9月23日は「秋分の日」で祝日ですが、「不動産の日」でもあるそうです。秋は人事異動の季節で、転勤による引っ越しが多く、不動産取引が活発になることなどから、全宅連=全国宅地建物取引業協会連合会が1984年に制定しました。そこで、この時間は、2つの国の通信員の方に回線をつないで、ご当地の「不動産事情」を伺います。

●南アフリカ・ケープタウン在住 / 相原 純子さん

Q1 南アフリカの不動産事情、まず、賃貸について伺いますが、日本でいう敷金・礼金といったシステムは同じでしょうか?

A1 敷金は支払います(1~2ヶ月分)、礼金はないです。

Q2 そして、住宅の購入についてですが、その前に、南アフリカならではの、ある事情があるそうですね?

A2 1995年の民主化以降、すべての国民へ家が供給される事が約束され、一定額以下の所得者には政府から家が支給される事になっていますが、この供給はずっと遅れており、低所得者層、及び、失業者の人々はいわゆるスラム的なエリアに自分で家のようなものをたてて生活しています。

Q3 一定以下の所得の世帯に供給される家というのは、集合住宅でしょうか?

A3 地域によって異なり、アパートのようなものから集合住宅のようなエリア内にコンプレックスと呼ばれる複数の家が連なって建てられているようなものまであります。

Q4 では、ケープタウンの現在のおおよその不動産価格について教えていただけますか?

A4 いわゆる中流層の家はエリアによってことなりますが、日本円で300~400万円から2000~4000万円くらいです。高所得者層が購入する家は、ビーチ沿いや山の近くなどの人気のエリアと共にセキュリティが完備されている住宅地のものが多く、5000万円から2~3億の家も珍しくありません。値段の推移はこの高所得者層向けの家のみが継続的に上昇しており、その他の家はほぼ現地のインフレ率に合わせて上昇していますが(3~7%くらい)西ケープ州のように人気の高いエリアは他の地域に比べてやや高めです。

Q5 風光明媚なケープタウン、やはり人気のエリアはかなり高額ですね。ちなみに、南アフリカでは、外国の方が不動産購入する際の規制はあるのでしょうか?

A5 特別な規制はなく、不動産業を通して法律通りにクリアすれば、購入可能。ただし、長年に渡るランド安から海外の投資家が南アの高級住宅の値段を高騰させ、それによって全体的な住宅価格も高くなってきたという見方も国内にはあり、現地に居住していない外国人の不動産購入を制限しようという動きもあります。

●マレーシア・クアラルンプールで不動産会社を経営されている堂田 吉則さん

Q1 マレーシアの不動産事情、まず賃貸ですが、敷金・礼金の慣習など、日本との違いはありますか?

A1 日本では敷金2ヶ月、礼金2ヶ月の場合あれば敷礼ゼロ物件もありと初期費用はオーナーによって違いますが、マレーシアではどの物件でも敷金は2.5ヶ月分が一般的で、礼金のシステムはありません。また、入居者が仲介手数料を支払う習慣もないです。

Q2 住宅の購入に関して、日本との違いはありますか?

A2 たくさんありますが、いくつか例を出しますと...マレーシアでは売買契約書は弁護士が作成します。我々不動産業者は弁護士と顧客の間の橋渡しや、アドバイスすることが仕事となります。そして賃貸同様に仲介手数料はありません。両手取引ができる日本は、世界的にみても特殊です(最近は無料業者も増えてるみたいですが)。また、登記手続きが完了するのに早くても数年かかります。

Q3 日本以上に厳重というイメージですね!クアラルンプールの不動産価格、近年はどう推移しているのでしょうか?

A3 不動産価格は住宅価格指数でみるとマレーシア不動産投資が盛り上がり始めた2010年から2018年で60%ほど値上がりしました。2018年から現在までは横ばいとなります。2023年はコロナで下落した分が戻ってきており、もう一息でコロナ前に戻るかなというところです。

Q4 ちなみに、マレーシアの不動産でいま、盛り上がっているのはどんな物件なのでしょうか?

A4 マレーシア不動産の1番の魅力はリッツカールトンやフォーシーズンズといった一流ブランドが運営する物件を、世界で一番安い価格で購入できるところです。たとえばおよそ100平米のリッツカールトンレジデンスを8000万円程度から購入可能となります。

Q5 それは、相当お安いですよね?!ちなみに、マレーシアでは、外国人でも不動産購入できるのでしょうか?

A5 マレーシアでは外国人でも土地や建物を購入できる数少ない国となります。購入規制は州によって異なりますが、クアラルンプールでいうと売買価格がRM100万(およそ3100万円)以上であることが条件となります。