ようやく教会などで結婚式を挙げる夫婦もかなり増えてきているようです。

Q4 そのほか、結婚前のイベントやしきたりについて、澤田さんが気になる話題はありますか?

A4 特に上流階級などの間では、将来の花婿と花嫁が、結婚式の直前にそれぞれ自分たちの兄弟姉妹や友人たちだけを招待した、独身時代最後のパーティーを男性陣と女性陣が別個に開催するアメリカ式の習慣もあります。また、フィリピンでは日本と同じく結婚式の前に結婚衣装を着けて観光地やフォトジェニックな場所で撮影会をすることも多いです。