さて、きょうは6月30日。2023年もきょうで上半期が終わり、あすから下半期となります。この半年、国内でもいろんなニュースがありました。特に、5月に新型コロナが5類に引き下げられたことで、さまざまな規制が緩和されたことは、大きな出来事でしたね。さて、あの国では2023年上半期、どんなことがあったのでしょうか?この時間は2つの国の番組通信員の方に回線をつないで上半期のニュースやトピックを伺います。

●フィンランド・エスポー / 遠藤 悦郎さんです。

Q1 フィンランドの上半期、一番のニュースというと、やはり4月のNATO加盟ですよね?

A1 フィンランドは、1917年の独立の頃から続いた戦争でロシアの侵攻を受け、内戦もありながら、領土の一部をロシアに持っていかれながらも独立を維持した歴史を持っています。現在もロシアと1300kmにおよぶ陸の国境を持っていています。今回のウクライナの危機を通じ、これまで議論はあったものの実現に向けた動きが進まなかったNATO加盟の機運が一気に高まり、超党派で国民の高い支持を受け、今年4月4日に正式加盟しました。ソ連の時代から、西側と当時の共産圏との狭間で、軍事的に諸国との積極的な同盟関係を持ってこなかったフィンランドの大きな歴史的転換点となりました。

Q2 それから政権交代もありましたよね?

A2 世界現職最年少の女性国家指導者として2019年から3年半にわたって首相を務めたサンナ・マリン率いる中道左派連立政権が、今年4月の総選挙で敗退。主に財界の支持する国民連合党が第一党に、第二党に躍進した右翼ポピュリスト政党フィン人党、これにスウェーデン人民党、キリスト教民主党の連立政権に移行。国民連合党の党首ペッテリ・オルポ首相(男性です)率いる内閣がすったもんだの上に発足しました。新内閣の組閣にあたっては、移民排斥などの強硬な右派政策の取りまとめや、前政権がコロナや経済対策で抱えた国の借金をストップすべく、社会保障・福祉支出などを削減する方針とのバランス取りに大変苦労しています。さらに現在、特に過去のナチ礼賛とも取れる発言をしたフィン人党閣僚に対し、開幕早々の国会に閣僚不信任案が出されるなど、波乱の船出。労働力の確保などの観点から移民を受け入れたい経済界と外国人嫌いの極右派が同居した政権で、移民政策にも妥協と混乱が見られ、これからが注目されます。

Q3 では、ちょっと話題を変えて、フィンランドのエンタメ界隈で上半期に話題になったことはありますか?

A3 ヨーロッパ諸国で、各国の代表歌手が競う年に一度の人気イベント「Eurovision Song Contest 2023」が5月にイギリスのリバプールで開かれ、今年はフィンランド代表のラッパー、カーリヤ Käärijä が歌う 「CHA CHA CHA」が決勝で2位になりました。

JK いまバックで流れているのが、その曲ですね!

A4 あのABBAを輩出した伝統の、いわば欧州の紅白歌合戦。ここでのフィンランドの大健闘は、混沌の今年上半期にあって、フィンランドの誰もが楽しんだ明るいニュースでした。カーリヤのCHA CHA CHA、そのキャッチーなスタイルとメロディは子供も巻き込む大ヒット、フィンランドの代表に決まると、フィンランドのみならず参加国の多くで人気が出ました。最終的に優勝はスウェーデン代表のロリーンが持っていき、カーリヤは2位になったものの、当日の視聴者投票数では圧倒的な1位で、半分を占める音楽業界関係者票の配分で優勝したロリーンに対し「真の勝者」とまで言われたりしました。中毒性のあるメロディはネットで広がり、Spotify バイラルランキングでは、Eurovisionに馴染みのない全米でなんと1位、日本でも2位に食い込んでました。

●ラオス・ビエンチャン在住 / Chija(チジャ)さん

Q1 ラオスでも新型コロナが落ち着いて、人の動きが活発になっているそうですね?

A1 コロナ規制がおわり、街には若者たちが運営する、おしゃれな屋台マーケットが増えてます。ビンテージの服や雑貨ローカルフードやライブなど、とてもいい雰囲気で賑わってます。また、高速鉄道で中国から観光客がどっとラオスにくるようになりました。タイやヨーロッパからの観光客もすごく、ラオスに欠かせない観光ビジネスが盛り上がってきました。ラオス政府も、順調な上半期以上のさらなる観光客誘致のためコロナで冷え込んだ観光ビジネスを積極的にサポートしています。

Q2 観光客のみなさんは、ラオスのどんなところに遊びに来ているんですか?

A2 特に、世界的にも有名な、ラオスの世界遺産ルアンパバーンではコロナ禍で多くのホテルが閉鎖し、街の経済が停滞危機となりましたが、今では、5つ星高級ホテルなども再開し、満室が続いています。また首都ヴィエンチャンはタイ人グループツアー客が特に多く、ラオスを代表する寺院タッルアン(Wat Tat Luang)やフランス領だった時にできた凱旋門にはたくさんの観光バスが。そして今ラオスで、世界中の若者に大人気となっているのがヴァンヴィアン(Vang Vieng)。首都ヴィエンチャンから高速鉄道で1時間で着く美しい山脈が連なるリゾートで、特に、ラオスに直行便が飛ぶ韓国から多くの若者が押し寄せ、ボートやパラグライダー、気球、キャンプ、ブルーラグーンでダイブなど、ラオスの自然を存分に楽しむアクティビティが大人気となっています。日本でいうと長野とか上高地のような涼しいリゾート地でラオス人にもとても人気があります。ヴァンヴィアンは、日本の皆さんにも本当におすすめです。

Q3 そのほか、ラオスのみなさんが上半期、驚いた出来事は?

A3 スターバックスがラオス初上陸、これはビックニュースでした。(※実際のオープンは昨年11月)実は、スタバは、何年も前にお隣のカンボジアに進出しましたが失敗したんです。それで、ラオスで再度チャレンジとなりました。地元のカフェが強いし、コーヒーが美味しいのでラオスでどこまで上手くいくかみものです。

Q4 そのほか、ラオスのエンタメ界隈での話題はありますか?

A4 TikTokはじめソーシャルメディアを通じて、ラオスの歌手やアーティストが東南アジアでますます人気になっています。ラオスはYoutubeも最近収益化可能となり、若いラオス人アーティストがさらに登場しています。音楽で成功したいという夢をソーシャルメディアを通して形にしていっています。 中でも、Sophanaというアーティストは再生回数が 2.3億再生など、1億再生が他2曲もあり、お隣のタイや、アメリカでも人気になっています。そのほか、HIPHOPやフォークソングのラオス人アーティストが活躍しています。勢いあります。