さて、きょうは「天皇誕生日」で祝日ですが、あす、2月24日に、こんな記念日があるのをご存知でしょうか?「月光仮面登場の日」。

1958年=昭和33年の2月24日に、「月光仮面」のテレビ放送が始まったことにちなんで制定されました。「月光仮面」は、白いターバンに三日月形のマークをつけ、全身白ずくめの衣装でオートバイに乗ってあらわれる正義の味方です。時代劇と探偵活劇の要素を組み合わせた作風は、その後のヒーロー番組に多大な影響を与え、「月光仮面」は"日本のヒーロー番組の元祖"とも呼ばれています。

さて、海外で「元祖ヒーロー」というと、どんなキャラクターがいるのでしょうか?世界の「ご当地ヒーロー事情」と題して、お話を伺います。

●メキシコ・アグアスカリエンテス在住 / 府川 祐子さん

Q1 メキシコの"元祖ヒーロー"というと、どんなキャラクターがいますか?

A1 (19〇〇年代ごろ)、ラジオドラマから生まれた「カリマン」というキャラクターがメキシコのヒーローの代表です。その後、漫画やおもちゃで展開され、人形は子どもたちの人気の的でした。月光仮面と似ているインド風の白い衣装に、白いターバンを巻いた王子様のようなイケメンヒーローは「カリマン」という名前で、戦いには柔道や空手の技も使いますが、心理作戦も得意とし、悪を懲らしめます。

Q2 なるほど、「カリマン」というイケメンキャラクターがメキシコでの元祖ヒーローに当たるんですね。ところで、メキシコというと、メキシカンスタイルのプロレス、「自由な戦い」という意味の「ルチャリブレ」。覆面レスラーのイメージがありますが、一番有名なヒーローというと??

A2 一番の人気者は、「白銀のマスクマン」というニックネームで1930年代から活躍した「エル・サント」です。やられてもやられても立ち上がり、お決まりのごとく最後には力を振り絞り、悪役を懲らしめる役どころです。1950年代後半にはサントの漫画が出版され人気を集め、その後、サントが主役の映画が何本も製作・公開、俳優としても活躍します。本人は1984年に亡くなっていますが、2017年公開のディズニー/ピクサーのアニメーション映画「リメンバー・ミー」では、国民的英雄として登場するなど、メキシコでは伝説のヒーローです。

Q3 ほかにもレスラーのヒーローはいますか?

A3 1940年代から80年代に活躍した「ブルー・デーモン」もプロレスラーの仮面をかぶったヒーローの一人で、主演映画ではミイラと戦ったり、子供に大人気のヒ―ローです。怪物と戦うときは常に青いマスクをかぶり、戦う技はプロレスの技です。最近も新しい映画が公開されました。

Q4 レスラーのヒーローはフィギュアなど、おもちゃも発売されているんですよね??

A4 フィギュアの他にもプロレスラーの仮面も街角で売られており、遊びの衣装には困りません。

Q5 そのほか人気のヒーローというと、どんなキャラクターがいますか?

A5 1970年代に誕生した、スペイン語で「赤いバッタ」を意味する「エル・チャプリン・コロラド」という正義の味方は、いつも冗談を言い周囲の人はばかにするのですが、その冗談が功を奏し、問題を解決するキャラクターで、今も人々から愛されています。

Q6 最後に、メキシコのヒーローに共通する特徴ってあるのでしょうか?

A6 メキシコのヒーローたちは家族を愛し、特に女性を大切にすることは現実と同じです。メキシコの男の子たちは小さいころからそういうヒーローを見て育っているので、家族を大切にするのかもしれません。

●インド・ムンバイ在住、「ハリーさん」こと、小里 博栄さん

Q1 インドのヒーローというと、どういうイメージでしょうか?

A1 インドはご存知の通り大国であります。様々な価値観と文化が共存し、歴史も長い世界一の人口の国であります。インドは多民族、多宗教、多言語の国です。その中、「ヒーロー」もその時代その時代、その多民族等が思う描く「ヒーロー」は異なります、そこがインドの面白さではないでしょうか。その中で近代のインド人が思うヒーローは、戦争でインドを守った方や、インドの独立の立役者が思い浮かびます。

Q2 いわゆる架空のキャラクターのヒーローというと、どんなキャラクターがいるのでしょうか?

A2 一番有名なのは「チョタ・ビーム(CHHOTA BHEEM)」。強く、頭が良く、悪と戦う。こちらは2008年に誕生したキャラクターで超有名です。小さな村に住む9歳。このChotta Bheemくんは頭がよくパワフル、周りを面白いお話しなどで盛り上げる。村で起こる様々な問題を解決。時には村を襲う悪魔を1人で挑み、勝つ!まさにヒーローですね。Tシャツからバッグからグッズがたくさん売られています。

Q3 ところで、インドにはアメコミや日本の影響もあるのでしょうか?

A3 既に15年以上前ですが、僕の講談社の友人が手掛けたインド版巨人の星「スーラジ ザ・ライジングスター」で、日本のアニメがインドのヒーローとして展開され話題になりました。影響はあると思います。最近人気のヒーローはやはり現役のボリウッドスターかな。インドで「ヒーロー」をネットで調べると、ボリウッドスターのアミターブ・バッチャン(AMITABH BACHAN)らが「ヒーロー」として見られてることもあります。アミターブ・バッチャンは、1970年代からボリウッドで人気俳優の地位を確立し、200本以上の映画に出演。インドでは神格化され、アミターブ・バッチャンをまつる寺院まで作られてしまった人です。まだご存命です。