きょう11月17日は「国際学生の日」です。 1939年、当時のチェコスロバキアでおこなわれた学生デモ、その鎮圧の際に犠牲になった学生たちを追悼するために作られた記念日です。そんなシリアスな記念日でもあるきょうですが、この時間は、「学生」といえば「学生割引」・・・「学割」に注目したいと思います。海外ではどうなっているのでしょうか。この時間は2つの国の番組通信員の方に回線をつないで、現地の「学割事情」についてお話を伺いました。 
●フィンランド・エスポー / 遠藤 悦郎さん
Q1 福祉が手厚い北欧・フィンランド、やはり学割も充実しているのでしょうか?
A1 フィンランドでも日本と同様、さまざまな学割があります。学割の定番、公共交通機関で言うと、全国をカバーするフィンランド鉄道VRは、普通券、回数券などが30%オフ。ヘルシンキ首都圏などの用近郊鉄道は区間によりますが、定期だと40%また、種類によっては50%オフになります。
Q2 日本の鉄道会社の学割は、おおむね2割程度のようですので、割引率も高いですね。そのほかにはいかがですか?
A2 割引とはちょっと違いますが、フィンランドには学生手当があって、学生に対して生活と学業を支援するための補助金が直接支給されます。つまり学生でいることを理由にお金がもらえます。現行ですと、独立して生活している学生が月に 279.38€、日本円で48,000円ほどもらえます。それよりもフィンランドの究極の「学割」は、学費が大学院まで原則授業料は無料、と言うことではないでしょうか。その上で補助までもらえます。人が国を動かす資本。これに国が投資すると言う基本的な考え方は、最近少し色々手厚さが下がってきつつはありますが、それでも守っている原則ということができるでしょう。
Q3 さすが北欧・フィンランドですね。では、飲食店での「学割」はどうですか?
A3 学食の割引はかなりすごいです。フィンランドの一般的なレストランのランチ価格は現在12.70€ (日本円で2000円ちょっと)が標準。学食となると、一例ですが、まず部外者が学食で食べても8-9 €(日本円で1300~1500円ほど)と安い価格設定が元なのに、一般学部生だと 2.85-2.90€程度!!ユーロ高の今の日本円にしても480円くらいで食べられます。大学院生は学食の一般料金からで65%引き、世間一般のランチ価格からすると75%引きを超えてる感覚です。あとは一般的な会費とか、入場料とかでも学生割引の設定は多く、これはだいたい日本と同じ感覚でしょう。
Q4 そのほか、映画館でも学割はありますか?
A4 映画はもちろん学生料金がある劇場が多いです。最近は上映時間帯やシネコンの設備の違いによってまちまちですが、最大30%程度の学割はあります。高級志向の贅沢設備のシアターは逆に学生を想定していないので割引なしだったりします。フィンランドならでは面白いなと思ったのは、映画館で売ってるフード類、定番のポップコーンやスナック類などが、学生は20%引きになるというサービスがあったりします。
●オーストラリア・メルボルン在住 / 小林純子さん
Q1 オーストラリアの「学割」、公的なものだとどんなものがありますか?
A1 各州によって異なりますが、メルボルンのあるビクトリア州の場合、公的な学割の代表的なものに公共交通機関の運賃の学割があります。18歳までの子供は外国人も含め通常の大人の料金(フル・フェアー)の半額になります。18歳以上でも豪州人の高校生ないしは大学生は全て半額となります。ちなみに現在メルボルン市内の一日乗車券のフルフェアーは10ドル(千円弱)です。また、今年の8月から外国人留学生でも学士課程(4年生大学生)に所属する学生に限り1年、6か月、ないしは3ヶ月の定期券を半額で購入することが出来るようになりました。(ちなみにオーストラリア全体ではビクトリア州が一番最後まで外国人留学生の学割を認めなかった。現在の学割措置は外国人留学生の生活費高騰に対処するためとのこと。)
Q2 そのほかの施設ではどうですか?
A2 州政府所有のメルボルン博物館は通常大人の入場料は15ドルのところ、学生は無料。同じく州政府所有の移民博物館は大人の入場料は25ドルで学生は10ドル。サイエンスワークスという名の科学博物館も、大人の入場料は35ドルで学生は20ドルと、かなり安く入場できるようになっています。
Q3 日本にはないような、珍しい学割もオーストラリアにはありますか?
A3 オーストラリアの連邦政府が設立した公営会社の「NBN(ナショナル・ブロードバンド・ネットワーク)」が全土に光ファイバーを中心とした超高速ブロードバンドを提供することを目的とした国家プロジェクトが、一定の条件の元、学校の生徒のいる家庭に無料でブロードバンドを提供しています。また、そのほかに、学生割引ではなく、学生割増しと言えるかもしれませんが、17才以下の子供の所有する預金口座に子供の頃から少しづつ毎月貯金をする習慣を付けさせることを名目にボーナス利息(例えば預金の通常の利息が2%のところ、ボーナス利息を入れて5%にするなど)を与える金融機関が多い。
Q4 たとえば、学生街の飲食店が「学生証提示で大盛り無料」といったものもありますか?
A4 飲食店の大半は一定の割引やフリードリンク、バイワン・ゲットワンフリーと言って、一つの料金で二つもらえるディールを学生に与える飲食店はあるが、大盛り無料というのは聞いたことがない。