今年も、きょうを入れてあと10日となりました。年末はテレビ各局も徐々に特別編成になって、長時間の特別番組が放送されますよね。1年の世相を振り返る報道特番、長時間の歌番組、定番映画や時代劇の放映、年が明けると新春特番、クラシックコンサートなど、いろいろありますが・・・海外のテレビでも年末年始の特番ってあるのでしょうか?この時間は世界の「年末年始の特番事情」と題して2つの国の番組通信員の方にお話を伺いましょう。

●スイス・バーゼル / サウター美由紀さん

Q1 スイスの年末特番ですが、日本の紅白歌合戦のようなテレビ番組はあるのでしょうか?

A1 大みそかの歌のショーの番組がスイス放送協会の第一放送であります。20:05から00:20まで4時間15分の放送です。司会者はスイスの女性歌手とオーストリアの男性俳優で、南ドイツやオーストリアのテレビ局と共同制作の生放送番組です。(私は見たことが無いのですが)紅白歌合戦のような雰囲気だと思います。12時をまたぐので、カウントダウンもあるようです。

Q2 クラシックコンサート特番もあるのでしょうか?

A2 クリスマスや元日にはあります。中でも、ウィーンフィルハーモニー交響楽団のコンサートは定番番組です。日本でも生中継があると思いますが、スイス放送協会の第一放送で1月1日の11:15-13:45まで2時間半の生放送です。このライブ放送は世界90か国以上に届けられるそうです。

Q3 スイスで毎年、年末に必ず放映するような映画はありますか?

A3 日本でも知られているアニメ「名犬ジョリィ」の実写映画版、(こちらでは「ベルとセバスチャン」というタイトル)は毎年やっています。クリスマス辺りは、オーストリアとドイツの映画「プリンセス・シシー」が定番です。テレビをあまり見ない私でもそれぞれ何度か見ているので、スイス人なら誰でも知っているはずです。

Q4 ほかに報道特番とか、長時間バラエティーとか、スイスで年末になると毎年放送される特番はありますか?

A4 もちろん、今年を振り返ってのニュース総集編だとかはあります。長時間バラエティーは毎年「Arosaユーモアフェスティバル」を収録したものを放送していて、今年は29日にやるようです。こちらは毎年Arosaの雪の中で行われているショーで、

https://www.humorfestival.swiss/

開催が終わった後の収録分を後日流すというものです。こういうパターンでは、夏にあったミリタリー音楽の祭典「Basel Tattoo」の放送も27日夜にスイス放送協会の第一放送であります。

https://www.baseltattoo.ch/

ちなみに、ここには日本からも何度かグループが出演していて、直近では2016年に海上自衛隊東京音楽隊が出演し、三宅由佳莉さんが着物で熱唱しました。バーゼルでの開催なので、日本のグループが来ると私が毎回お世話役をボランティアで引き受けています。

●中国・北京在住のライター、斎藤 淳子さん

Q1 中国の年末年始の特番事情ですが、やはり西暦よりも春節のタイミングということになるのでしょうか?

A1 元旦にも特別番組があります。中国各地方の衛星テレビでは大きな元旦番組で、トップクラスのアイドルやバンドがどこの番組に出るかというリストなどもネットで出まわっていて、話題になっています。でも、やはりメインは春節の特番です。

Q2 来年の春節は2月10日になるそうですね。そんな春節の特番で、何やらすごい番組があるそうですね?

A2 はい~。中国中央電視台(CCTV)を始め、中国本土で生中継される「春節聯歓晚会」という、日本の「紅白」に当たる国民的特番です。略して「春晩」といいます。中国でテレビが普及し始めた1983年に始まりました。日本同様にこれを見ながら、餃子(主に水餃子?)を作るというのが、中国の春節前夜(大晦日)の正しい過ごし方となってきました。

Q3 そのCCTVの「春晩」、どうすごいのでしょうか?

A3 人海戦術というか、とにかく規模が桁違い。人が多い。司会者だけで男女三人、ぞろっと並んで6人が司会をします。また、舞台に参加する人は一つの舞台だけでも数十人から百人近くののもありますから、演目は4時間半ですからおそらく千人以上でしょうね。また、色彩がすごい。最近はデジタルを駆使して背景もさらに派手なので、もう今年の若者の流行語に「ドーパミン(放出)」という言葉があるのですが、まさに、脳裏を刺激するような赤に金色、緑などの原色こてこてです。もちろん、もう少し洗練された若者の好みにあう敦煌の壁画にあるような中間色の綺麗な色彩の舞台も最近は少しずつ増えていますが、主流はやはりドーパミン放出系の原色です。

Q4 CCTVの「春晩」、内容はどんな感じですか?

A4 演目もすごい。歌だけでなく、なんでもあります。歌、手品、漫才、ショートストーリー・コント、京劇、雑技、少林寺やカンフーなどなど。放映実績もすごい。放映している中国中央テレビによれば、テレビの平均視聴率は20%、ニューメディア(パッド、PC、スマホなどの)視聴数7.66億回、昨年は番組の途中で視聴者参加の4回のネットくじ引きがあり、参加者は1.08億人だった68言語、173カ国・地域の1000メディアに同時放送・報道された。累積視聴回数は110.11億人、15~44歳が50%を占める(やっぱり根強いファンは地方のシニア)