さて、きのうは「クリスマスツリーの日」でした。1886年=明治19年の12月7日、高級スーパーマーケットの草分け、横浜の明治屋に日本で初めてクリスマスツリーが飾られたことにちなんで、制定された記念日なんだそうです。

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日本では先日、ツリーの片側半分がない、「ハーフツリー」も話題になりました。海外では「クリスマスツリー事情」どうなのでしょうか?この時間は2つの国の番組通信員の方に回線をつないで伺いましょう。

●アメリカ・ニューヨーク在住 / 中村英雄さん

Q1 中村さん、今まさに大きなクリスマスツリーがある場所にいらっしゃるとか?

A1 マンハッタンのアッパー・ウエスト・サイドとミッドタウンの間にある円形広場「コロンバスサークル」で、クリスマスマーケットの屋台を出しているところです。

Q2 ニューヨークのみなさんは、毎年クリスマスツリーを飾られるのでしょうか?

A2 SDGsのこの時流に反して、いまだにアメリカでは生木が中心です。早い人は感謝祭明けの金曜日(今年は11月24日)からツリーをゲット。街の角かどにツリー屋が出ます。コロナ時は、品不足でカナダから緊急輸入しましたが今年は大丈夫みたいです。ちなみに今年のツリーの値段の相場は、小サイズで50~60ドル(日本円でおよそ7300~8800円)、中サイズで100~150ドル(日本円でおよそ15000~22000円)、大サイズで150~200ドル(日本円でおよそ22000~30000円)ほど。

Q3 大都会のニューヨークでも今もクリスマスツリーは生木が主流なんですね。ということは、クリスマスが過ぎれば、ツリーは捨ててしまうということですか?

A3 ツリーはクリスマスの直後に廃棄されます。年を越すツリーもありますが、遅くも1月15日までには撤去します。その多くが、市の衛生局の計らいで断裁されて肥料となります。

Q4 では、ツリーに関してニューヨークのみなさんが大切にしていることはありますか?

A4 ツリーで大切なのは、サイズや木の種類もあることながら、ぶら下げる飾り(オーナメント)の方で、各家庭に代々伝わる大事な「飾り」、あるいはそのファミリーの「飾り方スタイル」があります。クリスマスマーケットはそんなオーナメントを買い足す場所で、弊社屋台のトップセールス商品も、手作りの鳥の人形(岐阜県奥飛騨産)です。

Q5 日本産のオーナメントが売れているんですか。クリスマスツリーは、プレゼントを置く場所でもありますよね?

A5 ツリー最大のお役目は、プレゼントの「置き場」。クリスマスの2~3週間前からボチボチと木の下に周到にラップした大小様々な贈り物が並びます。ツリーがないとこれができないので、やはりツリーは大事ですよね。そして、クリスマス当日の朝、子供達は思いっきりラッピングを引きちぎりながら「サンタからの」贈り物を発見して大喜びする、このシナリオが毎年、正確に繰り返されるのです。

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●サンタクロースのふるさとフィンランド・エスポー/ 遠藤 悦郎さん

Q1 フィンランドでも、街には大きなクリスマスツリーが登場するのでしょうか?

A1 街では11月末ごろから順次、クリスマスツリーが広場などに飾られ始めます。例えば首都ヘルシンキの中心、ヘルシンキ大聖堂の前、元老院広場のクリスマスツリーがフィンランドで最も有名で、毎年市内や近郊から切り出された本物の木を広場に運んで建てています。今年のツリーは、推定樹齢40年、高さおよそ18メートル、重さおよそ3.5トンのものが、ヘルシンキ市西隣の(私も住む)エスポー市にある個人宅の庭先から切り出され選ばれました。その後ツリーに電飾と星を飾り付け、広場から続く目抜き通り「アレクサンテリンカトゥ通り」で先月、盛大なパレードが行われ、サンタクロースも一緒にクリスマスシーズンの開幕を祝いました。毎年ものすごい人出の人気イベントです。

Q2 さて、話を一般家庭に移しまして、フィンランドではご家庭でも生木のツリーを飾るお宅が多いとか?

A2 一般家庭でも生木のツリーは多いです。基本はクーシ(オウシュウトウヒ)です。うちにも水タンクのついた専用の生木ツリースタンドがありますよ。田舎だと、家族や親戚などが持つ自分の森に行って、ちょうど良い木を切り出してきて、ソリか担いで家に運び込みます。都市部だと、クリスマスの1週間前くらいから、街のあちこちの広場にクリスマスツリーたくさん並べて売る商人が出没して、この季節の風物詩となっています。地方の森持ちの家族のちょっとした臨時ビジネスにしているケースも多くて、結構遠くから、トラックいっぱいにツリーを積んで売りに来ていたりします。

Q3 大きさなどでピンキリでしょうけど、生木のツリーのお値段はどのくらいなのでしょうか?

A3 価格はサイズによって違いますが、一般家庭で買うのは、小ぶりのものが30ユーロ(日本円でおよそ4500円)程度から、天井に届く2メートル超えのものになると80ユーロ(日本円でおよそ12700円)か、それ以上くらいするものも。これは首都圏の中心部の価格なので、地方都市に行くとグッと安くなります。

Q4 ツリーの飾りつけはどんな感じなのでしょうか?

A4 最近は主にLEDのランプで飾り付けますが、たまに、本物のキャンドルをクリップで止める燭台に灯すケースも見たことがあります。やはり本物の木はいい森の香りもして、雰囲気があっていいですね。

Q5 お子さんのいるご家庭では、クリスマス当日、ツリーのそばにプレゼントが置かれているんですか?

A5 いや実は。。。フィンランドでは、クリスマスイブの日にサンタクロースが「いい子いるかな?」と言いながら、プレゼントを持って堂々と玄関から入ってきて届けたりします。しかも、プレゼントをその後、イブの日に家族みんなで開けてしまうのが一般的。家族によって習慣は多少違うと思いますが、一夜明けたら、ツリーの下にプレゼントが、という光景はあまり主流ではないんです。

Q6 ちなみに、生木のツリーですが、クリスマスが終わったら、どうするのでしょうか?

A6 各住居やアパートごとに日常のゴミや生ごみ回収の容器が用意されていて、その横あたりにツリー置いておくと一月半ばまでに限り無料で回収してくれます。なのでアパートのゴミ回収場所には何本も(干からびて針葉の落ちまくった)ツリーが転がります。これもまた「クリスマスと新年が終わった」という風物詩かもしれません。